第2話 青野家と日原家
数日学校に通ううちに、日常が戻って来たような心持ちになる。
クラスメイトとはちょっと距離を開けられているけど、犬木先生は変わらず接してくれているので不便はない。
瀬尾さんに対しては、壁がある間は積極的にコミュニケーションを取らないでおくことにした。
今日は放課後に学校が終わった段階で、青野家と日原家の面々と、フランスの関係者が面談のようなことを行う。
どうやら僕の今後の身の振り方についての話し合いがなされるみたいだ。
日本政府の人間を呼ばない辺り、フランスの憤りが見て取れる。
アメリカの異層空間攻略のためにフランスに帰化したし、今後の試練を進めるうえでもフランスの後ろ盾は大きい。
基本ヨーロッパ圏は僕の味方だということで各国が手を出し辛いから、このままのフランス国籍で居続けることに変わりはない。
場所は大使館内で行われるため、大使館の車で姉妹と共に放課後そのまま移動した。
館内の会議室までくれば既に日原一家の3人と、両親は到着していた。
フランスの同席者であるマーレや、僕が大使館でお世話になっている職員さんたちも既にいる。
入った瞬間にどこか重々しい空気が流れていた気がしたけど、気のせいだったのか直ぐに華やいだものに変わった。
「信也、やっと来たよ。それが制服姿かあ……そうしてると年相応に見えるね」
真っ先に近付いてきた琴羽が、何故か僕の体をポスポスとはたいてボディーチェックしてくる。
いや、ナイフも拳銃も隠し持ってないけど。
「久しぶり、というほどでもないけどいつも一緒だったから変な感じがする」
「ホントだよ、ボクがいないときに死にかけるし、血を吐き出したときは心臓が止まるかと思ったんだから」
「あれは琴羽の守護で防げたかもしれないね。オロバスの時といい、摩天楼の時といい、一番居てほしいときに居てくれないのは琴羽らしいけど」
「なにを~」
むっとして拳を握りしめてきたので思わず目を瞑るが、特に何もしてこない。気付けばギュッと抱擁された。
「……本当に無事でよかった」
耳元で震えるその声に、彼女を安心させるように背中をポンポンと叩いた。
こちらを見詰める二人にも声を掛ける。
「奏さんも、一郎さんも、ご心配おかけしました」
「いいのよ、信じていたから」
「ああ、良く帰って来たな。偉いぞ」
そういって二人からも代わる代わる抱きしめられる。
何とも恥ずかしいけど、これが日原家のコミュニケーションなのだ、大人しく受け入れよう。
三人は満足したように席につき、僕は対面のフランス側の席に着いた。
家族は日原家の隣に腰かけた。
日原家と青野家の境界だけえらく空気が悪いというか、溝がある気がするのはどうしてかな?
マーレは琴羽がいるのにビックリするくらい大人しい。
何故今までこれをしなかったのか首を捻った。
逆に琴羽はマーレを親の仇でも見るかのように睨み付けていた。
「まずは信也様のフランス帰化への経緯についてご説明します。これは第三者への公開を固く禁じております。約束できない方は部屋を出て会議が終わるまでご退席ください」
誰も席を立つ者はいない。これは契約書もなければ罰則があるものではないし僕がそれをさせない。ようは悪戯に吹聴しないように釘をさすだけ、気持ちの持ちようだ。
「皆様に退席の意志はございませんね……では続けます」
日本の進める試練資格者の私兵化の話。そのバックにいるアメリカの話。
異層空間攻略が始まってからの動き、僕の活躍の話と並行して政治的にどんな動きがなされ、どう介入が行われたのか。
そして今の立場の話に移った。
「信也様は依然としてアメリカや第三国に望まれています、寧ろ今回の件で民衆単位でも乞われる立場となったでしょう、真に国々を救った英雄ですから」
「日本の立場では信也様を守ることは難しいため、代わりにフランス並びにヨーロッパ諸国は信也様を政治的に守る立場をとっております。日本国籍に戻すことは現状不利益にしかならないのです。ご理解頂けますでしょうか」
会議室がしんと静まり返る。各々が考え込んでいるけど、この内容についての答えは元から決まってはいる。
問題はここからだろう。
「フランスは信也様の意志に最大限配慮しますが、安全面と政治面で飲めない要求もございます。今現在、日本へ暮らすことは問題ありませんが、18歳になられてからはフランスで暮らしていただきます」
「また、今後得られる資源や物資につきましてもフランス管理となります。勿論信也様の善意に基づいた寄付ですし、信也様が個人所有するものについては関知いたしません。フランスでは個人の意思に従い、マーレ嬢のように政府に協力する立場の試練資格者が存在しますが、決して強制ではありません。信也様がこれ以上の戦いを望まず、また必要がない場合、我々は何も強制することはありません」
一気に説明されたけど、これ以上に無いほど僕にとっては都合がいい。
国を救った善意を善意で返された報酬のようなものだろう。
アメリカで得たもの全てあげたから鼻薬が効いている感は否めないけど、その前からこれ以上ないほど友好的だったから誤差の範囲だろう。
ガンガン利用しようぜ!みたいにならなくてよかった。
「公私ともに世話役としてマーレ嬢もいますので、信也様に不便はないかと。何かご質問は?」
最後の最後で余計な情報を付けないでください。空気が淀んでしまいます。
なんか僕がマーレにつられてフランスに帰化したみたいに思われるだろ。
冤罪を強く訴えたい所存。
様々な視線と、じっとりとした空気が流れる中、奏さんが手を上げる。
「信也君の住まいはどうなるのでしょうか。今は準備中だと伺っていますけど」
「なかなか難しいのが現状です。どう選んでも日本では全く干渉を受けないわけには行きませんし、彼は未成年ですから。信頼できる人間の保護下に置くこと望ましいですが……」
フランス側からの冷たい目を受け、母さんの頬が僅かに引き攣る。
そこまでの変化じゃないけど、フランスの態度に内心怒ってるみたい。
「私どもでは何が不安だと言うんですか。ずっと一緒に暮らしてきたんですよ」
「貴方方は日本政府の庇護下にあります。残念ですがその時点で考慮に値しません」
フランスの職員さんは、その言葉の後に視線を日原一家にも向ける。
「日原様方も同じです。特に琴羽様に至っては日本の私兵化の旗印です。日本ばかりかアメリカにも近すぎる。論外です」
だから空気悪いから。この部屋だけ低気圧になってない?嵐でも来るの?
フランスの人もちょくちょく言葉のチョイスが不穏だよ。ワザとな気がする。
「ただ私どもは配慮こそしますが、彼の意志は全面的に尊重するつもりです。多少の無茶も無謀も物の数にはなりませんし、我が国の英雄を守る心構えは出来ております」
おいおい、ここで僕に戻すのか、ドS過ぎるよ。そんなことするなら煽らなくてもいいじゃないか。
でも一番の当事者が意見を言わないといけないのは分かっている。分かっているけど。
「…僕としては、今はこのままでいいと思ってます。アメリカの異層空間に挑むときに全部捨てる覚悟をしたのに、フランスの人たちが配慮してくれて、またこうして平穏に暮らせてますから。ただ大使館住まいを続けるのは遠慮したいですけど」
「そういう事であれば、私どもの庇護下において信也様をお支えするという事で異論はありませんね、皆様」
「「……………………」」
空気が死んだ。生物が住める環境ではない。僕も逃げ出したい。
だって仕方ないじゃないか、どう考えても今の僕は厄種だ。こうやって距離をとっている方がいいし、行動の自由もあるから会えなくなるわけじゃない。
ベストじゃなくてもベターだとは思っている。
「話は分かりました。ただ私には懸念があるのですが」
奏さんが口を開いた。静かで感情の読めない表情をしている。
「政治的に信也君を守れることは分かりますが、それ以外については少々見通しが甘いのではありませんか?急いては事を仕損じるという諺が日本にはあります」
どう言う事だろうか。頭の中でクエッションマークが浮かぶ。
僕ばかりでなく姉妹もよく分かっていないようだ。
「なにを言いたいので?」
「貴方方が第二のアメリカにならないと言い切れますか?フランスやヨーロッパ諸国を民衆はどう思っているのでしょうか。世界は貴方方をどうとらえ、どう行動すると考えているのでしょうか」
「それは今の話には…」
「フランスは元々自国のみで攻略できた異層空間は10日難易度が1つ。エーテル結晶の取り分も一つだった。ですが今回では40日難易度が10個、80日難易度が1個、多数の物品も手に入れ、アメリカから莫大な救援報酬。いくら欧州連合と分け合ったとはいえ、一人勝ちが過ぎるのでは?」
一郎さんも加わり問い詰める。そう聞くと上手いことやったみたいに聞こえるけど、僕が全部提案したことではあるからフランスは悪くはない。しかし外聞は悪いかもしれない。
「……確かに、我が国はこれ以上にないほど順当な結果を得ましたが、それは全て信也様の善意によるところです」
「そうだとしても都合が良すぎるのですよ。ある程度は隙を作らねば貴方方が全て手引きしたとしか思われかねない。例えば信也君がマーレさんにそそのかされたなど思われるのは不本意では?」
「根も葉もないことをおっしゃられないでください。私は信也に何も強要させていませんし、そそのかしてもいませんっ」
一郎さんの物言いにマーレは眉を吊り上げる。
「分かっています。ただ世間はどう見るかというだけです。それで一つ案があります」
「私どもに信也君を預からせていただけないでしょうか。そうすれば過度な干渉を受けていると思われませんし、十分な建前となります」
「……なるほど、琴羽様ですか」
一郎さんの言葉にフランス側が納得の表情を見せる。
「信也君と琴羽は、世間で試練におけるパートナーないし師弟と認識されています。その関係が突然途切れるのは明らかに作為的に思われるはずです。信也君がフランスにいるなら別でしょうけど、日本にいる限り関係性は保っておいた方がいいでしょう」
「そして鍛錬をするのなら住まいが同じであっても不自然はない。寧ろフランス側が無理に干渉していないアピールにもなるわけですか。少々思う点はありますが、悪くはありませんね」
二人の会話が続き、何となく良いところに落ち着きそうな雰囲気になっている。
青野家とマーレは蚊帳の外だけど。
当事者だけど、僕も清流の小魚を眺めるように頭空っぽにして聞いてた。
「ちょっと待ってください、私はどうなるのですかっ。私もフランスの干渉にあたるなどということはありませんよね」
まとまりそうだった話にマーレ待ったを掛ける。
奏さんの目がそれに反応して怪しく光った。
まるで獲物が罠に掛かった瞬間を見たような反応だ。
奏さんは少し申し訳なさそうに、戸惑ったように言葉を紡ぐ。
「あなたを受け入れると効果が薄くなりますから、過度な接触は控えてもらえると助かります。信也君もあなたのことが苦手なようですし」
「何を根拠にそんなことをっ」
「あなたと接しているときの信也君は極度に緊張していますよ。それに信也君が同年代の女性から触れられることが、とても苦手なのを知っていますか?長い時間を過ごした私の娘は少しずつ慣れていきましたけど、マーレさんに関しては短期間に距離を詰めようとしたせいか、苦手意識が強くなっているようですね」
フランスの職員さんとマーレが驚きの顔で僕を見てくる。僕はそっと視線を逸らした。
奏さんに内面をズバズバ家族の前で当てられて恥ずかしくて居たたまれない。
「マーレ嬢とは相思相愛なのでは?」
「それはゴシップの話であって、えっと……」
職員さんからの質問に言葉を濁す。こういう時なんて言えばいいのだろうか。
角が立ちそうで上手く言う自信がない。
「答え辛いでしょうし、証人を呼びましょうか。信也君、マサムネさんは連れてこられるかしら?」
何故ここでマサムネ?
取り合えず外の空気を吸いたかったし喜んで連れてくる。
さっきから空気が重くて息が詰まってしょうがなかった。
気持ち遅めで部屋からマサムネを持ってきた。マサムネも何故呼ばれるのか分かっていないようだ。
『なんか俺っちに聞きたい話があるとかないとか?』
「マサムネさん、こちらの女性に対して、信也君が日頃どういった思いを抱いているか教えていただけますか?私見で宜しいので」
『胸のでけぇ姉ちゃんについてか?普通に苦手だぞ』
「そんなっ!何かの間違いでは!?」
『異層空間では突拍子もない行動して泣きついて来るし、足は引っ張るし、ベタベタ触って来るし、なんか妄想入ってるし、しつこいし、嫌われる要素は大量にあるが好かれる要素はないな。根性ある姉ちゃんと違って拒めないのは、親しくないから体面を気にしてただけだぞ』
「ぐふっ!」
跪いて土下座みたいな姿勢になっているマーレ。
その様子はオロバスの異層空間を思い出す。
琴羽はそれを見て嬉しそうに微笑んでいる。サディストかな?
まあマサムネはテンマの味方だし、そのテンマを不機嫌にさせていたマーレには3割り増しくらい攻撃的になるのは分かる。
バエルや摩天楼で助けてもらったことすら帳消しになっているようだ。
いや、マサムネは優しいしこれでも考慮されているのかもしれない。
『相棒たちの精神を思うなら関わり合いにならないことを勧めるぜ、国とか色々あるから全部叶わねえのは分かってるが』
「有り難う、マサムネ」
僕はみんなに聞こえないよう小声でお礼を言った。
相棒たちというのはテンマも入っているのだろう。
態々憎まれ役を買ってくれている、本当に頭が上がらない。
マーレには悪いが実際苦手だ。
自分で言いたくないけど、女の子らしい女の子はあまり得意ではない。
それに何処か僕のことを神聖視しているように思えて息苦しい感じがするのだ。
個人で好意的に思ってくれるなら違ったかもしれないけど、彼女はあくまでフランスの人間として僕と接触している。
思春期男子にハニトラは勘弁。
「マサムネ様は希望が叶うなら、信也様のお住まいはどちらにするのが適切だと思いますか」
倒れたマーレを無視して、フランスの職員がマサムネに尋ねる。
さっきから何故僕に尋ねないのでしょうか奏さんと職員さん。
『根性ある姉ちゃんのところが一番だろうな。まだ伸びしろ終わってねえし、お互い他に対等な鍛錬相手がいねぇしな。それに俺っちとしては、家族だろうと相棒を追い出した家に戻すのはどうにもな』
「えっと僕はもう気にしてないよ。誤解も解けたし」
『おう、あくまで俺っちの意見だからよ。相棒が居たい場所のことにまで口出しはしねぇよ。俺っちに口はねぇけどな、ワハハハハハ』
相変わらずの刀ギャグ。空気が寒々しいのはギャグの所為ばかりではないだろう。
これは内心相当怒ってたな。
あの時は僕の対応が悪かったようなことを言っていたけど、慮ってのことだったのだろう。声の感じもいつもと違っていたし、何か言いかけていた。感情で言えば真逆であったらしい。
声を上げて責めない辺り、僕の意志を尊重している。
奏さんは満足そうに頷きフランスの職員に顔を向けた。
「マサムネ様の意見は非常に参考になりました。信也様は如何ですか」
ここまで助け舟を出されたからには乗らなくてはいけないだろう。
少し後ろ髪を惹かれるけど、ここが妥協点だ。
「……奏さんたちは、いいんですか?」
「勿論大歓迎よ」
「遠慮するな」
「ボクはまだ信也に一本取れてないからね、勝ち逃げは男らしくないぞ。それに刀術にも興味出て来たし、しっかり相手してもらわないと」
「そっか……そこまで言うならサボらせるわけには行かないね」
「し、信也……」
話がまとまったような雰囲気の中、母さんが悲壮な目で僕を見てくる。
他の姉妹は悲しむというよりは動揺していた。
僕が日原家を選ぶとは思っていなかったのだろう。姉妹は僕と日原家の関係をほとんど知らないから。
「お兄ちゃん行っちゃうの?」
こちらに歩み寄ってきて、悲しそうに僕を見え上げてくる莉々を撫でる。
「少し離れた場所に住むだけだよ。学校では会えるし莉々が呼べば会いに行くから」
「ええ、莉々ちゃんなら、いつでも家に遊びに来てもいいのよ」
「そうだな、だいかん、ぐっふっ!…か、歓迎するよ」
何故か一郎さんが奏さんに神速の肘打ちをされていた。
僕以外全員見逃している。一郎さんは苦悶の表情に何とか笑顔を浮かべていた。
お淑やかな奏さんが手を出すなんて相当のことだけど、何が起こったんだ?蜂でも止まってたのだろうか。
「おお、これが例の髪飾りの妹ちゃんか……いや、美少女すぎでしょ、顔面偏差値ぶっちぎり全国トップだよ」
ずっと会議室にいたのに今更リアクションをする琴羽。マーレを睨みすぎ。
「これはシスコン不可避だね。お姉ちゃんの妹になっちゃう?弟が一番欲しかったけど、妹も欲しかったんだ~」
莉々は、手をワキワキし出した琴羽から素早く離れて、僕の背中に隠れる。
改善はしているが、流石に初対面の人とはコミュニケーションは難しいようだ。
「リアクションまでそっくりだよ。顔は似てないけどやっぱり兄妹だね。信也もこのくらい顔が良かったら……やっぱり今のままでいいや」
何故途中でやめたし。別にカッコイイなんて思ってないけど、僕はこれで自分の顔を気に入っているから問題はない。
『お、懐かしい気配がすると思えば莉々坊じゃねえか。なんだ、喋れるようになったのか』
「お兄ちゃんのおかげ。あと坊じゃない」
『こりゃ失敬、がははははっ』
マサムネと仲良く会話してる。本当にコミュニケーション取れてるよ。
莉々は僕の肩越しに顔を出して琴羽を見詰める。
口をパクパクしているけど言葉にはなっていないようだ。
『莉々坊が、根性ある姉ちゃんに言いたいことあるみたいだぞ。相棒を一人にしないでくれて有難う、だとよ』
「コクコク」
え、どうやって伝えたの?莉々も頷いているから正解なんだろう。
テンマがいないからテレパシーみたいなこと出来ないはずなのに。
刀なのに読唇術まで使えるの?マサムネ凄過ぎない?
「ど、どういたしまして……家族の人に感謝されるなんて思わなかったよ」
琴羽が戸惑いながら照れたように自分の髪を弄る。
「お兄ちゃんは強いけど、一人でずっと戦い続けるなんて辛いから。琴羽さんが居てくれてよかった。これからもお兄ちゃんのこと宜しくお願いします」
「あああ~いい子っ!この子、絶対私の生き別れの妹だよっ!お父さんの隠し子だよっ!」
「止めろ、一郎さんが青い顔してるから止めろっ」
感極まって僕ごとハグしようとした琴羽を、莉々の腰を抱えて躱す。
そして素早く奏さんまで避難した。
ついでに手刀が今にも炸裂しそうな奏さんと一郎さんの間に入り壁になる。
なんか妙な雰囲気になったけど、話し合いは終了した。
結果として、僕の身柄は日原家預かりという事になった。
状況によっては変わるみたいだけど、それはその時考えればいい。
姉妹とは学校でちょくちょく会えるし問題もないだろう。
漸く大使館を離れてマーレとも距離を置けるから心が休まる。
後日、久しぶりに僕に鍛錬でしごきあげられ、顔面崩壊を晒した琴羽が「早まったかも……」と呟いていたとさ。




