第1話 獣の里の巫女ミクリ
獣の里で生まれた少女ミクリ。
ミクリはその里の巫女だった。
「巫女様、おはようございます」
「巫女様、いつもお早いですね」
ミクリは里の巫女として、朝早くに各所をまわり、人々の様子を気にかけていく。
巫女とは、獣の声を聞いて人間に伝えるもの。
里に生まれた巫女は代々みな、獣の声を聞いて、人々との橋渡しを行っていた。
しかし今代のミクリはまだ、獣の声が聞こえない。
「早く獣の声が聞こえるようになればいいんだけど、どうやったら聞こえるようになるのかしら」
巫女は、心が通う様になれば獣ととも自然と聞こえるようになるらしい。
そう言われているが、ミクリにはまだしっくりこないでいた。
そんなミクリには、幼馴染の少年がいた。
「おはよう、ミクリ。見回りお疲れ様。僕は今日も元気だよ。お世話してる獣たちも、すっごく元気いっぱい」
少年の名前はアリオ。
毎日、獣がいる小屋を掃除したり、手入れしたりしている。
獣小屋の仕事を手伝っているが、まだまだ見習いで多くの仕事を任せてはもらっていない。
「もうちょっと親分は僕に仕事を分けてくれてもいいと思うんだけどね。暇なんだよな」
「親分さんには親分さんの考え方があるのよきっと」
「そうかなぁ」
アリオは、獣を愛する少年だ。
獣たちの異変にはすぐに気が付く。
「あっ、また変なもの飲み込んでる。こらっ、ぺってしなくちゃだめだよ。吐き出して」
年が近い事もあってか、ミクリとアリオは仲が良かった。
二人はともに、小さい頃から里の中で一緒に育ってきたため、よく話をする関係だった。