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秘密売り場の少女  作者: 和音
2/13

第二話

続きですー

前の話から読んだ方がいいかもね

俺は、いや、俺たちは、2人並んで壊れかけの階段を、慎重に降りていく。


キーン、コーン、カーン、コーン


5時のチャイムが、階段を降りている俺たちを包む。

ビルの外に出ると、明るい光が俺たちを迎えた。

夏だからか。太陽がまだある。

ヒグラシも鳴いている。


家と正反対の方向に行って、得られた成果がこんなやつと強制恋人化かよ。

「はぁ、俺に幼女趣味はねぇってのに……」

ちくしょう、こんなことなら秘密売り場なんか行かなきゃよかった。

「なにを、言っている。私は、子供では、ない」

見た目は完全に子供なんだが?

「12歳だ」

子供なんだが?

「それよりよ、お前いつまでついてくんだよ」

家まで来られると困るんだが。

「そんなの、決まっているだろ。お前の、家までだ」

「……流石に冗談だよな?」

「まさか、私は、いたって、真面目だ」

嘘だろ?

はあ……まあいいや、どうせ一人暮らしだし。


ようやく高校が見えた。

そろそろ日暮らしい、暗くなってきたや。

あと家まで半分くらいか?

なんか、いつもより疲れたな。

……………………ん?まてよ、今俺たちは高校の左から真っ直ぐに来たよな?で、さっき5時のチャイムが鳴っていたってことは…………まずい!

「おい!ちょっと離れて歩け!」

「なぜだ?」

「なぜも何もない!いいから離れててくれ!」

「だから、なぜだと、聞いている」

「おーい慎也、こんなとこで何してんだ?」


ああ、終わった……

ヒグラシの鳴き声が遠くなる。

よりによってこいつかよ……

はあ……

振り向くとはたして、そいつは案の定そこにいた。

「帰ったんじゃなかったの……ん?その女の子、誰だ?」

宮本浩介、俺の唯一の親友。

中学の時からずっと同じクラスで、俺とは違って人気者だ。サッカー部だっけか?

こいつだけにはバレたくなかった。

「いや、こいつは、その……そう!親戚!親戚の子供だよ!いやー、急に押し付けられて困るわー」

「いや、私は、こいつの、恋人だ」

ちょっと黙っててくれ。

「えっ……お前、そんな……フフッ、そっか、よかったな、恋人ができて、フフッ、ずっと欲しがってたもんな」

「笑うな」

別に誰と付き合おうが勝手だろうが。

そもそも俺だってこんな子供と好きで付き合ってるわけじゃねえんだよ。強制なんだよ強制。

「で、その子はなんでいう名前なんだ?」

「畏怖羅、怜だ、よろしくな、宮本、浩介」

「あれ?名前教えたっけか?」

「私は、人が、考えてることが、わかるのだ」

なるほどな、だから『秘密売り場』なんてのをやってたわけだ。

それより、凄えな俺、こんな非現実的なことあっさり信じられるんだから。

さすが適応能力が高いだけあるな。

自分で言うのもなんだが。

「ん?もしかして……『秘密売り場』の子か?」

なんだ、こいつも知ってるのか。

まあそりゃそうか、こんなクラスの人気者が知らない訳ないもんな。

「ああ、そうだ、それが、どうした」

「おー、なら丁度いいや、俺さ、今から行ってみようと思ってたんだよ。ちょっとついてきてくれないか?」

「ああ、構わんぞ」

……あれ?もしかしてチャンスか?

「俺、花梨ちゃんが誰のことが好きなのか知りたいんだけど…………」

そんなことを言いながら、2人が高校の中に入っていく。

今だ!

俺はダッシュで家に向かう。


「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ……」

ようやく俺が住んでるマンションが見えた。

もう太陽も沈みかけだ。

後ろを振り向いて確認する。

「あいつは……ついてきて……ないな……」

こんなに運動したのはいつぶりだろうか。

あまりに疲れたな。

今日はもうすぐ寝ねしまおう。


エレベーターで4階まで上がる。

ようやく部屋の前に着く。

鍵どこに入れたっけかな。

ああ、あった。


ガチャンッ


鍵を開けながら、もう一度右を確認する。

エレベーターは動いてないし、階段から足音はしない。

よし、あいつはもういないな、よかった。

「ただいまー」

「おお、おかえり、遅かったな」

「ああ、ちょっとな」

はあ、あいつにバレたのは痛かったな。

まあ、明日で学校終わるから、しばらく会うことはないし、不幸中の幸いってことにしとこう。

…………あれ?俺一人暮らしだったような……

振り向くと、そこには怜がいた。

「うわあっ!」

苦情が来るのではないかと思うほど大きな声が出た。

なんで?どうして?どうやって?どこから?

聞きたいことがどんどん出てくる。

「なにを、そんなに、驚いている?」

「だ、だって、さっき浩介と高校に入ってただろうが!それに家の場所なんて教えてない!」

「ああ、あれなら、とっくに、終わったぞ。あと、私は、人の心が、読めると、言っただろ?」

そうだった……だから家の場所が……いや、それにしても!

「俺はダッシュで帰ってきたんだぞ!鍵も閉めてただろ!」

確かに俺の足は遅いけどさ、鍵は物理的に不可能なはずだろ!

「そんなこと、どうでも、いいだろ?」

「よくない!」

「わがままな、やつだ」

「どっちがだよ!」

「まあ、簡単に言えば、私は、足が速いし、どんな鍵も、開けられる、だから、逃げることは、できないぞ」

ああ、終わった……本格的に、終わった……

「まあ、これから、一緒に住むから、よろしくな、慎也」

逃げられない……

「ところで、お前は、一人暮らしなんだな、親は、どうした?」

聞くなよ、そんなこと。

察しろよ、なんとなく。

「死んじゃったんだよ、だいぶ昔に、トラックに轢かれて」

「ふーん、そうなのか」

もっと悪びれろや。


……あっ、そうだ、

「金がないから、お前と一緒に住むことができないんだ、だから帰ってくれ」

これでどうだ!

「嘘だな、言っただろ、心が読めるって」

「…………」

「親戚に、支援してもらってるんだな、だいぶ、お金に、余裕がある」

……そこまでわかるのか。

はあ……仕方ない、同棲するしかないか。

「安心しろ、家事とか、してやるよ」

それは……ありがたいな、正直言って。

「私のこと、襲うなよ?」

「誰が」

ニヒヒと笑いながら寝室に向かって行った。

そう言えば、初めて笑っているところを見たな。

相変わらず自分に自信があるな、俺と違って。羨ましい。

その自信、少し分けてもらいたいものだ。

「それじゃ、おやすみ、慎也」

「あー、はいはい、おやすみ」

俺が惚れるまで、こいつは帰ってくれないのか、はあ……

ふと窓を見ると、景色は、闇に包まれていた。

もうだいぶ夜だな、そろそろ俺も寝るか。

今日は随分とため息が出る。

疲れているのか、ぐっすり眠ろう。

「……ん?」

寝室に入ると、俺の布団が占領されていた。

勿論、怜にだ。

ふざけるな。

渋々、俺は床に直に横になって眠ることにした。


こんなやつに惚れるまで、この悪夢が続くだなんて、はあ、最悪だ……憂鬱だ……

読んでくれてありがとうございましたー!

感想とか書いてくれると泣いて喜ぶんで、是非是非!

指摘とかもお待ちしておりますー

じゃ、またいつか!

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