表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てしなく続く物語の中で  作者: 毛井茂唯
インターミッション 清明
20/149

第3話 学校と周辺事情



 僕の期待を裏切ったブルータスこと萌香は放っておいて、顔を洗ってリビングに降りた。

 既に母さんが起きていて朝食の準備をしていた。


「あら、もう起きたの。まだ早いわよ?」

「昼間も寝てたからそんなに長い時間眠れなかったんだ。母さんこそ、今日は休んでいても良かったのに」

「こうしている方が落ち着くわ。それに……ふふっ」


 顔色は良いし、何だか機嫌が良さそうだ。

 手伝いも申し出てみたが断られてしまったので、のんびりとスマホで配信を眺めてみる。

 

 おお、第十階層を探索している人がチラホラいる。

 攻略情報を予習しているのか、迷いなくギミックを解いていっている。

 あそこは答えさえわかれば特に化け物もいないし楽な場所だから、みんな僕の探索の時よりハイペースで進んでいる。


 他の配信でも多くの人間が深い階層を探索している。

 六階層を通路を進みながら恐怖に震える体、七階層の足元に注意を払う緊張した表情。

 画面越しでも伝わるホラー映画を見ているような臨場感があった。

 なるほど、僕がヒーローと言われていた理由が分かった。

 

 僕の動画を見たが、他の配信と違って雰囲気が軽い。

 冷静な表情、淀みなく動く体、初めから正義が勝つことが分かっているアクション映画のような安心感。

 幾らこの試練で死なないことが分かっていたとしても、現実味が薄く異質だった。

 

「信也、ご飯の準備出来たわよ」

「うん、有難う」


 まあ、だからどうしたという話だ。

 母さんに呼ばれて食卓に着いてご飯を頂く。

 味噌汁うまっ。

 朝食の汁物一つとっても手間と工夫を感じる。

 やっぱり母さんの料理には敵わないな。


 朝食を食べ終えて、食後のお茶をのんびり飲んでいるとみんな起きだしてきた。

 春香と萌香を観察してみたが普段通りだった。昨日よりずっと元気で本調子に戻ったようだ。


 莉々は寝ぼけた様子のまま僕に近付き、胸の辺りをクンクン嗅いでから、春香と萌香を見つつ首を傾げていた。

 ワンコ並みの嗅覚じゃないか。

 別にやましいことはないがちょっと冷や汗が出た。

 他の人たちが何も察さない内に制服に着替えて学校に行くことにする。


「待ちなさい。また一人で登校するつもり?」

「お兄ちゃん、それはないよ」

「今までは萌香のことがあったから放置してたけど、これからは許さないから」

「コクコク」

「ええ~~、なんで?」


 僕は苦言を漏らすが、母さんと父さんからも待ったを掛けられた。


「信也は花音たちと一緒に登校した方がいいわ。きっと大変だと思うから」

「そうだな。あまり一人にならない方がいいだろうな。人数がいればそれだけ話かけられ辛くなる」

「う、うん、わかったよ」


 家族全員に止められたため諦めて待つことにする。

 一応懸念は理解できるが、そこまで気にする必要があるのだろうか。


「「「「行ってきます」」」」」


 姉妹の準備が出来てから一緒に玄関を出る。

 玄関の前には既に待ち人がいた。

 有紗さんと夕希ちゃんと他二人。


「みんなで登校かい?賑やかだね」

「「塚本のおじさん、おばさん。お早うございます」」

「おはよう、朝から呼び止めて悪いね」

「ごめんなさいね。この人がどうしても信也君の顔が見たいっていうから。勿論私もだけど」


 初めて会った二人は、背の高い銀髪の綺麗な女性と、小柄なタヌキっぽい男性だった。

 記憶を探ってみるとどうやら塚本姉妹の両親のようだ。

 

「僕に何か御用ですか?」

「用というほどの事じゃないよ。……信也君、これからも大変だと思うけど、私たちは君の助けになるなら何でもするつもりだから遠慮なく言うんだよ。それを言いたかっただけさ」

「ええ、いつも助けてもらってばかりだから、本当に遠慮しないでね」

「えっと、有難うございます。何かあればご相談させていただきます」


 確かに青野信也としてご近所さんの困りごとは積極的に解決していたようだが、大したことはしていない。

 取り敢えず社交辞令だろうと考え頷いておく。


「遠慮しないでね。将来息子になるかもしれな……い、痛いよ、ゆ、ゆうきちゃん……」


 夕希ちゃんがにこやかな顔で、塚本おじさんのわき腹に爪を立てて抓り上げていた。

 塚本おばさんは「あらあら」と微笑ましそうに笑っている。

 有紗さんは若干白けた目でおじさんを見ていた。

 

「ち、違いますからね、先輩!これはアレです、お父さんの頭がちょっとアレなんです!アレですから気にしないでください!」


 アレってどれ?

 夕希ちゃんは焦りながら、おじさんのわき腹から手を放さずギリギリと締め上げている。

 おじさん、痛みで震えているから放してあげてほしい。

 

「もうちょっと素直になればいいのに……信也君、これからも妹を宜しくね」

「は、はあ……」


 よく分からないが話は終わりらしいので、幼馴染組も揃ったところで登校する。

 花音姉さんが莉々と手を繋いで先頭を歩き、有紗さんと夕希ちゃんが左右を固める。

 斜め後ろには春香と萌香が続く。

 何、この輪形陣。空からの攻撃でも警戒してるのか?

 気にしているのは僕だけみたいで、みんな普通に会話をしつつ歩いている。


「先輩が無事なのは分かっていましたけど、またこうやって登校できて嬉しいです!」

「そうだね……学校に通い続けるかどうか迷ったけど、試練が終わって何の学もないなんてちょっと嫌だったからね」

「私としても有難いわ。同じ家に住む花音はいいとして、夕希が寂しがるから」

「もぉーー!お姉ちゃんもお父さんみたいなこと言わないでよ!別に先輩がいなくても寂しくなんてならないから!」


 え、そうなんだ。記憶の僕って幼馴染と仲が良くなかったんだ。

 異性の幼馴染は儚い幻想なのね。

 まあ、有紗さんは含み笑いをしているから揶揄っているのだろう。

 ならば乗るか、このビッグウェーブ。

 僕は頭の中のスイッチを、カチリと切り替えた。

 

「…………」


 顔を僅かに下げ、目線は斜め下を見詰める。

 瞬きを止めた瞳には色はなく空虚が覗く。

 言葉に反応したかのようなタイミングで体の動きを鈍くし、戸惑いを演出した。

 ついでに何か言葉を紡ごうとして口を僅かに開き、ゆっくりと見せつけるように閉じ、閉じるのに力を入れて皺を作る。

 周りのみんなの声は途切れていた。シンと音が途切れる。


 ふっ、どやぁ。

 これぞ、お金ない時に物乞いした悲しみの演出術。

 0か100の演技しかできないが、僕は過去の自分の体験をトレースすることで、当時のあらゆる感情を表に出せるのだ。

 余りの威力に老人夫婦から心底同情され、養子にされそうになって以降封印した禁断の奥義。と言いつつホラ吹き爺さんの語りで割と使ってたなんちゃって奥義。

 弱点は一度演技に入ると暫く抜けないことだ。

 多分学校に着くまで戻らない。

 

「えっ、今のは………違くて……」

「ん?ああ、気にしなくていいよ。ちゃんと分かってるから」


 ホントに気にしなくていいよ、マジで。

 そう思いを込めて微笑みを浮かべても、その笑みはさっきまでの雰囲気はなく大切な部品が欠けて壊れたかのような痛々しさがあった。

鈍感な人間、付き合いの短い人間ならばその微笑みの違いは分からない。

だがここにいる人間はちゃんと人の心に寄り添える感受性がある、僕と親しい人間だ。


「「「「「…………」」」」」


 和やかな雰囲気が消え失せた。

 夕希ちゃんは青褪めて震えてしまい。有紗さんは拳を硬く握りしめている。

 花音姉さんは僕に声を掛けようとしたが、言葉にならず口を閉ざした。

 莉々は僕の元に来て背中を撫でてくれている。

 春香と萌香は泣きそうな顔で唇を噛み締めていた。

 

 陽気な朝が、いきなり冬の極寒に土砂降り浴びて濡れネズミになったかのようだ。

 

 試練の後、今の今まで僕は何の影もみんなに感じさせていなかった。

 だから姉妹たちは一応安心していただろう。僕は大丈夫だと。

 そんなところにこれである。絶大な威力だった。

 取り繕っているように見えて薄皮を剥がせばそこにあったのは、未来を悲観する少年であった。

 などと思われているのかもしれない。


 誰かが茶化すと思ったが、みんな口を閉じて喋らない。

 小粋なジョークのつもりが、明らかに狙っていた状況と違い、見えない場所から冷や汗が滝のように流れる。

 誤解を解きたくても、一度スイッチを入れると自主的に奇行に走らないでもしない限り時間経過以外で解けない。

 僕はやり過ぎたことを反省したが、誤解は後で解けば大丈夫と思い、ここで奇行を行うことはしなかった。

 

 そのまま登校を何とか再開したが、やけに視線が多い。

 この集団が目立つことは登校初日にも分かっていたが、今回は少し毛色が違う。

 女性陣に見とれている人も多いが、僕に視線を送る人も相当多い。

 学校に近付くにつれて顕著になっていった。


 さっきの事もあってか、皆の雰囲気は刺々しく辺り睨みを利かせている。

 特に姉さんの気迫は凄い。周囲を一睨みすれば、視界の範囲内の人達はみんな明後日の方向に視線を反らしていた。

 技能にカリスマというのがあったし、それが力を発揮しているのかも。

 

 中学生組と別れて高等部の校舎までやってきたが、姉さんと有紗さんはそのまま僕の教室まで付い来ようとする。

 恥ずかしくて普段なら全力拒否するところだが、演技が抜けないせいで上手く断ることが出来ない。

 結局教室の前まで連れてこられた。滅茶苦茶注目浴びている。

 

「信也、何かあったら私の教室に来るのよ。お昼は迎えに来るからね」


 そう言って手をぎゅっと握ってくる姉さん。

 僕はそれを振り切るように言葉を漏らした。


「姉さん、僕のことは放っておいてほしい」


 注:姉に迎えに来てもらった上に、お昼休みにご飯食べる何て普通しないから。

 ブラコン、シスコンのレッテル張られてもいいの?

 本当にやめてよ、恥ずかしいから。


「信也君。あなたたちの大変な時に何もしてあげられなかった私だけど、本当にあなたの助けになりたいの。一人で思い悩まないで、何でも言って……」


 憂いのある表情で諭すように語り掛ける有紗さん。

 僕は儚い顔で言葉をこぼした。

 

「僕は大丈夫ですから。何も悩みなんてないですよ……」


 注:止めて、超止めて。

 本当に放っておいて。

 悩みなんてかけらもないよ。

 寧ろ今日の夕ご飯は何かな~って考えてルンルン気分になるほど心晴れやかだよ。

 このやり取りさえなければね。

 

 後ろ髪を引かれながら離れる姉さんたちの背中を見送り、廊下の視線を掻っ攫い倒した僕は沈痛な気持ちのまま教室の扉を開いた。


 暗い表情のまま教室に入ってきた僕を大量の視線が襲う。

 好奇心が多い、猜疑心が僅か、嫉妬はそれなり、興味が多数、好意的がそれなり……か。

 話かけたそうな雰囲気はあるが、話かけられずに椅子に腰かけた。

 

 教科書を机に入れ、分厚い小説を取り出す。

 本を開いて中を見る。

 うーん、父さんの本棚から借りてきたけどこれ純文学だわ。

 僕、軽い大衆文学しか読まないのに。

 まあ、話かけんなシールドを展開するための本だから別にいいけど。


「あのさ、ちょっといいかな」


 おいおい、シールド10秒も持たなかったよ。気持ち悪い見掛けの虫の図鑑でも持ってくれば良かったか?

 本から顔を上げれば派手めの可愛い女の子がいた。

 その周りにも二人の女の子がいる。

 着こなしも垢抜けているし、クラスカースト高そうなメンツだ。

 

「君って青野信也君でいいんだよね?あの試練っていう配信で映ってた」

「そうだね。その青野信也だよ」

「やっぱりっ!ねえ、私たちと話さない?君にすごく興味あるんだ」


 僕はないです。

 と言えればいいんだけど、どうしたものか。

 下手な対応をするとクラスから孤立しかねない。

 今もしてるけど、そこは考えないものとする。

 

 ただ興味本位で話してくる不特定多数の人間とコミュニケーションを取り続けるのはストレスだし、付き合いが増えると鍛錬の時間が無くなるから嫌だ。

 今回は方針が思いつかないので応じることにした。

 

「ホームルームまでなら大丈夫だよ。何か聞きたいことでもあるの?」

「えっとねぇ~……う~色々あり過ぎて迷うなぁ」

「じゃあ私から質問」

「えー待ってよ、私から話しかけたから私優先でしょ!」


 あら姦しい。微笑ましいけどここは教室、目立つ目立つ。


 ついでに嫉妬の視線が多くなった。

 入学してからのクラス情勢は知らないけど、これだけ美人な女の子ならもう好意を寄せる男子はいるのかもしれない。

 羨ましかったら立場ごと全部替わってあげたい。

 

「あれだよ、あれ!青野君何か武術っていうのかなー、どうしてあんなにシュパッて動けるの?その道の達人みたいだった。知らないけど」


 転生して化け物と戦い続けたからだよ。

 なんて言えない。だけど言い訳は考えてある。


「イメージトレーニングしただけだよ」


 イメージトレーニング万能説。

 僕が転生で身に着けた技術はもう全部これで行くつもりだ。


「マジで、天才ってやつ?テレビとかじゃ偉そうな人が『その道に10年は置いた人間の動き』とか言ってたのに節穴もいいとこだね」


 それは同意。憶えているだけでその道に500年以上は置いているよ。

 覚えてないのも含めると、一体何年なのか分からないけど。


「怪物とか怖くなかったぁ?わたし、生理的に無理だったんだけど、あの見かけぇ?」

「普通に怖かったよ。でも攻略に必死だったから他の人よりは怖がって見えなかったんじゃないかな」

「そっかー。青野君って軽いというか、安心して見てられるというか、私正直青野君以外の配信見るとすごく怖くて途中で見れなくなるもん」

「それ分かる。配信中の青野君の安心感はヤバイ。今もちょっとぽやっとしてるから安心感あるけど」

「うん、他の男子と違って和むよねぇ~。癒し系ってやつかなぁ」


 どうやら演技スイッチは完全に切れているようだ。

 代わりに気が抜けすぎてぽやっ見えるらしい。


「寝顔も可愛かったよね」

「うん。あ、男の子的には嫌だったかな?」

「複雑だけど感想は個人の自由だから気にしないよ。でも本人に言うのは止めておいて。寝顔の話はちょっと恥ずかしいから」


 女の子たちは顔を撫でながら苦笑いを浮かべる僕のリアクションを見て、顔を見合わせてクスクスと笑い合っていた。

 若い女の子のツボが分からない。

 

「ホームルーム始めるぞ。席に着けー」


 女の子たちの笑いの発作が収まる前に、担任の犬木先生が教室に入ってくる。

 三人は慌てて席に戻っていった。

 派手に見えても、まじめな子たちのようだ。


「出席取るぞ。……今日は青野も登校か」

「はい」

「わかった。ホームルームの後に職員室に来るように」


 母さんが事前に僕のことについて連絡してくれたから、話なんてないかと思っていたけど、そうもいかないらしい。


 ざわつく生徒を注意しつつホームルームを終え、犬木先生の後ろについて職員室を目指す。

 先生は終始無言で何も言わない。僕も話題がないので話しかけなかった。


 職員室に入り、さらにその奥の応接間に通されて「少し座って待ってろ」といって先生は部屋を出ていった。

 適当な下座の席に座ることほんの数分、先生は湯飲みの乗ったお盆を片手に戻ってくる。

 僕の前に湯気の立ち昇る湯飲みが置かれ、先生も自前の湯飲みを置いてから僕の向かいに座った。


「色々大変だったようだな。動画、少し見たよ」

「はあ。そうですか……」

「親御さんから話は聞いているし、学校を続ける意思も聞いた。ただ一つだけ言わないといけないことがあってだな……」


 すごく言い辛そうにしている。

 多分誰かから言わされているんだろうな。


「時期は未定だが、政府が未成年を対象とした特殊なカリキュラムを組もうとしているんだ」

「……なるほど、今後の試練に対応するにあたり未成年を学校ごとに対処させるのではなく一元化して管理する。それでもって学業だけではなく、サバイバル術や試練に役立ちそうな知識や技能を習得させる目的の施設に全員入れてしまおうと」


 犬木先生は目を見開き、驚いたように肩を揺らした。


「俺……今からそれ言おうとしたんだけど、誰かから聞いたのか?」

「いえ、何となくわかりますよ。合理的にはそうなるかなと。ただ、日本にしては動きが速いなあと思いました。恐らく視線資格を持つ全国の学生にも同じように話が行っているんですよね。多分未成年だけでなく全ての試練資格者対象になりそうですけど」

「すげぇな……お前があの鬼畜な迷宮攻略できたこと、ちょっと納得できたよ」


 感心されているような、呆れられているような感じだ。

 犬木先生は苦笑いを漏らして続きを話した。

 

「海外でもこれに近いことをやっている。おまけに国籍問わずの大々的募集だ。初の迷宮攻略者のお前にもきっと声がかかるだろう。寧ろ山のように勧誘が来る」

「日本としては僕に海外に流れてほしくない。接触される前に公務員の先生に釘を刺しておいてもらって、後日具体的な話は政府の方が行う流れですかね?両親は既に何かしらの説明は受けているかもしれませんけど」


「怖っ!?あんまり先生を脅かすな。心読まれてるか不安になるだろ……」

「そんなファンタジーな能力はありませんよ……とは言えない世の中になりましたけど」

「そうだよなぁ……」


 犬木先生とは茶を飲みつつ、少し世間話をして解散した。

 政府も急ピッチで準備を進めているが、まだバタついているようで、いつになるかは全く不明とのことだ。

 断ることもできるだろうが、そうなると世の中がどう反応するか。

 考えても憂鬱になるだけだな、忘れよ。









『カバーストーリー:青野家の風呂事情』



 青野繁夫:

 一人で入るけど、妻とも娘とも一緒に入りたい。

 でも妻とはもう何年も入ってないから言い出し辛い。

 莉々以外の娘たちは、言葉にした段階で汚物を見るような目で見られるだろうな。

 息子は別に。

 莉々、今晩一緒に入るか?

 あ、うん……ごめん……もう言わないから……グスン。


 青野紀子:

 莉々と偶に入るけど基本は一人ね。

 いまさら夫と入る気はないわ。

 信也は流石に年頃だし、嫌がられそうだから一緒には入らないわね。


 青野花音:

 一人で入るけど、時間が無いときは妹たちとも一緒に入るわね。

 タオルをつけてなら信也が一緒でもいいわよ?背中流してあげる。

 父親はどうか?有り得ないわよ、気色悪い。


 青野萌香:

 家族だったら、お父さん以外なら誰でも一緒に入るよ。


 青野春香:

 タオルも要らないよね。

 恥ずかしがるものでもないし。


 青野莉々:

 母と入る?「コク」

 父と入る?「ブンブンブンブン!」

 姉妹と入る?「コク」

 兄と入る?「コクコク」


 青野信也:

 一人で入る、絶対だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ