32話──表面張力2
「……」
「不安か?」
「うん。不安だよ」
「随分素直になったじゃねぇかよ!」
ニヤつくベルクの顔を叩こうとザアファは手を伸ばした。だが、寸でのところでベルクは体を起こし、ザアファの手から逃れた。
ザアファの頭上から笑い声が聞こえる。
「はぁ……もういいよそれで」
これくらいの煽りはいつものことなので、ベルクため息一つで水に流した。
「でもそうだね。ベルクの言う通り、楽観的に……だね。少なくとも、結界は消えてないから限りスィッタ隊長が生きてることはわかるし」
「だろ?どうせ俺んとこの隊長もどうしようもない任務で忙しすぎるだけなんよ。国王様の病も偶然重なっただけだって」
「だね。変なことになってなければいいけど……」
「楽観的に、だろ」
「あ~、きっと大丈夫だろうね。あの方たちより弱い僕たちが心配しても意味無いし」
「僕たちって、ついでに俺も含めんなよ!俺は──」
「国王様に直接命令を受けたって?羨ましいし、名誉のあることかもだけど、もう聞き飽きたよ」
「えー、でもなぁ」
「飽きたって。ほら、そろそろ時間だよ。遅れたらご飯抜きになっちゃうんだから」
「んじゃ、飯の後な」
「やだ」
ザアファは訓練ノートを引き出しに仕舞い、まだまだ話のネタにし続けるぞと、諦めようとしないベルクの声を無視して部屋から出た。
「なんか、嫌な予感がするんだよなぁ……危機察知が疼くし……」
しかしこれはひどく曖昧な能力。的中率なんて三割程度。足の小指をぶつけるという小さな危機を察知することもあれば、遠征中に盗賊に襲われることを察知したり、身近な人の死を察知したり……。程度がバラバラでかつ選べないのだ。
しかも、具体的に内容を知れるわけではなく、ただ危機があるような気がするだけ。危機に陥ってからでないとわからないのだ。
回避できていたらなんの危機が迫っていたのかわからないまま終わるし、危機察知は危機が迫っている気がするだけなので、ザアファの勘違いだったということもしばしば。
的中率が三割なので、回避できていたのか勘違いだったのかも判別できない。まだまだザアファ自身も全然理解できていない能力。
「他の能力だったらなぁ……人生変わったのかな」
「置いてくなって!」
「あっと、ごめんごめん」
走ったベルクが追いつき、ザアファの隣に並んで歩く。
「今なんか言ってたか?」
「ん?いーや、ベルクが食中毒になればいいなって」
「根に持つなよぉ~」
「しーらない。ところで肩の怪我は大丈夫なの?さっき逆さまになったりしてたけど、無理な体勢はよくないでしょ」
ザアファは掘り下げられないように話をすり替える。
「怪我?」
「ほら、この前斬られたって言ってた場所だよ」
「あーはいはい。それ、大袈裟に痛がってただけだせ。ザアファに見せたのは止血に使った包帯を巻いてただけで、怪我はサムハ団長が治してくれてたからなんともねぇよ」
「……」
「あんな演技信じてたのかよ!」
小馬鹿にするように腹を抱えて笑うベルク。
「笑わないでよ!だって丁度危機察知が反応してたからベルクの怪我のことだって思っちゃってたんだもん!」
「確定しない能力に思考を縛られないようにってスィッタ隊長に言われたんじゃなかったのかよー」
「それはそうだけど、人の怪我は疑う以前の物じゃん。仲間の怪我に対して嘘って言えるほど腐ってないよ僕は」
「……正論キツイっすよザアファさん」
「わかったならいくよ」
未だに疼く危機察知。使いうちに訪れることしかわからず、危機の大小もわからない。
だから、小さな危機が先に訪れることを願って、ザアファは食事に向かった。
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サムハ陣営
団長──サムハ・ピャーチ:能力──破壊,再生
目的:犯人の特定及び、処刑。現時点での犯人の有力候補、スィッタ・シェ―チス。
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(サムハ陣営)
三番隊隊長──スィッタ・シェーチス:能力──結界
目的:未だ不透明な真犯人を暴き出すor証拠を見つけ出し、新たな犠牲者が生み出されるよりも早くに身の潔白を示す。
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サマーニャ陣営
副団長──サマーニャ・ゼウォミー:能力──怪力?
勇者──枝石誠:能力──怪力?視覚妨害?
目的:犯人の特定。犯人候補、スィッタ・シェ―チス。
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無陣営
姫──スィフル・スクッシャ
目的:わからない。でも前を向く。
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死者
国王──ワヒュード・モロ・スクッシャ
一番隊隊長──ナースィン・ヴァドー:能力──五感強化,消音,消震,脱兎,縮地,幻影,etc?
二番隊隊長──ササーラ・トリー:能力──固定
一番隊隊員──アルバァ・チェトィリエ:能力──不明
目的:死人に口なし。
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犯人
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目的:■■
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無陣営
三番隊隊員──ザアファ・ミーセ:能力──危機察知
目的:なにもなければそれでいい。
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