目覚めた魂の反射
――……本当にまたやるの?
リアナは痛む腕をさすりながら、不満げに言った。
フレイヤは容赦のない、低く引き締まった声で応じた。
――お前の敵が「疲れてる?」なんて聞くと思うのか?
今や森の空き地は彼女の訓練場だった。
汗は日常の一部であり、神々の声もまた、彼女の意識に溶け込んでいた。
――今日は攻撃の訓練はしない。
ゼウスの声が、遠くの雷のように響く。
今日学ぶのは……生き残ることだ。
――すべての神が、力で征服するわけではない。
ケツァルコアトルが付け加える。
ある者は、静かに、見えぬ動きで……確実に勝つ。
リアナは基本姿勢を取った。
何が来るのかも分からないまま。
そのとき、彼女の前に人型の存在が現れた。
光と影で構成された、顔も感情もない存在。
ただひとつの目的を持って――
攻撃するために。
――倒す必要はない。ただ避けろ。
ヴィシュヌが説明する。
――え、なにそれ――
その存在が、突然飛びかかってきた。
信じられない速さと凶暴さで、拳を彼女の顔面に向けて放つ。
リアナは本能で身をかわした。
ギリギリの距離で避けきる。
――ちょっ、それ本気じゃん……!
返事の代わりに、次の一撃――腹部へのパンチが襲いかかる。
またも反射で回避する。
どうして……?
身体が、先に動く。
まるで、攻撃の来る方向を――すでに知っていたかのように。
イシスがそっと囁く。
――意図を感じなさい。
体ではなく……動きの「魂」を感じるのよ。
リアナは目を閉じた。
三発目の攻撃は、これまでよりも速かった。
だが、もう頭で考えなかった。
ただ、動いた。
大地が告げる――「今だ」と。
拳が頬をかすめて通り過ぎる。
――いいぞ!
フレイヤが叫ぶ。
対抗するな。攻撃と踊るのだ。
リアナは再び目を開けた。
激しく呼吸しながらも――
身体は驚くほど、軽かった。
筋肉が、思考よりも早く反応している。
光の存在が再び攻撃してくる。
今度は連撃――左、右、跳躍、足払い。
リアナはしゃがみ、回転し、後退し――
そして逆に、相手の懐へと滑り込む。
風のように舞う。
本能が戦いのリズムを導いていた。
そして――彼女は理解した。
視覚で避けているのではない。
全身で、避けているのだ。
――これが「超反射」だ。
ケツァルコアトルが説明する。
まず見るな。まず感じろ。
光の存在は動きを止めた。
そして、朝靄のように静かに消えていった。
リアナは膝をついた。
息を切らし、汗を流しながら。
――これ……麦の袋百個運ぶよりきつい……
彼女はかすれた声で呟く。
ゼウスの声が、静かでありながら深く響いた。
――だが、今このお前に触れようとする者がいれば――
そいつは「運命」そのものと戦うことになるだろう。
リアナは、疲れた笑みを浮かべた。
戦うために生まれたわけじゃない。
けれど――
戦いというものを、少しずつ理解し始めていた。
勝てない相手と、“避けるだけ”の戦い……あなたなら挑めますか?
この訓練が熱かったら、ぜひ評価を!
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次に覚醒する“神の力”は……?




