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第1章 第6話 〜〜復讐

第1章最終話です!お楽しみください。

 俺は、助けを求めるアレスたちの声を背中に聞きながら、古代遺跡の奥へと歩を進めた。結構気持ちよかった。


  彼らの絶望に満ちた叫びが、背後で次第に遠ざかっていく。 俺は、もう振り返らない。だって振り返る意味ないし。


 彼らは、もう俺の人生には必要のない過去の存在だ。 俺の目的は、この古代遺跡に隠された真の秘宝を見つけ出すことだった。


 師匠の書物『万象の錬金術』には、この遺跡について記された一節があった。


「古代遺跡の最奥には、世界の理を司る『根源の石』が眠る。その力は、あらゆる錬金術師の夢であり、真の力を引き出す鍵となるだろう」


 その言葉が、俺の胸を高鳴らせていた。面白そうじゃん。


 遺跡の奥は、さらに危険な場所だった。 床には、触れただけで灰になる呪いの霧が漂い、天井からは、鋭い刃を持つ振り子が規則的に揺れていた。カッケー!


  残念ながら俺の【鑑定】スキルは、それらの罠を正確に見通す。 呪いの霧は、特定の元素を組み合わせた錬金術で無力化できる。 振り子は、その動きの周期を読み解けば、容易に避けることができる。


 俺は、まるで散歩でもするように、次々と罠を突破していった。 かつての俺であれば、一歩足を踏み入れただけで、命を落としていたかもしれない。


 しばらく進むと、俺は、巨大な石扉の前にたどり着いた。 その扉には、見たこともないような複雑な魔法陣が描かれている。


 【鑑定】スキルを使っても、その構造は全てを理解することができない。ちとまずい。


  師匠の書物にも、この魔法陣に関する記述はなかったぞ。 唯一の手がかりは、魔法陣の中央にある、小さな窪みだった。 その窪みには、宝石をはめるような形になっていた。


「これか……」


 俺は、懐から、師匠との最後の試練で作り上げた「星屑の石」を取り出した。本当に有能な石だ。


  その石は、まるでこの場所で待っていたかのように、窪みにぴたりとはまった。 すると、魔法陣が淡い光を放ち始め、石の扉はゆっくりと開いた。


 扉の向こう側には、巨大な空間が広がっていた。 空間の中央には、宙に浮かぶ巨大な水晶があった。


  その水晶は、まるで宇宙を閉じ込めたかのように、無数の星々が輝いている。 これこそが、師匠が言っていた「根源の石」なのだろう。


 俺は、その石に手をかざし、【鑑定】スキルを使った。


  すると、頭の中に、膨大な情報が流れ込んできた。 それは、世界の創造の歴史、錬金術の起源、そして、この世界の全ての物質の組成……。


  俺は、師匠から受け継いだ知識が、まだほんの一部にすぎなかったことを思い知った。


 その時、背後から、荒い息遣いが聞こえてきた。 水を差すな。振り向くと、そこには、満身創痍になったアレスたちの姿があった。


 彼らは、俺が突破してきた罠に次々と引っかかり、ボロボロになっていた。


  クレアの回復魔法は、もうほとんど効果がない。 ゼノは、剣を失い、武器も持っていない。 アレスは、全身に呪いの霧を浴びて、顔が半分腐り落ちていた。そこまでしてくるのかよ。その根性他のことに使えよ。


「アイン……」


 アレスが、震える声で俺の名を呼んだ。 彼の瞳には、俺への恨みと、そして、助けてほしいという切なる願いが入り混じっていた。


「……どうして、ついてきた?」


 俺がそう尋ねると、アレスは、地面にひざまずき、涙を流しながら言った。


「頼む……アイン……! 助けてくれ……! もう、俺たちには、お前しかいないんだ……!」


 彼の言葉は、もはやリーダーとしての威厳など微塵も感じられなかった。 クレアとゼノも、顔を歪ませ、俺に助けを求めている。


「アイン……!」


「アイン……!」


 俺は、彼らの哀れな姿を静かに見つめた。 気分爽快だった。


 彼らは、俺が「役立たず」だと見下した錬金術を、今、喉から手が出るほど求めている。 その事実に、俺は、心の中で冷たい笑みを浮かべた。


 俺は、懐から小さなポーション瓶を取り出した。 それは、俺が師匠の工房で作り上げた「神癒の聖水」だ。 アレスの呪いの傷も、一瞬で治すことができるだろう。


「このポーションを、お前たちに与える義理はない」


 俺がそう言うと、アレスの顔は、絶望に染まった。


「そんな……! アイン、頼む……!」


「お前たちが、俺を追放した時、俺は、もうお前たちの仲間にはならないと決めたんだ。さっきも言ったろ。」


 俺は、そう言い残し、そのポーションを地面に叩きつけた。


 瓶は、音を立てて砕け散り、中の液体が地面にこぼれ落ちていく。


 アレスたちの顔は、絶望のあまり、凍り付いていた。 彼らは、目の前で、自分たちが唯一救われる可能性を失ったのだ。


「さようなら、アレス、クレア、ゼノ。お前たちの愚かさを、一生悔やむがいい」


 俺は、そう言い放ち、再び「根源の石」へと向き直った。 彼らが、どんな末路をたどるのか、俺はもう知る必要はなかった。


 俺の旅は、ここから、新たな次元へと進むのだから。


       〜〜第1章終〜〜


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