第五話
前回の続きー
読んでない人は読んでみてね
ジリリリリリリリリリ!
…………ほんとに……もう……
カチッ
時刻は午前6:53、あいつ、何時に目覚ましかけてんだ?
もうこの目覚まし時計隠してしまおうか……
あー、全身が痛い。
「雨か……」
寝室からリビングへと続く廊下についている窓が、雨の景色を映し出す。
土砂降りだな。
うーん、憂鬱だ。
布団買いに行けねぇじゃん。
梅雨だから仕方ないんだろうけど。
あれ?梅雨って7月もだっけ?
「おう、起きたか、慎也、おはよう」
怜は、テーブルに朝飯を並べているところだった。
早起きすぎやしないか?
いったい何時に起きてんだ?
「……あのさ、なんで目覚ましかけるの?」
「なんで?決まっているだろ、早起きは、いいもんだからな」
……なるほど、これが俗に言う『ありがた迷惑』ってやつか。
「休みだぞ?寝させてくれよ」
「休み、こそだろ」
……なに言ってんだ?
「さあ、そんなことは、置いといて、朝食に、しようか」
「……そうだな」
なんか、しっくりこないな。
朝食はいつも通り白米、味噌汁、鮭……まあ、いつも通りって言っても、まだ2日目だが。
「「いただきます」」
うん、やっぱり美味いんだよな、こいつの作る料理。
俺が作るのとなにが違うんだ?
水?火加減?分からないや。
「よしっ!」
今日は何するか……英語……英語だな、うん。
さあ!終わらすぞ!
「お、慎也、今日は、英語か、手伝って、やろうか?」
「いや、その必要はない」
フッフッフ、何せ俺は英語が大得意なのだ!
高校受験だって、ほぼ英語だけで合格したと言っても過言ではないくらいにはな!
昨日は恥をかいたが、今日は違うぜ!
「そうか、まあ、必要なら、声をかけろ、手伝って、やるから」
怜はソファの上に寝転び、眠りについた。
手伝ってやるとは一体……?
まあいい、どうせこいつの手は借りないし。
「……や、おい」
おいおい、なんだこのサービス問題は。
どう考えてもof以外あり得ないだろ?
「おい、慎也、おい」
ハハハッ、なんだよこの例文。
almost にしたら全員女装男子になっちまうぞ。
「おい!」
「んおっ!?」
びっくりした!
「慎也、昼食が、できたぞ、食うぞ」
「お、おう、わかった、ありがとな」
あんな大きい声初めて聞いたな。
あんな声出せるんだ……
時刻は午後1:07、だいたい午前7:00くらいから始めたから……まじか、もう六時間近くやってるのか。
すげーな、俺。
えーっと、昼食は冷やし中華か。
二日連続で麺類……まあ好きだからいいけど。
そもそも作ったの俺じゃないし。
「「いただきます」」
ズルズルと麺を啜る音が鳴る。
怜はスッゲー笑顔だ。
相変わらず美味しそうに食うな、こいつは。
まあ実際美味しいんだけど。
「ふーっ、再開するか」
あと三分の一くらいか?
いやー、午前中の俺、ナイスだ。
あと三時間くらいで終わるか?
まあ、とりあえず、始めるとするか。
「よしっ!終わりっ!」
時刻は午後4:32、まあ、概ね予想通りの時間帯だ。
これであとは古文に生物観察に歴史。
偉いぞ、俺。
「おう、慎也、終わったか、おつかれ」
「ああ」
うーん、なんて清々しい夕だ。
あいにくの雨だけど、心は晴れやかだ。
「そういえば、慎也、この家、テレビないんだな」
「ん?あー、まああんま見ないし、ゲームとかはスマホでいいし、お金は俺が稼いでるわけじゃないしで、確かに買ってないな」
「つまらんな、退屈だ」
なら帰ってくれ。
「明日、買いに行くぞ」
「……ん?」
「聞こえなかったか?買いに行くと、言ったのだ」
「いや、聞こえてたよ、ハッキリ聞こえてたよ、逆にお前は俺の話聞いてたか?要らないって言ったんだけど」
「私が、欲しいのだ」
なんてわがままな……
「安心しろ、金なら、ある」
「え?」
「なんだ、お前、気にしたこと、なかったのか、あんなとこで、『秘密売り場』なんて店を、やってたというのに」
「いや、だって俺の時は金請求されなかったし」
「そりゃ、そうだ、だって、お前は、自分で、気がついていたからな」
「そんな適当な……」
「まあ、とにかく、テレビ一台分の金なら、余裕で、ある、ゲームも、買おう、退屈は、一番の敵だ」
……まあ、こいつの金ならいいか。
なんならゲームもできて一石二鳥だ。
にしても、そんなに稼いでたんだな、こいつ。
この家に住みついてていいのだろうか?
俺の知ったこっちゃないが。
「あっ、そうだ、怜に言っとくことがあったんだ」
「なんだ、もしかして、愛の、告白か?」
ニヤニヤとした顔を浮かべ、俺の顔をまっすぐに見る。
残念ながら、言いたいことはそれじゃない。
「布団を占領するな」
怜は、ハァッとため息をついて、
「なんだ、そんなことか、別に、一緒の布団で、寝ればいいだろ」
と言った。
それが嫌だから言ってるのだが。
「とにかく、今日は俺が布団を使う。体全体が痛いんだよ」
「ああ、別に、いいぞ」
なんだ?やけに素直だな。
とにかく、これで今日はぐっすり眠れそうだ。
時刻は午後10:46、風呂には入った。
家事も2人であらかた終わらせた。
飯も食った(ちなみにたこ焼きだった)。
うん、あとは眠れば明日が来る。
今日は布団が使える、ああなんていい日なんだ!
「じゃ、俺はさきに寝るから」
「おお、そうか、おやすみ、慎也」
怜はソファの上に座ってた。
そういやあいつ、暇な時何してんだ?
スマホは持ってないようだし、この家には娯楽なんてほぼないし……
まあ、考えたって仕方ないか。
「あー!」
俺は布団にダイブする。
三日ぶりの柔らかい地面!
二日間よく耐えた、俺。
怜にはちょっと申し訳ないけど、まあ明日買うし、一日ぐらい我慢してもらおう。
俺なんて二日我慢したんだし。
家主なのに。
とりあえず寝よう、今日はもう疲れた。
時刻は午前0:23、深夜だ。
なんだ?目が覚めたぞ?
久しぶりの布団だからか?
それに、なんか右腕が重い……
「いっ!」
俺の右腕の上に怜がいた。
「ん……」
怜は寝返りをうって、顔をこちらに向ける。
俺の腕を枕にしたまま。
腕枕ってやつか。
なるほどな……あれ?俺一緒に寝るの嫌って言わなかったか?
言ってなかったっけ?
でも心の中では思ったし、こいつは心が読めるって言ってたんだけど……
はあ、腕動かせないじゃん、これじゃあさ。
朝までこのままか……
うーん、やっぱ可愛い顔してんだよな、こいつ。
死んでも惚れないけど。
俺の頭の中の畏怖羅怜は、ちっちゃくてめっちゃ可愛い子供なんだよ。
で、外国人で金髪で青い目の。
俺が最上慎也だったら多分襲ってるけど、こいつはそれをしないんだよね。
なんでだろうね。
ま、とりあえず、読んでくれてありがとうございました!
感想とか書いてくれると泣いて喜びます!
じゃ、またいつか!