竜を食べて強くなる?こんな贅沢な話って本当ですか?
竜を倒した俺は、ぼんやりとその場に立ち尽くしていた。倒したはいいが、まさか自分がこんな巨大な生物に勝つなんて信じられない。だが、竜の息絶えた体がそこにあるのは事実だ。
竜を倒した後、村に戻ると、チョーロウと村人たちが大歓声で迎えてくれた。
「さすが救世主様じゃ!お主のおかげで村は救われた!」
「いや、俺はただ…竜をぶっ飛ばしただけで」
俺自身、未だにどうやってあの竜を倒したのかがよくわからない。だが、チョーロウが言うには「火のカレーライス」を食べたことで火の耐性がつき、俺は炎に耐えられるようになったらしい。さらに、俺の持つ「大食いの力」がこの世界では特殊なものらしい。
「救世主様、いや…こう呼ぶのは少し堅苦しいですの。もしよろしければ、私たちももっと親しみを込めた呼び名でお呼びしたいのですが……」
チョーロウが少し戸惑ったように言った。俺は驚きながらも、少し考えた。
「親しみやすい呼び名か。俺の名前は食満大吾郎だけど、みんな昔から『大ちゃん』って呼んでるよ。そう呼んでくれていいぜ!」
村人たちは一瞬顔を見合わせてから、ほっとした表情を浮かべ、チョーロウもにっこりと微笑んだ。
「そうですか、大ちゃん!それならわしらも遠慮せずそう呼ばせてもらいましょう!」
「大ちゃんか!」「いい名前だな!」
こうして、村人たちが俺を「大ちゃん」と親しみを込めて呼ぶようになった。俺にとっては昔から馴染みのある呼び方だが、この異世界でも受け入れられて嬉しい気持ちだった。
「さあ、大ちゃん!お主にはまだすべきことがあるぞ」
「すべきこと?もう竜は倒しただろ?」
「竜を倒しただけでは不十分じゃ。この世界では、倒した敵を料理にして食べることで、その力を完全に取り込むことができるのじゃよ」
「え、倒した竜を料理に…?」
俺は目の前で話されていることが信じられず、耳を疑った。しかし、この世界では「食べることが強さに直結する」という法則がある。確かに、カレーライスを食べたことで火の耐性が手に入ったのだから、竜の力も食べることで得られるかもしれない。
「では、早速準備じゃ!竜の肉を使った特別料理を用意するぞ!」
チョーロウが指示を出すと、村人たちが手際よく動き始め、竜の肉を切り出し始めた。俺は少し驚きつつも、ワクワクした気持ちが込み上げてきた。竜の肉なんて、どんな味がするんだろう?こんなこと、元の世界じゃあり得ない。
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村の広場に用意された巨大な竈で、村の料理人たちが竜の肉を炙り始めた。肉が火にかかるたびに、香ばしい匂いがあたりに広がり、俺の食欲は刺激されっぱなしだ。
「これが『火竜のグリル』じゃ!」
運ばれてきたのは、じゅうじゅうと音を立てて焼き上がった竜の肉の塊。見ただけでとんでもないパワーが詰まっていそうだ。外側はカリッと焼けており、ナイフを入れると中はしっとりと柔らかい。ジュワッと溢れる肉汁が食欲をさらに刺激する。
「うわぁ…これが竜肉か」
「さあ、大ちゃん!竜の力を取り込むために、たっぷりと食べておくれ!」
俺は一切れを手に取り、豪快に口に運んだ。
「う…うまぁぁぁああああ!!!」
一口食べた瞬間、肉の旨味が口いっぱいに広がった。歯ごたえはありつつも柔らかく、噛むたびに肉汁が溢れてくる。竜特有のスパイシーな香りが、肉の深い甘みと絶妙にマッチしていて、口の中がまるで竜の炎で燃えるような感覚だった。
「こんな美味い肉、今まで食ったことない……!」
次々に竜肉を頬張り、俺はあっという間に皿の上の肉を平らげた。すると――
「うおおおおおおおお!」
俺の体の中に、熱い力が溢れ出すのを感じた。まるで自分自身が火竜になったかのような、圧倒的なパワーが体内に宿った。
「これが…『火竜の力』か……!」
火の耐性だけでなく、炎を使った攻撃能力までもが俺の中に宿った。竜の力をそのまま取り込んだような感覚だ。
「大ちゃん、素晴らしいですぞ!これで次なる強敵にも対抗できるはずじゃ!」
チョーロウは俺を誇らしげに見つめた。そして次の試練について語り始めた。
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「次なる敵は『氷の巨人』じゃ。奴は強力な氷の力を持っておる。だが、お主が得た『火竜の力』ならば、奴を打ち破ることができるはずじゃ!」
チョーロウの言葉に、俺は深くうなずいた。
「火竜の力があれば、氷の巨人だって…倒せる!」
次の目的地は「氷山の洞窟」だ。そこには、凍りついた大地を支配する氷の巨人が待ち構えているという。
「よし、次の試練に挑んでみるか!」
俺は新たな力を胸に、氷の巨人との戦いへと向かうことを決めた。