第六話
前回の続きですー
ジリリリリリリリリリ!
……………………
バンッ
……えーっと、時刻は午前6:42ね。
起こされる時間が日に日に早くなるな。
……あれ?俺目覚まし消したよな?
消してなかったっけ?
外は晴天。
絶好の外出日和だ。
まあ、俺は課題をやらねばならないのだが。
古文なあ……嫌いなんだよなあ……
だいたい、昔の言語なんてなんの役に立つのやら……
「おお、だんだん、起きるのが、早くなるな、慎也、おはよう」
「……誰のせいだと」
「はて、なんのことか」
こいつ……
「そんなことより、朝食だぞ」
「ああ……ありがとな」
納得いかないな。
こいつとの会話いつもこんな感じだ。
のれんを殴るみたいな、水を蹴飛ばすみたいな……こんな感じの諺あったよな。
えーっと、朝食はいつも通り、白米に味噌汁に鮭、『怜定食』とでも名付けようか。
「「いただきます」」
うん、美味しいなやっぱ。
「ふー、やるか」
今日は古文の日。
ちゃっちゃと終わらせるか、めんどいな。
「あれ、慎也、買い物は、行かないのか?」
「ん、ああ、1人で行ってきたら?」
課題やらんといけないし、どうせひまだろ。
ソファの上でずっと一点を見つめてるだけだし。
「それじゃ、困るのだ、一緒じゃ、ないと」
なんでだよ。
……あーでもそっか、こいつまだ12とかだもんな。
大人っぽいけどまだまだ中身は子供なのか。
あれ?そういやこいつの誕生日っていつだ?
「わかった、課題終わらせたらすぐ行こうな」
「む、そうか、早くしろよ」
「わかってるって」
えーっと、課題の範囲は……あれ?
「これ別に提出しなくていいやつだ」
「ほんとか?なら、今日は、ひまだな、行こう」
「いやひまってわけじゃ……」
まだ課題あるし。
「でも、まあいいか、行こうか」
どうせまだ7月24日だし、課題は先延ばしできるし。
というわけで、俺たちは家から徒歩三十分くらいのとこにある、この街最大の電化製品の店にいる。
もちろんテレビとゲームを買うためだ(怜の金で)。
そういや、怜が『秘密売り場』とやらを営んでたあの廃ビルは、まだ取り壊されてなかった。
なんなんだあのビル、曰く付きなのか?
なんかの将軍の首塚みたいに。
「じゃあ俺はここで待ってるから、買ってこい」
「なんでだ、一緒に、行くぞ」
「いやだって別に俺欲しくないもん。欲しがってるのお前だろ?」
「テレビの、買い方など、知らんのだ」
「俺だって知らんよ」
「いいから、行くぞ」
「わかったわかった」
怜に引っ張られながら、俺は怜と一緒に店の中に入る。
テレビって家に送ってくれるのか?
「いらっしゃいませ!何かお探しですか?」
店員に話しかけられる。
若い女性だ。
流石に俺には敵わんが、かなり若いな。
大学生とかじゃないか?
「ああ、ちょっとテレビが欲しくて」
「テレビですか?」
「はい、そうです」
「どう言ったものをお求めでしょうか?」
「ああ、えっと、俺とこいつの2人で使うんで、そこまで大きくなくてもいいと思うんですけど……」
「そうですか、でしたらこちらなんてオススメですが」
一台のテレビが指される。
大き過ぎず、小さ過ぎず、まあ丁度いいサイズのテレビだ。
これなら、俺の家にも余裕で置けるだろうな。
確かこんな大きさの棚がソファの前にあったはずだし、その上にでも置くか。
「じゃあ、そうですね、これください」
「はい、お会計はあちらになります」
カウンターが指差される。
そりゃそうだ、この場で買うわけがないもんな。
あ、そうだ。
「すみません、テレビって家に送ってもらえるんですか?」
「もちろんです」
「ああ、そうですか」
そうなんだな、まあそりゃそうか。
持てないもんな、こんな大きいもの。
あれ?そういや怜はどこだ?
…………ああ、ゲーム買いに行ったのか。
よく見りゃもう買ってるや、早いな。
「テレビは明日の昼頃届くってさ」
俺たちは店を出て帰路に着く。
まあ、荷物は全部俺が持つわけだが、こいつマジで買い物する時めちゃくちゃな量買うな。
いくらだ?これ。
ゲームって高いよな?
「そうか」
怜は俺の言葉を少し悲しそうに飲み込んだ。
そんなにゲームやりたかったのか?
電気とかなさそうで退屈そうなあの廃ビルじゃどうやって暮らしてたのやら。
「ただいまー」
時刻は午前11:48、昼だ。
「じゃあ、私は、飯を、作るから」
「ああ、俺も手伝うよ、やること何もないし」
流石にそろそろ申し訳なくなってきたしな。
「そうか、なら、今日は、カレーを、作るから、野菜でも、切っててくれ」
「あい」
久しぶりだな、包丁持つの。
1人の時はあんま自炊してなかったっけな。
少しは健康になったかな?
まあ、その点に関しては感謝だな、勝手に棲みつかれてるわけだけど。
「よし、これで、完成だ、二、三食分は、あるかな、じゃあ、食べると、するか」
テーブルにカレーが置かれる。
「「いただきます」」
手伝った(野菜を切るだけしかしてないが)からか、普段よりも気持ち美味しく感じた。
いつも美味いけど。
ほんと感謝だな。
「「ごちそうさまでした」」
時刻はまだ午後0:17、全然早い時間。
最高だな、何でもできる気がするや。
課題は…………明日でいいか、疲れたし。
昼寝でもしようかなー、毎朝目覚ましに叩き起こされてるしな。
…………あっ!布団!
そうじゃん布団買わなきゃ。
忘れてた。
「なあ、今から布団買いに行ってくるけど、なんか欲しいものあるか?」
怜はソファの上に寝転んで壁の一点を眺めていた。
さっき買ったゲームやらんのか?テレビとかなくてもできると思うんだけど。
まあでも、その視線の先に何もないってことを除けば、よく見聞きする昼頃の母親とおんなじ感じだな。
俺の母親も生きてたらこんな感じだったのかな。
「じゃあ、何か、服を、買ってきてくれ」
…………そうか、なんか見たことある服着てるなーって思ったら、俺が小さい頃着てた服を着てんだ、こいつ。
勝手に……まあもう着ないし、あの黒い上と下一体型の……なんて言うんだ?ローブ?は洗濯してるし、裸で過ごされるよりはマシだけどさ。
それより、他に服持ってないのか?
こいつと過ごせば過ごすほど廃ビルでの生活が気になってくるな。
ほんとに人間なのか?
「わかった、大きさはどれくらいだ?」
「子供用の、二番めの、大きさの、やつで、頼む」
やっぱ子供じゃねえか、あの時否定してたくせに。
「はいよ」
そんなことより、1人で行動するの久しぶりだな。
怜と一緒ってのも嫌ってわけじゃないけどさ、やっぱなんか落ち着かないんだよな。
何でだろうな。
俺の適応能力は高い方だと思うけど。
「ただいまー、ふー重い」
ドサドサと床に買ったばかりの布団と怜のための服が落ちる。
時刻は午後3:29、実に三時間以上買い物をしていたということか。
慣れない女児用の服の買い物なんてしてたからな。
「おお、随分と、たくさん買ったのだな、お疲れ様」
怜はいつもの如くソファに座って、ただ一点をじっと見つめていた、不気味だ。
おもむろにソファから降りて、俺の買ってきた服を確認することなく、怜が(勝手に)使ってるタンスにしまった。
俺のセンスを信じてるということか?
別に俺が着るわけじゃないからいいんだけどさ。
ちなみに、そのタンスは置き場がなくて捨てようと思ってたやつなんだが、まいったな、ものが増えちまった。
午後9:53、いつもの如く一日が終わる。
夕飯は昼作ったカレーだった。
言うまでもなく美味かった。
もうすでに家事をあらかた終わらせて、風呂にも入って、歯も磨いて……ああ、そういや、怜が風呂から出た時、俺の買った黒い服を着て、ニヒヒと笑ってたな。
何が可笑しかったんだ?
まあ、なんであれ丁度のサイズでよかった。
それよりも!今日は久しぶりに布団で寝れる日だ!
これで全身の痛みともおさらばだ!
「なんだ、慎也、随分と、嬉しそうだな、何か、あったのか?」
怜が冗談半分の顔で言ってきた。
『何か』じゃねえよ、元はと言えばあんたのせいだろが。
午後10:21、怜はとっくに眠りに行った。
俺もそろそろ寝るかな。
疲れた。
「……え?」
寝室を見ると、毎夜の如く怜が布団の上でスースーと音を立てながら眠っていた。
いや、それはいい。
それだけならいい。
もう三回目だしな。
流石に気にしない。
問題はそこじゃない。
なんでよりによって新品の布団で眠るんだよ。
いや、分かるよ?そりゃ誰だって新しい方で眠りたいよ。
俺だってそうだもん。
でもさ、この家の持ち主俺なのよ、一応。
金出してるのは俺じゃないけど。
はあ……起こすのは流石に可哀想だよな……
明日からはこいつより早く寝よ。
こっちの話更新するの久しぶりだな。
なんか知らん間にめちゃくちゃ変更されてるし。
まだ慣れないね、全然。
まあいいや。
読んでくれてありがとうございました!
感想とか書いてくれると泣いて喜びます!
じゃ、またいつか!