第11話 sideアナザー 世界は彼を知る
これからの物語に出てきます、sideアナザーの視点につきまして捕捉をしておきます。
こちらは主人公やその周辺と関りの無い、配信での一般人の反応を主に書いております。
基本は節目となるタイミングで挟まれるエピソードで、それまでの物語の他者視点を1話に纏めていますので長いです。
このエピソードでしか回収されない伏線や、今後の展開を示唆する描写がございますが、読んでいないからと言って、直近の話が分からなくなる内容ではありませんので、このエピソードを飛ばして先の話を読んでも問題ありません。
お勧めは物語の順番通りが一番ですが、ある程度場面を飛ばしても中々の量になっておりますので、そちらはご注意ください。
<孤独の迷宮と第一階層>
私はいつもの手慣れた手順で機器を操作し、ボタンをクリックする。
世界と繋がり、画面には文字が躍る。
最近のトレンドは試練一色。
私もその流れに乗っていた。
「やっほ~みんな、今日も見てるかな~ママカの試練鑑賞にようこそ~」
パンクな衣装のアバターに、ちょっとダウナー系に演出した声。
これが配信での私の姿。
早速反応が返ってくる。
コメント
・やっほ~
・おっつ~
・今日の犠牲者は誰だろ
・さっきまでそれなりの数いたけど
・第一階層でほとんど死んでたな
・完全に乗り遅れたね
マジか。配信を確認したらどれも終わりかけというか死にかけだった。
こんなものを映しても直ぐに終わってしまう。
試練の配信に限った話だけど、コメントも配信内容自体も倫理規制がまるで機能していない無法地帯だ。こういう時こそ民族性が試される。
幸い私のリスナーは大人しい方だけど、配信元のコメントは中々悲惨なことになっている。
だからこそ、こうやって別の枠をとることの旨味があるわけだけど。
「うえ~どうしようかな。もう試練の配信はお終いで雑談でも……お、誰かインしたね。哀れな子羊ちゃん発見だ~」
ふむふむ、青野信也君15歳。
うわあ、子どもじゃん。配信して大丈夫かな。
教育委員会に訴えられないだろうか。
いくら倫理観が欠如していても、それは大本営がどこぞの上位観測者という話なだけで、私たちは普通に法の中の人間だ。
流石に未成年は不味い。
でもコメントでは既に鑑賞する気満々だ。
私の配信閲覧者が徐々に増えていっている。
この流れは切りたくない。
「う~ん、一応配信は見るけど、相手は未成年だから危なくなったら切るからね?それでもOKの人だけ見て行って。彼の呼称は青野少年で」
コメント
・おけ
・妥当な判断
・よっしゃ、継続決定!
・最後まで見ようよ
・止めろ。シャレにならないから
・いくらなんでも子どもはちょっと
・マジで元配信のコメント無法地帯。子どもに対してボロカス言ってる
・屑ばっかり
他人の生き死にを見世物にしている私たちも屑だけど、そこは指摘しない。
配信元のコメント軽く流し見したが、確かに相手が子どもだという配慮がまるでなく言いたい放題だ。
私のチャンネルがこうならない様、上手く舵を取らないと。
「お、早速おかしなことし出したね~何だろこれ?」
マントを泥だらけにしたり何かと奇行が目立っていたけど、蓋を開けてみればそのすべてに意味があり、また青野少年の行動は私たちの度肝を抜いていた。
「うわ~逸材来たよ。どこまで行けるか分からないけど耐久配信確定だね。あ、ちなみに私は途中で寝ると思うけど配信は切らないから宜しく」
コメント
・盛り上がってきたー!!
・寝てるけどねwww
・青野少年が寝てるタイミングで一緒に寝れば?
・添い寝か!許さんぞ!
・どっちを?
・ママカに決まってるだろうが、青少年とか羨ましい
いや、私そもそもあそこに行けないし行きたくないから。
絶対第一階層で死ぬ自信がある。寧ろ自信しかない。
ていうか視聴者数スゴッ!私の方まで結構な人数が流れてくる。ウハウハじゃん。
がんばれ青野少年。なるべく長く生きて私に数字を貢いでね。
<孤独の迷宮と第四階層>
コメント
・やばい、やばい
・顔色悪いよ……なんで階段下りないんだよ
・そこまで体張らなくても十分だから
・
・
・
・勝った、すげえ……何だあれ
・毒に侵されてもあんな動き出来るもんなの
・リアル立体機動してたぞ
・肉の塊ってあんなスパスパ切れるもんなの?
・マジで何者だ……
「ほんと何者だよ。ていうかポーションの効き目やばいね~」
ボロボロに傷付いてもその眼は曇りがない。
<孤独の迷宮と第六階層>
コメント
・いや、こんなとこまで来ちゃったよ
・後一回下りたら最高到達階層と並ぶよ
・やばいやばい、盛り上がりがやばい
・青野少年からもたらされる情報で日本でも海外でも阿鼻叫喚
・本人はいつも通り地図を作成中。外の状況なんて分かってないから当然だけど
・いや、あれを探しに行くの?やめてよ……階段下りようよ……
・
・
・
・怖かった、マジで怖かった。
・カメラワークが臨場感ありすぎる。ちびったぞ
・何故追いかける方の怪物を中心に映したのか
・あの青野少年のイキリがツボなんだがwww
・普通に微笑ましかった
・なお怪物の怒髪天を突いた模様
「なんであの怪物前にしてあんな行動取れるんだろう?すごいよね~」
画面越しにさえ硬直してしまう恐怖を、その全てを払いのける強さ。
<孤独の迷宮と第七階層>
コメント
・おお、一度しか配信で流れなかった第七階層だ
・なんか雰囲気が違う?
・静かというかなんというか
・よくわかんね
・ここの怪物ってどんなの?
・カメラには映らなかったらしい
・青野少年も初見だから慎重だね
・緊張が伝わってきて俺の手汗がやばい
・もともとやばい定期
「えっ、うそ……」
唐突に青野君が吹き飛ばされる。
画面越しでは何が起きたのかすら分からない。
血が舞い、骨が飛び出す。口からボタボタと血の滝が流れ落ちる。
駄目、死んじゃう、これはもう映せない。
そう思っていても体が硬直したように動かない。
コメント
・うわぁ
・もう駄目だ
・今の一体何だよ!こんなの突破させる気ないだろ!ふざけんなよ!!
・ああ駄目おれ切る、見てられない
・いや、まて
・ド根性発動じゃあああああああ
・うそだろおい、青野少年!!!!!
折れた腕でポーションを掴み、自力で立て直した。
どんな精神力があればそんなことが出来るの。
もうこの子には私なんかでは絶対に測れない意思があるとしか思えない。
<孤独の迷宮と第十階層>
コメント
・来ちゃったwww
・普通の子じゃないと思ったけれども
・青野少年、戦闘だけじゃなく頭脳も規格外だった
・ギミック解けてみれば、ああそうだったのかと思うけど、これ解けた人いるのかな?
・いや、青野少年の解くスピードが速すぎて誰も回答出せてない
・おまけに必要もないのに、他の試練受ける人のために全ギミックを調べ尽くす製作者泣かせ
・解説に命を懸ける少年。これは比喩ではない
・終わってみればあっという間だったかも。今メッチャ感動してる
「私も……。なんかみんなと感動を共有できてよかったよ。有り難う、青野少年」
もう言葉はない。
どんな捻くれた人間でもこの少年のことはよく分かっただろう。
彼は底抜けのお人好しだ。見返りなんて一つもないのに。こんなに一生懸命で。
確かな筋からの情報では、彼は試練の資格を持っていなかったらしい。
家族の誰かが試練の資格を持っていて、代わりに試練の資格を受け取ったという。
確定情報じゃないし、その家族に変な感情が向かうのは本意ではないからここでは言わない。
きっと青野少年は自分から受け取ったに決まっている。
「最後の部屋に入ったね。そろそろお終いかな?」
青野少年が最後の挨拶をしている。
今までの解説と違って浮かれている。
年相応にはしゃいで家族に言葉を残していた。
急なギャップに胸がキュッとなる。
コメントでも私と似たような人がたくさんいた。
まあ、ここにいる人たちは青野少年のことを何度も惚れ直しているけれども。
気持ちのいい奴らだ。
青野少年の体は溶け消え、その姿を消した。
最後に何処か苦しそうに見えたのは気のせいだろうか?
<特別ルールと0.000001%>
あの試練からいくらか日が経ち、私は最悪の目覚まし時計で目が覚めた。
唐突な試練の開始を告げる放送を大音量で叩き込まれた。
寝起きも相まって頭がクラクラする。
「いっつ~……これどうにかならないの?上位観測者って耳が遠いんじゃないの」
私はパソコンを立ち上げ、情報を漁ろうとしたが、念のため某動画サイトを覗いた。
前回は間を置かずに試練に参加した馬鹿がいた。
今では「金塊野郎」という二つ名で呼ばれる男だ。
青野少年とは違う意味で有名人になっている。
まあ、今回は命が掛かっているとハッキリ分かっているから愚か者はいないだろう。
「嘘っ!本物の馬鹿が一人いるよ……名前は青野信也……えええええっ青野少年!?」
一番馬鹿と対極に存在する人間が何故か配信を始めている。
そういえば特別ルールーがどうとか言っていたような……いや、考えるのは後だ。
私はあわてて機器を立上げ準備した。
SNSでも緊急放送と通知を流す。
「やっほ~みんな、今日も見てるかな~ママカの試練鑑賞にようこそ~ってそれどころじゃないんだよ!試練の放送聞いたよね、我らの青野少年が既に配信始めちゃってるんだよ!誰か試練の内容分かる人いる?」
緊急放送にも関わらず人の集まりが早い。
これだけ人がいれば、誰かしら試練資格を持っている本人か、身内がいるかもしれない。
コメント
・おっつ~
・緊急放送きちゃっ
・呑気に挨拶してる場合かよ
・誰か試練の情報だしてくれ
・どなたか試練資格をお持ちの方はいませんか~いたら情報晒してください~
・ママカも動き速いな
・そりゃ嫁の一大事だし
・婿では?
・は?嫁だろうが、禿げ!
・プッチ~ン、ライン超えました。ははは禿げじゃし
・誤字って自爆してるwwwwww
・推しでいいじゃん
・なんか盛り上がってるね。とりあえず情報晒すよhttp://******
「有能来た!禿げ同士で喧嘩しないでね。不毛だから、禿げだけに」
私の発言に軽く燃え上がっているが、無視して情報を確認していく。
なになに、箱庭で試練。異世界キタコレ!
拠点を探して10日後に帰還。
箱庭がどんな所か分からないが、リソースポイントを使えば危険は避けられるようだ。
「何これ簡単じゃん。青野少年にとっちゃヌルゲーもいいとこだよ」
コメント
・確かに内容だけ見ればそうだけどさ
・マジモンの異世界!?
・ちょっと、いやかなり羨ましい
・処刑場のオンパレードだった前回の孤独の迷宮から落差激しすぎない?
・命が掛かってるから流石にね
・そんな配慮があるなら初めから見せてる定期
・でも青野少年の特別ルールは?
・あ、それ今更新されたっぽい。読み込み直してもろうて
「オッケ~、え~と………は?」
試練の日数が、残り時間とほぼ同じの30日?
30日間生き残れる確率0.000001%の大陸に一人だけ転移?
コメント
・おいおいおいおいおいおいおい
・クソが、クソがあああああ!!クソ上位観測者ども
・その手のコメントは止めろ、危ないかもしれない
・どう考えてもクソだろ。擁護する必要もなく
・それでも青野少年ならあるいは……
・そうだよ、何も死ぬって決まったわけじゃないだろ!
・信じよう
・なんなんだよ。青野少年何にも悪いことしてないじゃん
・あれかな。攻略情報流されたのが気に食わなかったのかな
・それ私怨だろ。配信流させてるのはそっちだろ
「後ろ向きなコメントはなしにしよう。私は青野少年を信じてる。みんも信じよう。上位観測者なんぼのもんだい!」
失われるかもしれない恐怖で体が震える。
私、自分でもびっくりするくらい青野少年に入れ込んでいる。
青野少年の孤独の迷宮の動画も何度も見た。
大丈夫だよね。青野少年ならきっと帰ってこられるよね。
<絶縁の箱庭と森の探索1>
コメント
・特に危なくなさそう
・今のところ静かな森。暗いけど
・ていうか元配信の閲覧者やばいよ。こっちの閲覧者も凄いことなってるけど
・まあママカは青野少年の厄介なファンで有名だからね。仕方ないね
・普段はダウナー系なのに、青野少年に批判的な意見出たときは狂犬に変わるからな……この間の見直し配信の時とか
・リスナー:これくらい俺でも出来るわ
・ママカ:は?寝言いってのか、永眠させるぞ******!!
・放送禁止用語は止めてもろて
・伝説だったね
・いや、沸点低っその位の悪口可愛いもんだろ……
・あ?てめぇアンチか
・おいおいおいママカの配信にアンチ来ちゃったよ
・囲め、擦り潰せ、蹂躙せよ!!!
・いや、だから沸点……
「なんか静かすぎてちょっと怖いね。青野少年も生存率見てるはずなのに心臓強すぎるよ。惚れ直すしかないね」
何事もなく過ぎるけど、本当に安心していいいのか分からない。
定番だと夜になったら魔物とかが活発に動き出すとかあるけど、どうなんだろう。
<絶縁の箱庭と森の探索2>
コメント
・さっきの猪見てアニメ映画思い出した
・おれも。マジでデカすぎだろ
・あんなのがいっぱいいる大陸なのかな?
・夜も眠れないじゃん。早いところ人里に降りないと
・拠点も探さないと
・拠点っていうくらいだから人もいるんじゃない?
・えっ、青野少年が倒れた!?
・腕に矢が刺さってる、人の仕業だ
・ちょっとまって様子が変…青野少年、寝てる?
・いや、弛緩だ。毒矢ださっきの……神経毒?だったらヤバいぞ
「うそうそ、ちょっと待って、なんで急に」
気絶した青野少年を男が担いでいく。
長身でガタイのいいびっくりするぐらい顔のいい男。
だけど誰もそんなこと気にしていない。
<絶縁の箱庭と第一村人>
コメント
・コメント減ったな
・出来るわけないだろ。音だけすらきつい
・ママカもさっきから一言喋ってないぞ
・そりゃあ
・俺、音も消して元配信の画面もこの配信で隠してる
・見ない方がいいよ。俺が見とくからなんかあったらコメントする
・悪い
・うん……きついな……
コメント
・動きがあったぞ。男が話しかけて青野少年が答えてる
・なんか今まで耳が聞こえてなかったから分からなかったみたい
・拷問はなさそうだけど、これからの動きは分からん
・まだ見ない方がいい
・サンクス!
・感謝!
・拷問終わり?もう痛いことされてない?
・あ、子どもが二人来た。この子たち昨日青野少年に果物あげようとした子だ
・なにそれ?
・いや、普通に食べたら元気になるからって差し出してた。青野少年は子どもたちが大人に怒られるからって受け取らんかったけど
・……聖人すぎるだろ
・子どもは何してるの
・わからん。拷問されてないから見てみてもいいと思う。俺も言葉で説明出来ない
長い、長い拷問は終わった。
私は何も言わずに見続けた。
強く噛み締めていた指から血が滲み出ていた。
子どもたちは不思議な雰囲気を持っていて、青野少年を見ながら言葉を漏らし、涙を流していた。
そこから状況が一変して、手厚い治療を受けている。
私は水で喉を湿らし、口を開いた。
「ごめん、今まで話せなくて。一応全部見てた私の推測だけど、多分この人たち嘘が分かるか、心が読める人たちみたい。この子どもたちはその中でも特別なんだと思う。さっきの言葉は青野少年の人格を見たんじゃないかな……内容はちょと分かりにくかったけど」
一息で喋り切り体を弛緩させる。
多分おかしな声になっていたと思う。
今の言葉をしゃべるだけで、全身のエネルギーが尽きてしまったかのように寒気が襲う。
そういえばずっと何も食べてなかった。
私は離席を伝えてしばらくの間、休憩して体力を戻した。
<絶縁の箱庭と妖精族の長1>
「ただいま~ごめんね、長時間放置して。大分疲れてたみたい。状況を教えてくれると助かる」
男の質問に青野少年が答えているのが私が最後に見たシーンだ。
青野少年は自分を拷問した相手に背負子で背負われて森を移動していた。
他にも女の人が一人と男の人が二人いる
正直全く状況が理解できない。
コメント
・乙
・おかえり~
・ゆっくり休めた?
・今は青野少年の荷物を探してるところ
・この人たちは妖精族っていう種族みたい。そこの長が腐食毒で苦しんでる
・青野少年がポーションで治るって教えて今取りに行ってる
・相変わらずの聖人ムーブ。まず自分の体に使うもんだろ。二本あるからいいけど
・青野少年だし
「ぶれないなあ~青野少年。そこがいい所だけど、見てるこっちとしては心配になるよ。まあ私たちが騒いでも届かないんだけど」
いや、待てよ……確かコメントの表示機能があったはず。
あれを使えばコメント見てもらえる。
状況が悪すぎて青野少年は使用していないけど、機会が巡ってくればこっちのコメントを見てもらえるかも。
<絶縁の箱庭と妖精族の長2>
コメント
・いい加減にしてくれよ……人が良すぎだよ
・心配過ぎて心臓が痛い
・なんでポーション二本とも渡してるの
・そりゃ全身まで回った腐食毒はヤバいだろうけどさあ
・これ、親の教育間違ってない?親切っていうか歪んでるだろ
・自分を大事にできてない
・自己犠牲を強要されてきたってこと?
「ストップ、ストップ!そういう憶測はなし。配信見た感じ青野少年は家族を大切に思ってるのは間違いないから。そういう質な人もいるって認識で生温かく見守ろうよ」
危ない、危ない。変な流れが出来そうだった。
私も思うところがないわけではない。孤独の迷宮の時点で割と同じような行動が垣間見えていた。
多分新規が変な燃料を投入しようとしたのだろう。
コメント
・うん?誰か来た
・あのルーヴィって人だろ?
・声違う
・うおっ!
・ふぁー!!
・意識飛んだわ
・とんでもない美人
・妖精族みんな美男美女だけど、この人飛び抜けてる
・目が離せなくなる
・あ、果物取り出してる。ニアの宝珠?
・すごい勢いで治りだした!ポーションほどじゃないけど、すごい効き目だ
・……謝罪してくれるみたい。今更だけど
・下が勝手に動いたんだからしょうがないだろ。全身腐食毒に侵されてたんだぞ
・そうだな、この人に罪はない
・美人が出た途端、おまえら判定甘くなりすぎだぞw
・うっひょー!奴隷宣言!!青野少年羨ましい!!!
・違う、この人めちゃくちゃ怖いこと言ってるぞ
・青野少年、恐怖で仰け反る。孤独の迷宮でも見られなかった顔
・……あの世界の人間クソだろ
・一応、納得は出来ないけどあの男の行動も理由があったわけか
・人間の子ども一人見たらそりゃ焦るわな
・吐き気を催す邪悪
・俺らの世界でも歴史的には同じ人間にひどいことしてるだろ。秩序が未発達な世界なら有り得る
「奴隷宣言かと思って焦ったけど、いつもの青野少年で安心したね。でもあのレベルの女の人に迫られてハッキリとノーが言えるのは流石だね。皆も青野少年を見習うように」
でも青野少年、あんまりやたらめったら女の人に優しくするのは減点だよ。君にその気がなくても女の子は本気になっちゃうから。
<絶縁の箱庭と名もなき悪意たち>
コメント
・美味しそう。お腹空いてきた
・一生懸命食べてる。可愛い。
・ボロボロだったし緑のスープちょっとヤバそうな見かけしてたしご馳走だろ
・でもあのスープを旨いって言ってたぞ
・ルーヴィさん美味しいの!?って驚愕してただろ
・青野少年は携帯食料顔色変えずに食える猛者だぞ。他の人大抵リバースしてたのに
・あのルグランとかいうやつも吐いてたな。あれは青野少年、狙ってただろ
・そのくらいの復讐は可愛いもんだろ。そもそも自分から食ってたし
「どんな味なんだろうね。そもそも不味く作るなんて悪意があるよ。許すまじ、上位観測者」
なんだか和む光景が広がっている。
喉元過ぎれば熱さを忘れるとは言うけど、青野少年の切り替えの早さには私たちが置いて行かれる。
まあ妖精族に囲まれて、美味しそうにご飯を食べる姿を見ていたら段々と毒気が抜かれてきたけど。
生の虫を丸かじり発言はびっくりしたけど、冗談だろう。現代日本に虫で飢えを凌ぐ子どもなんているはずない。
私も適当に何か摘まもうかな。
またルグランとかいうのが絡んできて再燃しかけるが、私が皆に注意して火元を消す。
ここは青野少年を愛でる場面なのだ。余計なものはいらない。
コメント
・青野少年の胸倉掴むな!
・こいつ、いちいちリアクションが
・ぶん殴りてぇ……
・お、まて、この流れは……
・キターーーーーーコメント表示機能・解・禁!!
・打つぜ、どんどん打つぜ、ほら打つぜ
・元配信行っちゃう?行くしかねえ!!
・あ、ちょっとまって今、元配信が滅茶苦茶荒れてるぞ
・なんで?そんな要素あったか?
・ルグランに対して言ってる、のか?
・いや、今見た、燃え上がって勢いが止まらない
・このままだとヤバくない?青野少年が見るぞ
「確かに不味いかも。みんな、元配信で静止呼びかけて。コメントの流れを止めないと対話どころじゃない。あんまり打ちすぎは駄目だけど、目に触れないことには誰も気づかないから」
みんなに協力してもらったけど、勢いは全く止まらなかった。余りにも母数が違いすぎる。
青野少年はコメント表示機能を使ってしてしまった。
「ああ、駄目!みんな兎に角何か打って!止めて!」
膨大な数の悪意あるコメントが流れ、青野少年は固まった。
私たちと同じような考えの人がいたか分からないけど、僅かばかり良識あるコメントはあったと思う。
それでも大半は悪意にまみれたものだ。
善意は青野少年の目には留まっていなかった。
青野少年は妖精族の人たちに事情を話し、宴から姿を消した。
コメント
・勘違いしてもしょうがないけど、あんまりじゃないかよ
・最悪に悪意あるタイミングだった
・神様って青野少年のこと嫌いなのかな
・コメント打った人間はこうなること想像できなかったわけ?
・あの拷問みてたらやむ無しかもな。俺も全く受け入れられてないし、ルグランとかいう奴に罵声浴びせたい気持ちはある。それでも青野少年が何も言わない以上俺も何も言わないけど
・そっか、コメントしてる人は見てた人か
・でもさ、一番傷付いた青野少年が、俺たちの言葉でまた傷付いてるって……
・あれね、人間はクソってことね
・その結論は……正解です
「私も早く気付くべきだったよ。罪悪感で死にたくなってきた」
青野少年が一人で星を見ているところに二人の子どもがやってきた。
寄り添いあって青野少年のことを慰めているように見える。
この二人はずっと味方だった。
少しでも青野少年が癒されることを願った。
<絶縁の箱庭と試練突破の条件>
朝目覚めてニュースをチェックする。
青野少年の話題が中心だ。
……あ、嘘、私の事が記事になってる!
咄嗟に取った行動が有名人たちに褒められている。
逆に悪意あるコメントを煽った奴らは干されている。
有名になるのは前の私なら喜んだところだけど、今は素直に喜べない。
「おはよう~なんか閲覧数おかしくない?すっごい増えてるけど?」
コメント
・初見です!
・初コメ
・メイちゃんのSNSから来た
・昭君が絶賛してたから見に来たよ
・乙
・おはよ~
・よ、有名人!
・まあ、あれだけ騒がれればね
・どうしてあんな行動がとれたんですか?
「あ~だってこの配信は青野少年を愛でるために配信しているわけであってイライラとかと無縁でいたいんだよね~。私たちはお肉食べてる可愛い青野少年を見て楽しんでたの。ルグラン程度に目くじら立ててどうすんの?青野少年が水に流してるのになんで攻撃してるの?そんなの自分が言いたいから言ってるだけでしょ?青野少年のこと思ってるなんて言えないよね?結果青野少年を傷付けて何がしたかったわけ?どうしてあんな行動がとれたんですか?違うよ、逆だよ逆、何であんなことやってんだよって言いたいね」
わざと苛立った口調で話す。感じ悪さ全開だ。
これでいなくなるなら知らない。
コメント
・お、ガクッと視聴者数減った
・いいよ、どうせ厄介ファンモードのママカ見たらどっか行くし
・そそ、早いに越したことない
・
・
・
・おはよう青野少年
・ルーヴィさんとご飯食べてる。治ってよかった
・この二人雰囲気いいよな。見かけは違うけど姉弟みたい
・ルーヴィさんは最初から青野少年心配してたから
・もう出ていくの?あ、そう言えば怪我が治るまでの話だっけ
・事情が変わっただろ。それこそルフリア様の命の恩人だしルーヴィさんの言う通り
・家族に危険って……信じられるか、これ15歳の子どもなんだぞ
・青野少年の方が余程危ない場所にいるだろ。俺たちが生き急がせてるのか……
「この子は止まらないね。優しい気持ちで見守ろう。私たちだけでもちゃんと見届けてあげよう」
青野少年はルーヴィさんとルグランとルフリア様の前で、試練の事情を全て話して情報提供を求めた。
彼女たちは青野少年の言葉を全て信じた。
そしてルフリア様によって試練の情報が齎された。
コメント
・よかった、やっと運が向いてきた
・これもう試練終了じゃない?妖精族の集落に滞在させてもらえたら危ないことは少ないし
・あの台座が拠点?孤独の迷宮の最後で見たやつに似てる
・おお親の顔より見た半透明の板
・拠点所有者ベリエル?ルフリア様じゃないのか
・誰だろう……
・天竜?箱庭の王?いやいやいや、七日で七千万?
・……あああああああああ
・交渉不可能?倒すしかない?は?
・気が狂いそう。なんだよ100mの竜って
・これ嘘とかじゃないの?
・嘘つく理由ないだろ……
・せめて伝聞で誇張表現が混じってるくらいは考えられるけど
・上位観測者は最初から青野少年を始末するつもりだったんだ
・クソどもが
・青野少年……まだ諦めないのか
・ルフリア様の提案を秒で断る平常運転。うん、青野少年意外と余裕あるな
・なんで当事者が俺たちより動揺してないんだよ
「青野少年は誰も巻き込みたくなんだよ……」
絶望を突き付けられても前を向く。
どうしてそんなに強いのかな。なんだか悲しくなってくるよ。
コメント
・日数で言えば短かったけど、凄く長く感じた
・色々あったからな。悪いことも悪いことも悪いことも
・いいこと一個の無いじゃん
・あっても全部消し飛ぶくらい悪いことあったからしゃーない
・ルフリア様最後までブレない。これ最早押し売りだよ
・青野少年も一切ブレない。お、回復薬助かる!
・ルグラン、こいつもある意味ブレないな
・もうどうでもいいわ、取り敢えずイケメン禿げろ
・禿は止めてあげようよ(いいぞ、もっとやれ
・ルーヴィさん……
・青野少年ってどんな人生歩んできたの?妖精族に嘘が通じないなら今の言葉も真実だろ
・やっぱルーヴィさんだわ、泣きそう
・もう泣いてる
・駄目、青野少年の言葉は駄目、画面が見えない
・心がぐちゃぐちゃになる
「グスン……ごめん、こういうの無理なの。私、屑の自覚あるけどそれでも何にも感じないわけじゃないから。誰か青野少年のこと幸せにしてあげてよ。どうしてこんなに苦しいの……」
この子が何をしたのだ。良い事しかしていないのに。全部間違ってる。
悪人がのうのうと生きて、善人に過酷を強いる。
上位観測者は神に近しいものなんかじゃない。正真正銘の悪魔だ。
<絶縁の箱庭と二人旅>
コメント
・体力どうなってんの?
・朝から晩まで碌に舗装されてない道歩いてるのにぴんぴんしてる。鉄人かな?
・何だかんだ妖精族の集落に辿り着いて正解だったな
・流石に初期装備でサバイバルはきつかった
・一番平和だな
「安全とは言い難いけど、大丈夫そうだね~。長い目で見守ろう。そろそろ他の試練資格者の配信も出てくると思うけど、私は浮気しないつもりだから宜しくね」
青野少年が休むとき、無事を祈って私も眠りについた。
<絶縁の箱庭と絶望の頂1>
コメント
・やっとコメント出来るようになった
・目が合ってから息できなかった
・画面越しで感じる恐怖じゃないだろ……
・あんなのにどうやって交渉するの?
・戦うなんて不可能だろ
・やっぱ無理だ。今からでも妖精族の集落戻って平和に暮らそう
・それも有りなのかな
・天竜を見た後はどうするんだったけ?
・他の拠点を探すか武器を探すだったはず
・探すとしたら拠点だろ。武器なんて核でもないと無理。戦闘機でも勝てなさそうだし
「青野少年、ルフリア様から貰った地図見てるね。やっぱり狐人族の方角に向かうみたい。何もないといいけど」
天竜という存在が100年前の地球にいたとしたら、多分人類は全滅させられていた。
それほどの生物だ。いや、今でも勝てるのだろうか。
そんな存在に一人で立ち向かおうとする。
天竜の持ち物でない拠点さえあれば、生きて帰れるのに。
私はただ願った。
<絶縁の箱庭と絶望の頂2>
コメント
・さっきの水柱は何だったんだろう?
・いよいよ運なくないか、青野少年。ジャストタイミングで噴出したぞ
・今日はここまでかな。服乾かさないと風邪引く
・この配信の倫理観のラインは歪だよね
・裸はアウト、トイレもアウト、バラバラ死体はセーフ。グロだけ倫理緩々過ぎるだろ
・それこそ上位観測者の趣味だろ。パンイチはセーフだな。ゴクリ
・細いけど引き締まってる……少年の……
・色白だね
・ママカ的にはどうなの?いたいけな青少年の体は
「いや、みんなほどほどにして。思うのは自由だけどコメントは止めといて。私は当然ノーコメントだよ。この配信のアーカイブを万に一つでも青野少年が見たときの為に迂闊なことは言えないから」
もう手遅れな気がするけど、男の子の裸に長文喋る女とかヤバすぎるからお口チャックする。
コメント
・え、青野少年が立った
・怪物?人?
・いや、何も見えないけど
・石投げたな。青野少年には見えてるのか?
・ケモミミだ!野郎かよ……しかも強面ぇ…
・ちょっと、人間嫌われ過ぎだって!いきなり切りかかってきたぞ
・おらルフリア様特製首飾りを喰らえ
・交渉の時間……青野少年なんか持ってたかな?
・あの殺人的な不味さの携帯食料はそれなりに売れんじゃないか。狩りに使える
・ちょっと強気な青野少年もいい
・武器はいらないんじゃないかな……鱗切れても意味ないような
「私としても武器より情報がいいと思う。見守るしか出来ないのが辛い。アドバイスできればなあ~」
ファーストコンタクトは心臓に悪かったけど、妖精族との接触より100倍穏便だ。
ここで拠点の情報が手に入ればいいけど。
<絶縁の箱庭と狐人族の娘>
コメント
・おはよう~あれ、どこだよここ……和室?青野少年何処にいるの?
・夜明け前に迎えが来てた。ママカもまだ寝てる。場所は集落の中の長の屋敷
・日本風の街に日本風の建築物が建ってた。青野少年も不思議そうな顔してた
・今はこの顔の怖い人と交渉してるよ。長みたい。ルフリア様みたいな美人が恋しい
・代価は治療か…ここでニアの宝珠か?
・希少だしあれが代価なら大抵のものは貰えそう
・なんだか雲行きが怪しいぞ。ニアの宝珠が効かない病人がいるような話しぶりなんだけど
・効かなかったみたい……ヤバイですえ、万策尽きましたえ
・焦る青野少年、期待に胸膨らむハチクロ!ステーンバーイ
・おおおおっやっとケモミミ少女来た!これを待ってた!
・可愛い、めっちゃ可愛い!!美少女が二人もいる!
・箱庭の女の子顔面偏差値高いよな~
・いや、青野少年の引きがいいだけ。他の配信始まってるけど、人間族はお察しだった
・身分の高い人はきっと美人だろ。まだ見たことないけど
・いよいよ治療か。違う意味でドキドキしてきた
・これ駄目だったら切り捨て御免とかないよね……妖精族の首飾りあるから大丈夫だよね?
「どうするつもりなんだろう……既に万策尽きた顔してるように見えるの私だけかな」
コメント
・目の病気か
・しっかり診察してるけど、若干時間稼ぎに思えなくもない
・青野少年の灰色の脳が言い訳を必死に考えている
・うわ、なにこれ目が全部混じり合ってる。生理的にキツイな
・折角可愛いのに……
・青野少年が右手を出して何かしてる?
・そんな技能……そもそも技能無かった
・青野少年に技能がないの、いつも不思議なんだけど
・ハチクロ可哀想。これは青野少年が悪いよ
・ん、ここでニアの宝珠使うの?効果なかったはずじゃ
・え、ポーション先輩?いたんですかポーション先輩!
・動画の概要に載らなくなかったから無くなったかと思ってた
・ここで使っていいのか?有ると無しじゃ安全マージンがまるで違うぞ
・青野少年だし
・青野少年だから
・迷いないね、あーあ使っちゃった
・勿体ない。治るかどうかも分からないのに
・様子が変くない?アオイちゃん動かなくなったぞ
・え、服が割れた!いや、結晶化したのか!
・やばいやばい、なんか目の治療どころじゃなくなった!
・どういう理屈で何が起こってんの?
・アオイちゃんの目が光ってて、視界の範囲が結晶化したように見えた
・いやいや、布とかで抑えろよ、手は駄目だろ!
「多分抵抗力が違うんだよ。布は一瞬で壊れた。でも青野少年の手はゆっくり侵食してる。布で防ぎたくても防げないんだよ」
コメント
・こんなところで死ぬのか
・もうどうでもいいから手を離せよ!
・え、コントロールしろって出来るものなの?
・痛い痛い痛い
・体から結晶生えてきた、皮膚突き破ってる……
・体の中絶対痛いだろ!
・どうしてだよ、いい加減にしろよ、逃げろよ!
・もう肩まで来てる、駄目、死ぬ……ここで死ぬ
「……大丈夫、絶対に大丈夫。青野少年は死なない。生き残る。信じてるから……お願い神様……」
アオイちゃんがコントロールに成功したおかげで、青野少年はギリギリで何とかなった。
結晶化を解かれ、ニアの宝珠で治療を受ける青野少年。
コメントからも安堵のコメントが流れる。私も腰砕けになった。
<絶縁の箱庭と白銀の刀>
コメント
・昨日の宴は面白かったハチクロの絡み酒が特に
・膝枕してたな。色々阿鼻叫喚だった
・アオイちゃん、あれは完全に青野少年にホの字だろ。尻尾ブンブンだったぞ
・逆にあれで堕ちない子がいたら連れてきてみて
・絶対に叶わない初恋だよなぁ
・青野少年は欠片もそんな気なさそうだし、元の世界に帰るし
・帰れたらな。信じてるけど
・それより武器だよ武器!ファンタジーな装備と言ったら聖剣とか魔剣だろ?
・世界観的には勇者とか魔王とか居なさそうだけど
<絶縁の箱庭と担い手1>
コメント
・綺麗な洞窟だな、光ってる
・ここに伝説の鍛冶師がいるのか
・エルフみたいな妖精族がいたから、ドワーフみたいな種族もいるんじゃない?
・刀が刺さってる……
・しゃ、喋ってるよ!インテリジェンスウェポン、キタコレ!
・誰だよ、マサムネなんて名前つけたやつ
・これ過去に転生者とか居たんじゃないか。よくあるだろ
・創作の話であって本当にそんなことないだろ。あるとしたら転移じゃないか。試練資格者は箱庭に転移させられてるし
「喋る武器。定番と言えば定番だけど、実際に目の当たりにすると感動するよね。それにしても口調がなんともいえない。見かけは凄く綺麗なのに」
明かされる真実というか、この集落の文化を一から伝えたのはこの刀だった。
どう考えればいいんだろうか。箱庭に日本と似た文化があるのか、日本から刀だけ転移したのか。
コメント
・抜けない刀か。勇者的な存在なら抜ける?
・そういう感じじゃなさそうだけど
・単純に腕力じゃ無理なんじゃない。重機ならいけるか?
・そんなものあるか
・青野少年も握ったまま動かないな。やっぱり抜けないか
・寂しそうだな、この刀
・こんな場所に一人だろ。そりゃなあ
・様子がおかしくないか。気のせいかもしれないけど、少しずつ刀の光が明るくなってない?
・いや、なってる、明るくなってる!というか洞窟が揺れてるよ!
・なんか凄いぞ!ここに来てファンタジーが前面に出てきた!
・抜け青野少年!君なら出来る!って体が燃えてるぞ、消火器は何処だ!!
・熱そうじゃないけど、見てるこっちは心臓に悪いわ!
・いったー!抜けたー!!
・でっか、これ刀のサイズじゃなくない?
・熱い展開……青野少年もマサムネもやべぇ
・これ、希望見えたんじゃない?絶対凄い武器だって
・天竜なんぼのもんじゃい!ぶった切ってやらあぁ!!
・切るのはお前じゃないだろ……
「かっけ~、もう青野少年が世界の主人公だよ。上位観測者予想してた?これが青野少年だよ。お前らの企みなんて踏みつぶす存在だよ」
<絶縁の箱庭と担い手2>
コメント
・こいつらまた宴しとる
・青野少年完全にツッコミマシーンと化してる
・伝説の武器としての風格の無い伝説の武器マサムネ
・酒が入ると陽気な強面コンビ、ダンクロウとハチクロ
・
・
・
・青野少年おはよ~相変わらず狐人族は朝が早いね
・もう昼だから……青野少年鍛錬始めてるよ
・ちなみに明日には旅立つよ
・展開速いな。そう言えば時間に余裕があるわけじゃないしな
・青野少年どう考えてるんだろう。天竜に拠点借りられなかったら別の拠点探しに行くのかな
・時間的に難しいと思う。今まで見つけたのも全部外れだったし
・……戦うのかな
・それしかないなら青野少年は戦うだろうな。その準備はしてるわけだし
・お、鍛錬始まった。マサムネ持って集中してる?
・白い光が青野少年の体から出てきてる
・早っ、今何メートル移動したの!
・それどころじゃない。影も見えない
・もしかしてマサムネは持ち主の身体能力上げる力があるってこと?
・これ、マジで勝てるんじゃないの
・
・
・
・結局アオイちゃんに何も言わずに出てきたね
・青野少年にしては塩対応だよね。妖精族の子どもとは打ち解けてたのに
「これまでの行動を考えたら何となくわかるかな。青野少年は何にも残そうとしてない。ルフリア様から天竜の話を聞いた段階で戦う覚悟で動いてる」
<絶縁の箱庭と三人旅1>
新たに旅の仲間が増えて青野少年の道中の会話イベントが起きるようになった。
まあずっと喋ってるわけじゃないけど、今まで一人だったことを考えれば大きな変化だ。
それにマサムネと話している青野少年は年相応で楽しそうだ。
「やっぱりこうじゃないとね~平和が一番。早いところ天竜をどうにかして青野少年の異世界生活を堪能したいよ」
コメント
・今日はここまで?随分早く野営の準備してるね
・お、鍛練みたい
・やっぱ早え!すげえええええっ!
・白く残る残光、カッコイイなあ
・うお、火の玉出たぞ!魔法だ、魔法使ってる!!
・え、あ………
・あ、青野少年、生きてる?死んでないよね?
・大丈夫っぽいというか、なんか回復してる?
・説明ないから全然わかんない
・また吹っ飛んだ
・明らかにコントロールできてない
・これもマサムネの力?
「う~ん、もしかしてマサムネって色んな技能持ってるんじゃないかな。マサムネの技能だから青野少年は上手く扱えない……でも身体強化は上手くいってることを考えれば個人の適性があるのかも。まだ出てきてない技能があっても不思議じゃないね。有能な人はある程度まとまったら教えてね」
<絶縁の箱庭と三人旅2>
コメント
・今日も鍛錬お疲れ様
・身体強化は良い感じだな、順調に進歩してる。魔法は……うん、まあ、ね
・ダメダメだって言っちゃえよ!
・威力が凄いし射程があるから、使い熟せればいい武器になるけど
・威力凄すぎて8割は自爆してるね
・徐々に回復速度も上がってる。まさしく怪我の功名
・新しく守護の魔法も使い出したぞ、青い光のやつ
・自爆防御専用魔法な
・着実に強くなってる。残りの日数でどこまで行けるか
・今日のご飯はおやきか。あれ美味いよね
・マサムネの知識、そう言えば謎だな
・昔の担い手……硬派な人だったのか
・……マサムネ
・前の担い手の人、どうしてそんなに戦い続けたんだろ
・二人とも黙っちゃったな
・青野少年、マサムネのこと撫でてる
「マサムネの謎が益々深まったね~。でも青野少年と出会ってくれたことには感謝だよ。お願いだから私たちの代わりに青野少年を守ってあげてね」
<絶縁の箱庭と遭遇1>
コメント
・ここまでくると露骨に生き物がいなくなるな
・天竜に近いからね
・青野少年、どっか遠くを見てない?
・鳥?
・誰か襲われてるみたい
・即座にダッシュ!判断早いよ
・青野少年だし
・やっぱり襲われて……鳥じゃないじゃん!ワイバーンだ!
・新魔法だ!レーザービーム!
・えっぐ…ぐろおぉ……
・バラバラじゃん…唐突にスプラッタは勘弁
・助けようとした人、生きてる?死体で潰れてない?
・魔法はやっぱりコントロールに難あり
・ケモミミだ!……血塗れの
・折角のケモミミが……
「飛んでるから魔法が効果的なのは分るけど、ちょっと可哀そうだね」
誰もあんまり疑問に思ってないけど、青野少年の強さはもう人類を超えてる。それでも天竜は……。
<絶縁の箱庭と遭遇2>
コメント
・人間族って屑過ぎない?
・他の試練で箱庭の人間族見るけど、普通に見えるけどな
・でも人間族の大陸って妖精族もケモミミもいないよね
・全滅させたってことじゃないの。この大陸以外の人族を
・他の試練受けてる人にコメントして、人間族が持ってるこの大陸の情報聞いてみる?
・というか他の試練受けてる人で船の技術提供してた人いたよね
・他にも兵器の設計図渡した奴いたぞ。不味いんじゃないの、これ
・下手したら俺たちの所為でこの大陸侵略されるぞ
・今から技術提供止めさせられない?
・あっちも命とか資源が掛かってるから難しい
・6万人をどうやって止めるんだよ。それにもう遅い
「私たちにどうにか出来る問題じゃなけど、もどかしいね。今の人間族がこの大陸に価値を見出してないといいけど……」
<絶縁の箱庭と天竜~弱者と強者>
ついにこの時が来た。
画面には天竜の姿が映っている。だが恐れはない。
私はこの戦いを見守るにあたって最大の準備をしてきた。
元配信も私の配信も満員御礼だ。見たこともない数字が並んでいる。
最早青野少年は歴史上で一番の注目を集めている。
「排泄ヨシ、オムツヨシ、体調ヨシ、準備は完璧だよ!」
コメント
・いや、オムツって……
・天竜との戦いだ、オムツは必須だぞ!
・俺トイレに座って扉開けて画面を見てる。抜かりはない
・え、そんなにヤバイの?
・天竜との遭遇を見てないのか……今からでも遅くないからトイレで見ろ。絶対漏らす
・何だったら体の穴全部から漏らす
・ええぇ……冗談だよね?からかってるだけだよね?
「みんな知ってるかな、この戦いで賭け事が行われているの、アメリカが主導でね。こんなくだらない賭けに乗るやつなんていないよね。私は青野少年の勝利に今月の家賃を除く全財産10万3471ドル賭けた。オッズは108倍だったよ」
コメント
・うっそだろ、そっちに賭ける馬鹿とかいるのかよ。俺は青野少年に1万ドル賭けたwww
・不謹慎にもほどがあるだろ。貧乏だから青野少年に1000ドルしか賭けれなかった
・おいおい、賭けなんて成立しないだろ、お金をドブに捨てるなよ。青野少年に全財産賭けてやったぜ!
・青野少年に一億賭けた。別に勝たなくてもいい、拠点が使えさえすればいい。帰ってきてくれ……
・一億?こんなところにそんな金持ちいないよね
「私が言っても説得力ないけど、賭け事は計画的にね。私は青野少年が負ける方に賭けてる奴らに腹立ったからやっただけだから。みんなもそんな動機だと思うけど。……ところで1億円は冗談だよね?まさかドルとか言わないよね?」
天竜と青野少年の会話が始まる。
天竜は人の言葉を解するが、話がまるで通じていない。
拠点の使用権は貰えそうにない。残された道は戦って勝利することのみ。
青野少年がマサムネを抜く。
一人と一匹の咆哮と共に戦いは始まった。
「青野少年、勝って!」
コメント
・天竜の初撃サンドブラスター!
・当然のように魔法使ってくる
・もはや迫る壁だろ殺意たけえっ
・こえええ、でも青野少年がその程度でやられるかよ!
・もう間合いが詰まったぞ、いけ青野少年!
・かった!マサムネが弾かれたぞ
・今の渾身の一撃だっただろ、まさか傷すら付いてないのか
・極太レーザービーム!!
・皮膜すら通らない、これも弾かれてる……
・炎に巻かれてる、早く逃げて!
・え、いきなりカメラどっか行った?え、何処ここ
・空中に打ち上げられ…いや、それどころじゃない
・臨場感仕事しすぎだからぁ!
・寒気が止まらないよ、ヤバイの来るよ、ブレスだ!
「青野少年、避けて……」
空中でマサムネの力を放出してブレスを間一髪で躱す。
目まぐるしい攻防、もう生身の人間の戦いじゃない。
心臓がバクバクと鳴る。
体から色んな体液が滲み出てきてるけど、気にしてる余裕もない。
コメント
・い、生き残った……
・もう、マサムネの力関係なく、青野少年は人間越えてる
・神話の戦いだろ
・睨み合ってる……
・さっきの攻防で出すもん出し切ったけど、怖すぎてまだ出そう
・嘘だろ、まだ全然本気じゃなかったのかよ
・天竜怖すぎて話が頭に入ってこないよお……
・青野少年「他の人族に拠点貸して上げて」天竜「めんどいから嫌だ」
・簡潔すぎぃ…合ってるけども
・青野少年折れてない。でも……
「私は絶対あきらめないから、みんなも諦めないで。青野少年を信じて」
戦いは仕切り直される。青野少年の火傷や傷は回復している。
まだ何も負けてないんだ。
コメント
・天竜よりでっかい風と雷の球……嵐の球か
・だからポンポンと気軽にそんな攻撃してくるなよ!
・体の震えが止まらない…あれ一発で山が二、三座は吹き飛ぶぞ
・青野少年の雰囲気変わった、え、まさか本気じゃなかった?これで勝つる!
・いやいや、会話が不穏過ぎるだろ。命の制限ってなんだよ!
・ファー飛ぶ斬撃!
・ぎゃー耳が死ぬ!音量下げろ!!
・遅いよ……
・耳がああああ
・爆炎玉!よしっ上手いこと煙幕代わりになってる
・接近されてる!
・今のなんだ、天竜の言葉で青野少年の纏ってた青い光が砕けたぞ
・鍛錬の時に見ただろあれは守護の魔法だよ、いやそれどころじゃないから
・不味い、生身は
・え、青野少年?今、牙に
・残像だ……
「あああああっ来た!いけいけいけいけ!!」
隙だらけの天竜の首に、凄まじい光を纏ったマサムネの渾身の一撃が放たれる。
その一撃は巨大な首をへし曲げ、確かに鱗を切り裂いていた。
だけど刀は首を切ることなく表面で止まっている。
コメント
・今の間違いなく決まってないとおかしいだろ!!
・あの天竜が苦しんでる、でも全然やれてない
・あ、駄目
・うあああ、体ボロボロだよ…やっぱりさっきの天竜の言葉で守護の魔法が使えなくなってる
・ド根性発動!したけど……これ以上戦っても…
・ポーションがあればすぐに治ったのに
・青野少年の体おかしくない?白いものがめっちゃ零れてる
・なんか第二ラウンド以降ちょくちょく零れてたけど、なにこれ
・ねえ、マサムネの言ってることどういうこと?青野少年の体、不味いの?怪我の話だよね?
・……よく見たら、肌に白い部分がある。そこさっきから全然回復してない。それに形がおかしい。削れてる?脆くなって崩れてる?
・まさか命の制限って、力を出し過ぎたら体が崩壊することだった?
・だめ、だめ、だめ、もう駄目だ
「皆諦めないで!最後まで、ううん違う、まだ終わらな……」
言葉が止まる。
今までの恐怖の上を行く、戦いの場にいないのに自分の死すら予感させるプレッシャー。
私の体も言う事を聞かず、カタカタと震えだしていた。
天竜が力を溜めている。世界の全てが天竜の力に恐れおののいていた。
コメント
・ひいっ息が詰まる、冷や汗が止まらない
・さっきと比べ物にならないブレス打つつもりだ
・終わりだ……避けられない
・あんなの勝てないだろ
・ごめん、もう無理だよ
・青野少年……
「……まだ終わらないっ、まだ諦めないっ、私は信じる、青野信也君は負けないんだから、お前らも信じろよ!!諦めるなよ!!」
コメント
・くそっ諦めたくない、信じてるよ!
・あああ天竜がなんぼのもんじゃい!ビビってねえし!
・青野少年!立って!
・お願い、死なないで
その時、青野少年の体を陽だまりのような光が包んだ。
白色の力と異なる何か。
「……回復してる。……光が増してる。マサムネの、青野少年の力が膨れ上がってる?」
強くて優しい光だ。
寄り添い、包み込まれるような力。
これ、本当にマサムネと青野少年の力?もっと別の……。
青野少年が刀を天に掲げる。
光が伸びあがり、空に一本の光の柱が掲げられた。
それが一本の剣のように鋭く研ぎ澄まされていく。
コメント
・何が起こってるの、青野少年無事なの?もう怖くて見れない
・死んでもおかしくない怪我をってるのに、マサムネと青野少年の白いオーラがとんでもないことになってる
・人を越えた何かに成ろうとしてないか
・青野少年が覚醒した?
・悠長にしてる暇ないブレスが来るぞ!
・うああああっ!今度は目がああ!
・眩しい、直視注意!
・だから遅いって
・画面が真っ白になった、何、今何が起きたの?
・一瞬過ぎて分かんなかった
・ギリギリ見えた範囲だと、天竜のブレスと青野少年の光の剣がぶつかり合ったように
・光が晴れる…くおっ、て、天竜が
・うおおおおおっ!!半分になってるぞ、天竜っ!!
・勝ったのか?勝ったよな!
・ま、まて、まだ生きてる、再生してる、終わりじゃない
・青野少年は何処だよ、カメラ仕事しろよ!
・あ、あぁ……嘘だろ、やめてくれよ
・これは、もう……
・どうなった?俺怖くて画面隠してるから状況教えて
・天竜の片足、片腕、片翼が切り飛ばされて無くなってる。でも再生始めてて傷口は塞がってる
・青野少年は左の上半身が消し飛んで体の大半が炭化してる。もう……
・いや、まだ意識がある!良かった…良かったけど…
・この状態でも天竜と会話してる……青野少年、体がまた回復してるぞ
・お互いまだ戦おうとしてる、嘘だろ……青野少年はもう死力だ
・ブレスがまた来る
・青野少年が走り出した。これが、多分最後の攻防だ
「あと少しだよ、天竜は倒せない存在じゃない。青野少年なら、青野少年だけが勝てるんだっ」
青野少年の駆ける先に雷が降り注ぐ。
その全てを片腕で、刀一本で払いながら進む。
とっくに動けなくなるほどの重症の体がさらに傷付く。
それでも、青野少年は止まらない。
研ぎ澄まされ、一振り一振りに込められた刀の鋭さは、私みたいな素人でも極致を超えた絶技を感じさせた。
刀から三日月が放たれ、ブレスを切り裂き天竜の額を割る。
コメント
・強い、本当に強いよ、青野少年
・止まるな、青野少年、走れ、天竜まだ辿り着ければ
・あれだけ通じなかった天竜に確実にダメージを与えてるぞ
・間合いが詰まってき、炎が!
・ここに来て自爆技!?
・しゃあっ、叩き伏せた!
・道が出来たぞ、行け!
・行ける、決めちまえ!
・行け!
・いっけー!
・行け、青野少年!!
「いっけーーーーー!!!」
マサムネから長く伸びた白色の刀身が天竜の首を捉える。
表面の鱗を裂き、その下の鱗を裂き、さらにその下の血肉を裂き、骨を断つ。
世界中の音さえ切り裂いてしまったかのような静寂が訪れた後、完全に分断された首は大地に落ちる。
青野少年は全ての力を使い果たし崩れ落ちた。
天竜の体は力を失い、地に伏せていた。
首だけになった天竜に反撃の意思はなく、勝負は決していた。
「………勝った?勝ったの?本当に、かった……ああああああああっ勝ったよ青野少年!あなたは天竜に勝ったんだよ、箱庭の、馬鹿みたいな理不尽な試練に勝ったんだ……あっ、駄目、まだ終わってないのに…グズン、もう、むりぃいいいい~うわああああん!!」
コメント
・ああああっさいきょうだよ、青野少年、おまえがさいきょうだよ
・画面が見えねえ……もう顔面から汁しか出ないよ
・生まれてから一番感動してる、叫んでる
・あかん、からだの震えが止まらない
・おめでとう、青野少年……
・おめでとう、本当におめでとう
・最高だ最高だ最高だ最高だ
・脳汁がヤバイくらいどばっと出てる
・うっ、感情が爆発して心臓痛い、止まりそう
・いや、こんな場面でお前が死ぬなよ
「ばべ、どぼじだのあぼのじょうでん……ずび~~!ごべん、鼻声になっでだ。んんっ青野少年、天竜と話しようとしてる?」
コメント
・名乗ってすらいなかったな。天竜当たり前のように首だけで会話してる
・それだけ関心無かったんだろ。噛みつかれたりしないかな……
・なんでここで拠点先に貰うんだろ?
・おおお凄い一杯拠点持ってる!
・人間族の大陸で拠点って言ったら小国に一つ、大国でも最大で五つだったからとんでもないぞ
・青野少年のポチポチが早すぎて何個か正確に分かんなかったけど番号的に100以上はあっただろ
・ちょいちょい青野少年何言って!天竜回復させるとか
・ファッ!強気だ
・でもそれが出来るだけの力は確かにある
・どういうこと?わかんないんだけど
「えーと、青野少年は外の状況は知らないはずだけど、多分、大陸内の食物連鎖とか大陸外の人間族のことを危惧はしてるんだと思う。もし人間族がモラスティア大陸に来た時、天竜の存在の有無の影響とか。抑止力としたらこれ以上にない戦力だし。でも大丈夫なのかな……」
コメント
・助けるんじゃなくて、とどめ刺してる?魔法でボコボコにしてない?
・違う、と思う。きっと
・青野少年、魔法が苦手だから仕方ないよ
・天竜の顔がちょっと虚無って見えるの気のせい?
<絶縁の箱庭と大陸周遊1~3>
コメント
・いい景色……
・空の旅、しかも低空飛行だからな。風もないし快適だろ
・そもそもドラゴンの背中とかロマンしかない
・にしてもよく背中許したな
・そりゃあ青野少年と天竜が一晩を共にしたからよ
・ちょっとエッチに聞こえる
・もうこの子の心臓、ダイヤモンドより強いだろ
・まあマサムネいるし
・いや、マサムネ興奮して五月蠅いからって外に置いてたぞ
・その声に天竜が寝苦しそうにしてた
・青野少年ぇ……
「私もマサムネと一緒で興奮して寝れなかったよ。しょうがないから青野少年の寝顔ずっと見てたけど、これって普通だよね~」
戦いの興奮と、青野少年の寝顔とのギャップで情緒が可笑しくなってちょっとアレになったのは私だけじゃないはず。
もう試練終わるまでオムツ必須かも。
青野少年は妖精族の集落と狐人族の集落を巡って、お世話になった人たちに無事を伝えに行った。真面目か。
初めはみんなに信じられていなかった。
天竜を見たことある人間がそう反応するもの分かりすぎるくらい分かる。
今は妖精族の集落に戻ってきたところだ。
あのルグランが鉄塊猪を仕留めたため今日はご馳走らしい。
青野少年を喜ばせた点についてはお礼を言ってやろう。
コメント
・なんじゃろね、ルフリア様にお話って?
・やっぱり勿体なくなってルフリア様のこと貰ってあげるのかな
・将来の不安も取り除けたし有り得る
・ねえよ、拠点だろ。妖精族って森が切り開けなくて困ってただろう
・使用権を渡すってこと?使用権で管理メニューも使えるのかな
・使用権には管理レベルみたいなのがあって、どこまで操作できるか権限を決められる。他の配信で解説してた
・名前だけの最低権限の付与でもリソース交換と帰還は使える。良心的な拠点保有者が近くにいたらマジでヌルゲーだよ
・ルフリア様になら全権限開放してもいいでしょ
・うん、青野少年もそのつもりだろ
・そういえば他の試練挑戦者で誰も拠点そのものを保有できた人いなかったよな
・一時的にはいた。帰還可能時間になってから保有者殺して拠点強奪した奴
・違うぞ、保有者殺したら管理メニューで前もって指定された人間が保有者になっただけ
・そいつは直ぐ殺されたし、同じ国とか周辺国にお触れが出て試練資格者が結構な人数貰い事故みたいに殺された。そいつの国とか相当批判の的になってる。ニュースに出てたろ
・こええ……私生活で青野少年以外ほとんど興味なかったから知らなかった
・それぞれ人間性が結構出てて、他の試練資格者の配信も別の意味で面白いとは思う。ここよりドラマチックな配信はないけど
・あったら裸で町内一周するわ
・実際、天竜討伐の反響凄かったな。ニュース速報まで流れたし、そのときの男のアナウンサーがガッツポーズして叫んだのには笑った。あの人はガチファンだろ。その前からずっとそわそわしてたみたいだし
・世紀の決戦中に仕事させられてたやつ可哀そ
・なお賭けに負けた人たちは違う意味で叫んでた。100%勝てると思ってた勝負に負けたのどんな気持ち?俺は全財産が108倍になった。全額青野少年に貢ぎたい
・迷惑だからやめろ。税金に気をつけろよ
・話変わるけど、ガチファンといえば試練資格者の中にもいたよな。芸能人で事あるごとに喧伝してた
・あ~あった、青野少年の御蔭で孤独の迷宮クリアできたとか言ってたね
・売名行為?
・違うんじゃないかな。元々人気あるし上澄みだぞ
・箱庭の試練の配信も見てて本気で心配してた。今はその子も試練に挑んでるけど帰還条件達成してる
・モラスティア大陸行の船探してたよね。無理だったけど
・発言はちょっと危うい。青野少年に家族から虐待があったんじゃないかとか疑ってた
・別にチラッと話してただけだぞ
「私がご飯食べてる間に議論でもしてた?お、ルフリア様のエプロン姿だ。絶世の美女なのに仕草は乙女でずるいよね~この人世界で大人気で切り抜きの再生数凄いことになってるんだよ」
ちょっと焦げ臭いコメントが流れ出しているな。
芸能人の試練資格者の子は確かにいたような気がする。
私もあんまりチェックしてないから詳細は知らない。
にしてもルフリア様は芸能人と比べても圧勝だろうなあ。
こんな人に見慣れたら全人類等しく芋っぽいか思われそう。
青野少年は大丈夫だろうか。
美人に見慣れすぎて地球に戻ってきてから恋とか出来なくならない?
コメント
・拠点を譲るの!?折角の苦労して手に入れた報酬減っちゃうよ!
・勿体ねぇ……ルフリア様も遠慮してるじゃん
・一個くらいいいだろ100個以上持ってるんだぞ
・はああっ!?嘘だろ!!リアルで叫んじゃった
・拠点全部渡すって……青野少年、聖人越えてエンジェルかよ
・ルフリア様がいくら美人だからって貢ぎすぎだよ
・ちゃんと青野少年の話聞けよ。この子の危惧は確かにある。むしろ正解だろ
・理屈が分からないからね。全てをストレージに入れるって表現が曖昧過ぎる
・モラスティア大陸そのものが消える可能性すら有り得るし、そこに住む人も含まれるかもしれない
・これ荒れるだろうな
・元配信はアンチ大量発生してる。何様だよこいつら
・全部青野少年が一人で手に入れたものなのに、お前らが権利主張してんじゃねえよ
・天竜と戦って勝ってから言えっての
・こいつら墓穴掘ってるだけ。論破する気にもならない
「こらこら、アンチに構わないで。別にこの人たちは叩きたいだけだから。私は青野君の意見には全面賛成。だって自分たちの立場になったらわかるでしょ?地球に知らない人たちが来て、向こうの都合で資源を根こそぎ持ってかれるとか有り得ないでしょ」
「アンチは他人が不幸になっても自分さえよければいい人たちだから、そこら辺の人間性が備わってないんだよ。可哀想な人たちなの」
構うなと言いつつ思いっきり噛みついてしまった。
私青野少年が絡むと狂犬になるから仕方ないね。声を荒げなかっただけ勘弁してほしい。
にしても気風が良すぎだよ。
アンチとは別の意味で厄介な人が沸きそうで青野少年が心配になる。
そろそろ新興宗教とか生まれない?
コメント
・ルフリア様受け取ってくれてよかった
・これからを考えるとルフリア様も結構大変だよな
・え、ルフリア様?
・どうしてルフリア様泣いてるの……
・……
・………
・変だと思ってたけど、尽くそうとする理由ってさ……
・心を見て、青野少年がほっとけなくなったから?
・心の色を失うって、それどういう意味だよ
「……憶測は無しでお願い。人の心の中なんて見られていいものじゃない。皆も知られたくない心の内はあるでしょ。この話は聞かなかったことにしようよ」
コメント
・拠点到着
・リソース交換使える!気付いて!
・おお、ポーション先輩チース!
・やった、青野少年の体治った……
・ルフリア様:REC
・流石に見過ぎだろ
・見守るってそっちじゃないよね
・色付くか~意味深っすね
・いやいや、治り具合が心配で確認してるだけだから……そうだよね?
「さっきまでのシリアスどこ行った……ルフリア様ってば意外とムッツリさん?」
コメント
・天竜と青野少年は仲いいなあ
・ルフリア様とタンデムは羨ましかった
・超音速空中ロデオだったけどね
・所々物理法則仕事してなかった
・お、ハチクロに久しぶり!相変わらず近いな
・そういえば界隈では素晴らしい供給源となっているそうな
・ここで話すな、専用板に行ってどうぞ
・ああ、アオイちゃんだ!今日も可愛いね、飴ちゃんいる?
・キリカちゃんの尻尾モフモフや。触りてぇ~いや、勿論学術的な意味で
・ロリコンも別の板に行け、ここはそういう場所じゃない
・そうだぞ、ここは青野少年を××る場所だぞ
・伏字にするな、いかがわしくなるだろ
「みんな欲望に忠実なのはいいけどルールは守ってね。ここは青野少年を愛でる配信だから。にしてもアオイちゃんは好意全開だよね~青野少年は気付いてな……こっわ!びっくりした急にこっわぁ…アオイちゃんに何があったの?私決定的な場面見逃した?」
コメント
・顔面凶器……いや、顔面狂気か
・ダンクロウの子どもであることを分からされた
・青野少年とルフリア様が話してただけだよな
・強いてあげればルフリア様がいつもより気安そうに話してたくらいか
・別に睨む要素なくない?
・嫉妬?
・話すだけでそれはないだろ
・青野少年、アオイママやキリカちゃんとも話してるし
「う~ん推測も難しいなあ。思ったよりアオイちゃん拗らせてるのかな」
同じ女だけど、前提が違いすぎて分からない。
なんでルフリア様だけ睨まれるのか。女の私でも乙女心は複雑に感じた。
コメント
・無事に話がまとまってよかった
・お土産に装備とか色々貰えたね
・マサムネを手放そうとか戦力云々抜きにして可哀そうだら駄目
・ダンクロウがめっちゃ怖くてチビッた。オムツしてたからセーフ
・まだオムツしてるのかよ……
・意外と熱い人だったよね。あの怒りは青野少年のこと思ってだろ
・やっぱり拠点は相当な価値があるのか
・他の配信見ればわかるよ。手に入れようとしたらそれこそ国でも落とさないと無理だから
・それを108個も持ってた青野少年。世界統一も夢じゃなかったのでは?
・うわ~やっぱり勿体なく思えるなあ~だって天竜と戦って手に入れられたのが帰還する権利だけとか
・もともとそれが一番欲しかったものだからいいんだよ
・お、ベリエルの背中で妙な雰囲気が……
・あれれ、ルフリア様そんなにくっ付かなくても落ちないぞ
・おいおい、攻めだ、ルフリア様が攻勢に入った、青野少年を堕としに行ってるぞ!
・鈍いか思ってたけど青野少年はアオイちゃんの気持ち分かってたのね
・ルフリア様に否定されたぞ
・まじで?俺も青野少年と同じ意見だったんだけど……
・この人、人の心が深く読めるから別のものが見えてる。だとすると……なんじゃろ?
・恋愛素人じゃ分かんねえ。ママカは分かる?
「私は……恋愛の話じゃなくて、認識の違いを指摘してるんだと思う。青野少年っていい意味でも悪い意味でも自分のした行為は全部軽く見てる。命がけのことですらね。相手に対してその行為がどれだけ大きいものかちゃんと分かってない」
「だからそれに気付いて、ちゃんと考えるようにルフリア様が言った、そういうことじゃないかな。それはそれとして、どさくさに紛れてルフリア様密着しすぎだから、絶対目を瞑って匂いと感触堪能してるよっ、青野少年から離れなさい!」
言いながら考えたけど不思議としっくりくる。
アオイちゃんの抱える好意は、恐らく青野少年や私たちの認識をずっと超えているのだろう。
ルフリア様はそれを感じ取って、青野少年に釘を刺した。
でも心を読めない人同士はそんなに簡単じゃないんだよ。
ルフリア様、裏山……。
<絶縁の箱庭と最後の一日>
私は早めに朝食を食べてまた画面の前に座る。
コメントがいつも通り賑わっている。それも今日までだ。
どこか名残惜しくもあるけど、青野少年がこの世界に帰ってくることに比べればそんな気持ちは些事でしかない。
青野少年も起きていて、朝日を浴びる大地に目を細めている。
コメント
・いや~何と広大な大地。見渡す限りの平野。これが数日の作業とは思えない
・ベリエル様々だな。なお青野少年……
・青野少年を馬鹿にするなよ!……更地にするのは得意だっただろ
・後でベリエルが均してあげてたけどな
・結局上達しなかった魔法。ベリエル戦だけはまともだったのに
・あああ、もうおしまいか……もう配信が日常になってたよ
・青野少年が毎日見れないのか
・寝顔耐久が出来ないのか……
「寝顔耐久は録画してあるから大丈夫。たっぷりたまったから次の試練まで困らないね」
コメント
・ま、基本だよね
・えへへ切り抜きもいっぱい
・バトルの切り抜きは、未だに見るのに準備がいる
・あれは慣れるもんじゃない。当時の臨場感まで蘇ってきてものすごいエネルギー使う
・昨日の配信は不思議だったよね。どうして一日だけ一人だったんだろう。マサムネも全然喋らなかったし
「それなんだけどさ、私前々から疑問だったんだけど青野少年って誰かと一緒にいる気がするんだ。妖精族からの質問覚えてるかな、あの時青野少年一緒にいる人がいるって喋ってた。妖精族たちはそれを否定しなかった。なんだか同情するみたいな目をしてたよね」
コメント
・そんなことあったかなあ……
・覚えてる。見抜く精度の問題かと思って気にしてなかったけど、本当に誰かいると青野少年が認識しているってことか?
・え、ホラー要素急に出してこないでよ。幽霊でも見えてるの……
・青野少年、何かと謎が多いよな。子どもなのに滅茶苦茶強いし、精神はタングステン以上だし、マサムネを引き抜けたのもよく考えればどういう理屈か分かってないし
・深く考えなくてもいいんじゃない?ここは愛でる場所であって考察は他所がやるでしょ
「まさか配信主が指摘されてしまうとは。ごめん、これは私が悪かったよ。難しいことは考えずに青野少年の帰還を見守ろう」
コメント
・天竜、もう喋るワンコレベルに懐いてるだろ……
・青野少年に甘えてるようにしか見えない
・じゃあな天竜。今のお前は嫌いじゃないぜ
・マサムネまたね
・ああこれでルフリア様見納めかぁ……
・ルグランいらね
・ルカちゃん、ルリちゃん、さようなら
・ルーヴィさん、辛そうなの隠してんるよな……
・みんな、さようなら
・さようなら、青野少年
・そしてお帰り、青野少年!
・空気に溶けて消えていった……
・画面が暗くなった……映像が途切れたね
・ああ、終わった
・どっと力が抜けた
・胸にぽっかり穴が開いたみたい
「これにて青野少年の絶縁の箱庭の試練終了だね。もう魂が抜けるくらい気が抜けたよ。みんなもしばらく浸っていたいよね、感想は後日にしようか。最後までご視聴有り難うございました。今後は振り返り配信するからよかったら見てね!」
コメント
・乙
・お疲れ様~
・しばらく浸らないとなんもする気が起きない
・朝なんだけどねえ
・頭がフワフワする。みんなまたね
・バイバイ!
・おつかれ~
・ノシ
私は静かに自分の配信枠を閉じた。
配信用に使っている部屋を出て寝室のベッドに横になって天井を見上げた。
瞼を閉じればまだ先ほどの光景がありありと浮かんでくる。
「今日はもう何もできそうにないなあ~」
この世界に青野少年が戻ってきた。
この世界に青野少年がいる。
絶望的な運命をその手で切り開いた、夢みたいな本当の話。
これから青野少年の周りはきっと騒がしくなる。
孤独の迷宮の比ではないはずだ。
青野少年はそういうのは好きではないだろう。放っておいてほしいと思うだろう。
「それでも世界は君を知ってしまったのだよ、青野少年……なんてね」
やっぱり寝るのなし!
ベッドから飛び起き、すぐさま配信機器を準備して配信をスタートさせる。
「やっほ~みんな、今日も見てるかな~ママカの試練鑑賞にようこそ~やっぱり浸ってる場合じゃないよ、青野少年の帰還を祝って配信スタート!!」
すぐさま集まる視聴者たち。
さっきしんみりとお別れを言った連中ばかりだ。
なんだこいつら、青野少年のこと好きすぎか。
まあ、私の方が大好きだけどね!
『カバーストーリー:Vtuberママカ』
個人勢Vtuberとして、主な活動は雑談や同時視聴などの生配信や、ネットワーク関連の解説動画などで活動する。
アバターはパンクな格好をしたロックバンドの女ボーカルのような風貌。
声は妖艶だがダウナーでやる気のない印象。実年齢を高く思われがち。
収益化しているが主な収入はハッカーとしての活動に依存している。犯罪行為は行っておらず企業や政府の依頼をこなしていた。
現在は組織に属しておらず、偶に仕事を受ける程度でVtuver一本で活動中。
過去の挫折などから物事を斜に構え、他人の不幸を肴に雑談したりしていたが、青野信也の試練配信を見て光落ちした。
今は青野信也の強火ファンとして活動していて、それに伴い収益が恐ろしいほど増えている。本人としては推しで金儲けをしたいわけではない。
ギャンブルで得た莫大な金銭は使わずに貯めており、視聴者を牽制しつつ青野信也に貢ぐ機会を虎視眈々と狙っている。
とある事情で信頼できる人間以外に姿を見せるのは苦手で、外出の際は変装している。




