9話
「助けてくれてありがとう。あなたは?」
「リアム」
「そう、リアムと言うのね。私はエルリー。よろしくね」
そう言って手を伸ばす。
こちらも手を伸ばそうとすると手が通り過ぎる。
「私の職業は盗賊。よろしくね」
いつの間にか声が後から聞こえる。
「この武器もらっていくね」
腰につけていた武器が無くなっている…盗まれた!
すでに影が見えない。
「やられた」
ここから歩いて帰ると倒される可能性が高い。
持っていた道具を探す。
「まさかこんなところで使うとは…“コウモリの羽”」
コウモリの羽:直近で寄った村・町に飛べる。素材。
―
「これからあの子を探さなきゃ行けないんだけど…白黒で見分けがつくのかな…」
辺りを見回す。
筋骨隆々なおじさん、華奢なお姉さん、腰の曲がったおばあさん、木の盾で遊んでいる子供…わからない。
他のところに見に行かなければ…ドン。
「あ、ごめんなさい」
「いえ、失礼し…」
「待った。僕の武器返してくれないかな?」
「!」
「華奢なお姉さんに見えて靴を変えたんだね。確かに捕まっていた時は裸足だったからね。髪も結い方を変
えてるし」
「な、なんで…」
「今ぶつかった時に蜘蛛の巣の粘着き感があったんだ」
「服も着替えれば良かった…」
「それで武器は?」
「これ…」
武器を返してもらった!
「それで…私をどうするの?」
「まぁ…ものは返ってきたし特にどうのはしないかな」
「ふーん…それじゃ仲間になってあげようか?」
「あー…」