表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密売り場の少女  作者: 和音
3/13

第三話

前回の続きですー

前のから読んだほうが良いかもね


ジリリリリリリリリリ!


目覚ましが俺の耳を叩く。

あーあーうるさいうるさい!

わかったって、今起きるから!


ダンッ!


時計を見ると午前7:03、目覚ましは掛けてないはず……怜の仕業か。

あの野郎、余計なお世話を……


リビングに入ると、怜が椅子に腰掛けていた。

昨日のことは夢じゃなかったらしい。

少し期待していたんだがな。

「おう、起きたか、慎也、おはよう」

そいつは、意外にも朝食を作って待っていた。

味噌汁、白米、鮭……完全に和食だ。

こんな外国人みたいな見た目なのに。

家事をやるってのはあながち嘘じゃないらしい。

「ああ、おはよう」

母親かよ、まあ、全く記憶にないけど。

俺は歯を磨いて、その後席につき、そいつらを食べ始めた。

「ところで、お前は、いつも、何時に、家を、出るのだ」

向かいの席でじっと見てくる。

だから母親かって。

「なんでお前に教えなきゃいけないんだよ」

「それは、当たり前だろ、同棲、しているのだから」

「意味がわからん」

それにしても、この味噌汁うめぇな。

「……8時だよ」

「そうか」

怜はニヒヒと微笑んで言った。

「今日は、確か、終業式、だったよな」

なんで知ってんだよ、そうだけど。

でも、母親が生きてたらこんな感じなのかな……

やけにポカポカする、味噌汁が出来立てだったらしい。


食い終わった。

「ごちそーさまでした」

「おう、お粗末さま」

俺の作るやつより圧倒的に美味しかった。

伊達にあの廃ビルで1人で暮らしてたわけじゃないな。

時計を見ると午前7:16、思いの外ゆっくり食べてしまった。

そろそろ着替え始めるか。

席を立って制服を取りに行くと、怜がそれを持って待っていた。

「これだろ、慎也」

「あ、ああ、そうだな、ありがとう」

……心を読む能力、便利だな。


俺は着替え、椅子に座る。

もう準備は終わった。


時間は午前8:02、そろそろ行くか。

「慎也、もう、行くのか」

「ああ、もう時間だし」

なんなら少し遅刻しそうな時間だ。

「着いてって、やろうか」

「マジでやめてくれ」

冗談抜きで。

「じゃあ、行ってきますの、キスを、してくれたら、考えてやっても、いいぞ」

ニヒヒと笑って目を瞑る。


ガチャンッ


生憎、こいつのおふざけに付き合ってる暇はない。

それにしても、相変わらず、蝉の声がうるさい。


エレベーターで一階まで降りる。

学校は、エントランスを出て、左に真っ直ぐいったところにある。

あの廃ビルとこのマンションとの、丁度真ん中だ。

遠くもなく近くもなくって距離だ。

俺は1人で道を歩く。

太陽の光がアスファルトに跳ね返って、暑い。

一緒に登校する友達なんて、当然いない。

一応クラスメイト全員と知り合いにはなったが、友達と呼べる人は、まだ浩介含め数人だけだ。

嫌われてるわけじゃない、と思う。

てか、そう思いたい。


学校に着いた。


キーン、コーン、カーン、コーン


丁度、5分前のチャイムが鳴ったところだ。

危なかったな。


教室は四階にある。

階段の途中、誰ともすれ違わない。

静かだ。この空気、好きだな。落ち着く。


四階につく。

階段に一番近い教室の、後ろのドアから入る。

ドアを開けて中に入る瞬間が一番気まずいが、幸い、席は通路側の一番後ろだから、そこまで気まずくならずに済む。

浩介が俺に気づいて、手をひらひらと振る。

俺も振り返しとこう。


ガラガラガラ


教室の前のドアが勢いよく開いた。

「おはよう!」

担任の森山が野太い声を出す。

さすがは体育の教師、朝から元気だ。


キーン、コーン、カーン、コーン


皆自分の席につき、一限目に備えた。

とは言っても、今日は終業式、授業は当然ない。

それに、この高校は少し変わっていて、終業式でありがちな『校長先生のお話し』やら『夏休みの過ごし方』やらの、長いだけで毒にも薬にもならないようなものもない。

あるのは、担任からの諸連絡だけだ。

「明日から夏休みが始まる!遊びすぎず、学業にも真剣に取り組むように!」

誰がそんなことするのだろう。

課題についてはもう説明されてるし、新しく説明されることもないだろう。

今日はあいつのせいで早く起きたし、寝てしまおうか。

「やあ、慎也、来てやったぞ」

「!!」

後ろを振り向くと、確かにそいつはそこにいた。

来るなって言ったのに!

教室が静まり返り、クラス全員の視線が俺に集まる。

静かだが、この空気は好きじゃない。

「最上くん、その子は誰ですか?」

やばい、どうしよう!

「えっ……と、その、あ、えー……」

「あれ、その子、お前の彼女じゃなかったっけ」

そう言ったのは、唯一事情を知っている浩介だった。

考えられる限り最悪のセリフだ。

余計なこと言いやがって!

教室がざわめきだす。

「えー、かわいいー!」

「お人形さんみたーい!」

「まだあの子、子供だよな、最上のやつ、どういう趣味してんだ?」

「彼女だと?!あんなかわいい子が?!羨ましいぞ!」

誰かが、

「ロリコン慎也だな」

とか言って、俺を茶化す。

途端、

「ロリコン慎也、ロリコン慎也」

と、クラス全員が声を合わせ、手を叩きながらそう言い始めた。

こういう時だけ高校生は団結力がすごい。

ふざけるな。

ロリコンで何が悪い。

そもそも俺はロリコンじゃないし。

「静かに!」

森山がクラスを静かにする。

「えー、最上くん、後で職員室に来なさい」

真剣な顔をして、言われた。

「……はい」

最悪だ……

まさか昨日よりも最悪な日が、こんなにも早く来るとは……

怜のやつは、俺の隣に立って、ニヤニヤしている。

お前のせいでこうなったんだぞ、分かってんのか?

「えー、とにかく!充実した夏休みにするように!以上、解散!」

この担任の良いところは、無駄な話を一切しないところだな。


「ねえ、君、お名前なんていうの?」

「畏怖羅、怜だ」

「怜ちゃんって言うんだ!かわいー!ねえ、一緒に写真撮ろ?」

あいつはあっという間に人気者になっていた。

クラスのほとんどが怜の周りに集まっている。

おかげで俺は呼び出されたってのに!

まあ、みんなと話すネタが出来たってことにしよう。

嫌われてないって確認もできたしな。

くそったれが。


一階の職員室に入る。

「失礼します……」

「こっちだ」

森山が俺を手招きした。

「はい……」

怖い。

「ふう」

椅子にもたれかけ、大袈裟にため息をつき、その後、俺をじっと見る。

怖い。

「あのな、最上、恋愛をするのは大いに結構。先生だって、高校生活の醍醐味だと思っている。だがな、学校には連れてくるな、みんなの迷惑にもなる。分かったな?」

「はい……」

連れてきたわけじゃないってのに。

「もう連れてくるなよ」

「はい、分かりました……」

「なら、もう行っていい」

「はい、失礼しました……」


そこまで激しくは怒られなかったな。

夏休み直前で、夏の暑さにやられたのか?

それとも、勝手に怜が来ただけだって察したのか?

まあ、声がよく通るから怖かったが。


外に出ると、怜が俺のバッグを持って待ち構えていた。

色んな人と話したんだろうな、ニヒヒと笑っている。

もっと悪びれろ。

「さあ、慎也、帰ろう」

「……後で話がある」

「なんだ、愛の、告白か?」

俺は無言のまま、家に向かって歩き始める。

そのすぐ横を、怜は付いてくる。

歩幅が小さいからか、早歩きになっている、が、気にせず俺は自分のペースで歩く。


部屋に着く。

鍵は閉まってない。

この野郎……

「で、話って、なんだ、慎也」

バッグを置き、睨みつける。

「おい!着いてくるなって言ったろ!」

「なんだ、そのことか、だって、行ってきますの、キスを、してくれなかったでは、ないか」

「だけど!」

「だけど、なんだ?」

「ッ……!」

確かにそうだ……

何も言い返せない。

無茶苦茶だが、筋が通ってる。

こういう時、俺は弱い。

「はあ……」

俺が、悪いのか?

「でも、良かったではないか、明日から、夏休み、なのだろう?」

そうだけど……

「これで、この話は、終わりだな、昼食でも、食べようか」

そう言って、怜は、台所に立った。

これから学校に行く時は、こいつにキスしなきゃならんのか?

好きでもないのに?

はあ……

私、今まで誰かと付き合ったことないからさ、どんな感じか分からないんだよね。

だからさ、この物語は完全なる想像なんだよ。

なんで、変かもしれないけど、これからも頑張って書いていきますわ。

それはそうと、読んでくれてありがとうございました!

感想とか書いてくれると泣いて喜びます!

じゃ、またいつか!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ