私たちの過去の残響
ミラがリアナと出会った日のことを、忘れることは決してない。
それは、陽の光が川辺を照らす穏やかな午後。
二人がまだ、たった六歳だったころ。
リアナはカエルを捕まえようとして――
足を滑らせ、水の中へ落ちた。
考えるより早く、ミラは川に飛び込んでいた。
震えながらも、迷わずに、リアナを引き上げた。
それ以来、二人はいつも一緒だった。
一緒に遊び、
おやつを分け合い、
お姫様やお城、ドラゴンの物語を作って、
二人にしかわからないことで笑い合った。
ミラは、リアナのすべての表情を知っているつもりだった。
笑顔も、しかめっ面も、目の中の輝きも。
リアナは――まるで開かれた本のように思えた。
……そう、「思っていた」。
最近、その本はどんどん読みづらくなっていた。
――最近あんまり会えないね……
ミラはつぶやいた。
幼い頃のように、花の冠を編みながら。
ただ忙しいだけじゃない。
もっと深くて、見えない何かがある。
変わったのだ。
リアナの中に、かつてなかった強さと、
そしてどこか寂しげな静けさが宿っていた。
あの祭りの日――
ミラは、炎の中を駆け抜けるリアナの姿を見た。
迷わずに子どもを救い出す、その背中。
恐れもなく火と向き合う、その目。
でも、何よりミラの心をざわつかせたのは、彼女の「目」だった。
その奥に、何かがあった。
名づけようのない、遠くて、隠された何か。
――何を隠してるの……リアナ……
それは、嫉妬ではない。
羨望でもない。
――ただ、心配だった。
ずっとそばにいた親友。
あのいつも笑っていた少女が、
今は、自分一人で抱えるには大きすぎる何かを――
ひとりで背負っているように見えた。
時間が必要なのだろうか。
それとも、助けを求めたいのに、
その方法がわからないだけなのだろうか。
ミラはため息をついた。
風に思いを乗せるように。
そして、丁寧に編んだ花冠を小さな木箱にそっと入れる。
それは、かつてのように、リアナのためだけに編んだもの。
――また、これを受け取りに来るその日まで……
彼女は、そっとつぶやいた。
世界がどれほど変わっても。
リアナがどれだけ遠くへ行ってしまっても。
ミラは、ここにいる。
ずっと。
待ち続けている。
あの日、川辺でつながったその手のように――
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