10話
こうして異色の盗賊二人というパーティーが誕生した。
名前はヴァーム。どうやらエルリーは偽名だったようだ。
同じ盗賊なのに片手ボウガンと中距離タイプのアタッカーである。
両手ボウガンは矢の補充ができないため、不可能らしい。
普通の矢は無制限に使えるけど、属性、状態異常付きの矢は合成したり、作らないといけないらしい。そし
て副業が賭博師と少し悲しくなってくる。
本人は今度こそ当ててやると言っているが、既にいくらかお金が無くなっている。
その穴埋めをするために、狩りをしている。
狩り効率は格段に上がる。
こちらからは指示が出せないが、的確に状態異常を付与してくれるため、楽になる。
ダメージも分配され、回復する頻度も減る。
補填分は状態異常矢にする。
お金はこちらで管理できるみたいでよかった。
そして仲間の特徴として、ログアウト中は副業をやっていてくれているということ。
鍛冶屋であれば、道具内から必要なものを作ってくれたり、アイドルは公演をしてお金を稼いでくれたり、料
理人はバフ付きの回復アイテムを生成してくれたりする。
賭博師はお金を使い、所持金を0か+にする。
そして買い物などをしている間も渡したお金を全てスッてきた。
一番危ない人種かもしれない。
ログアウトする前は全て銀行にお金を預けることがマストになる。
白黒でもわかるぺったん。
どうして盗賊の仲間は盗賊なのだろうか…いや…正しいのかもしれない。
「何難しい顔してるの?」
「君のことを考えていたんだ」
「ポッ」
「どうした?顔を赤らめているのか?」
「だって…私のことを考えているって…」
「浪費癖を治してほしいなって」
「…」
―
あれから少し揉めたが、無事銀行に行き、お金を預けてきた。
どうしてもというので100Yだけ渡してきた。
100Yなら2体くらい倒せば稼げる。
ログアウトをして現実に戻ってくる。
そのまま横になる。
そのまま目を閉じる。