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第四話 夢の地にて①

 四角い間取りのその部屋は、端から端までどこから始めても4~5歩もあれば足りる程度の長方形をしていた。全面白塗りの壁に囲まれた内にあるのは小さな机と簡素なベッド。部屋の一角だけ間仕切りが成されていて、中には簡易的なトイレと洗顔台が設置されている。一方の壁面には小さな窓が嵌め込まれているが、開放することはできない。元来それが目的なのだろう、せいぜい通気口代わりになるように薄く隙間が開く位置で固定されている。窓は全面擦りガラスで外の様子を伺うことは出来ないが、入り込んでくる薄明りが常に一定の照度を維持していることから、光源が人工物であることが伺える。

 時と場所、時代と世界によっては安宿や集合住宅の一角としてあるだろうその部屋は、しかしことこの時代、この世界、この場所においては、紛うことなく監禁を目的とした牢獄であった。その証拠に、間仕切りで仕切られたトイレの隣にある白塗りの鉄扉には、丁度目線の辺りに格子が嵌め込まれていて、他には鍵穴が一つあるだけで取っ手などは付いておらず、内側からはどうしても開けることができない。

 格子の外に見えるのは光石燈の並ぶ整然とした通路。室内同様に全体的に白が基調となっている通路には、煌々と眩しい光源と色調のせいで分かり辛いが、同様の格子付の鉄扉が幾つも並んでいる。

 今は静寂が蔓延しているその場所は、しかしまったくの無人というわけではない。時折思い出したかのように、格子の奥から掠れた呻き声が漏れ聞こえてくる。けれども誰の声にも覇気はない。それも無理もない話で、常時一定の照度で照らされた白一色の空間は、真新しく整然としているがために異様な圧迫感をもって迫り、刻々と人の心を蝕んで行く。この場所にやって来た直後ならまだしも、時間の経過と共に誰もが沈黙していく。

 外界から隔離されたこの場所で、唯一時間を知らせるのは定期的に訪れる食事の時なのだが、それも果たしてきちんと日に三度与えられているのか、はたまた日に二度か、もしや一度のことなのかそれを知る術もない。実はまったくの不定期なのかもしれない。時を計る術のないこの場所で、それは拘束された人間から時間の感覚を完全に奪い去り、その精神を着々と疲弊させていく。一見自由を許されているかのような不自由が、獄中の者の気力を確実にそぎ落として、やがて思考が死んでいく。

 そこはそういう場所だった。

 そんな中、ガラガラと耳障りな音が廊下に響いた。

 件の食事の配給だ。

 台車の上に乱雑に積み上げられたズタ袋には少量の食料が詰められていて、配給係はそれを格子の隙間から部屋の中へ強引に押し込んでいく。食料を入れられた部屋からは、変わりに空の袋が投げ出される。前回配給された分の袋だ。それを返却しなければ次の食事は与えられない。

 この時ばかりは無気力が充満するその場所に忙しない雰囲気が生まれる。

 配給係は少年だった。

 背が低く、ひ弱な雰囲気の少年は、忙しなく台車の袋を捌いていく。視線を伏せて、怯えているような様子からはまるで余裕が感じられない。一秒でも早くこの場所から出て行きたいといった風だ。とにかく手早く、格子の中には目もくれずに袋の交換を繰り返す。

 そんな少年の手が、ある扉の前で止まった。

 食料を投げ入れたのに、袋が返って来なかったからだ。

 それ自体は珍しいことではない、監禁生活の中、心身に変調をきたして動けなくなる者も少なくはない。普段なら素通りして、外で待機している看守に報告すれば事は済む。が、今回は少しばかり事情が違った。一見すると他と変わりの無い部屋であるが、少年はその部屋にだけは細心の注意を払うよう、看守から言い含められていた。

 もし今、この部屋の中で異常が起きていて、それをみすみす見逃したとなれば、後でどんな処罰が待っていることか。最悪、少年自身が扉の内側の住人になりかねない。それだけは絶対に嫌だった。

 しかたがない、と少年は恐るおそる格子越しに室内を覗き込んだ。

 が、白い壁が見えるだけで人の姿は見えない。ベットの上も、もぬけの空だ。けれど人がいないわけではない。耳を澄ませば、格子越しには見えない簡易トイレの間仕切りの影の辺りから、呻くような声が聞こえる。

「おい……どうしたんだよ……。し、食事の時間だぞ。何してる。はやく、袋を出せよ」

 たどたどしくも凄んでみせる少年に答えるように、かすれた返事が返ってきた。

「だ……め…、もう、…くて……動けない。……、助け、て。」

 とりあえず中の人物は無事なようで、最悪の展開を想像していた少年はほっと胸を撫で下ろしつつも、頭を抱えた。単なる体調不良であれば、あとは医務員の出番なので責任を問われることはない。けれど看守に報告する際に、肝心の症状を何も把握していないのも不味い気がした。

 そうしている内にも、部屋の中からは今にも消えそうな細い呻き声が聞こえる。

 少年は意を決して、腰から非常用にと預かっている合鍵を取り出し、扉を開けた。

「どうしたんだ。何かあったのか?」

 ゆっくりと奥へと進み、部屋全体を見渡そうとしたその時、唐突に間仕切りの角から伸びてきた腕が、少年の胸倉を掴んだ。一瞬で頭から血の気が引き、混乱する間もなく、床に投げ飛ばされた。そうして倒れた少年の上に何者かが乗りかかってきた。

「な…ッ。ちょッ! え、えええぇぇ!??」

「ふっ、ふふふっ。体調を崩したと油断させて部屋の中に誘い込む。なんというか、さすがは俺。完璧な計画だな。そう思わねぇか?」

 そう言って得意げに笑っているのは、他の何者でもない、先ほどまで床に倒れていたこの部屋の主その人だった。その声からしてまだ若い少年のようだ。

「あ、痛い! 止めろ! ヤメ……やめてよぅ!!」

 涙混じりに、自分を押さえつけている男へ視線を向けた少年は、驚きに目を見開いた。

「うっ、そ!? 君は…! テテン、なの?」

「あん? 誰だよてめぇは?」

「ひどいな、僕だよ。フォルフだよ。忘れちゃったの?」

「ぐぁっはぁ! お前、(テテン)…俺の連れかよ!!」

 フォルフと名乗った少年の視線から、逃れるように飛びのいた牢獄の主は、間違いなくテテン、の姿をしたアザナミだった。ばつが悪そうなアザナミの様子を見て、フォルフは何かを察したかのように溜息を漏らした。

「いいんだよテテン。思い出せないんだろ? 僕のこと…、いつもイレイとつるんでたからね。それにさ…、僕って、地味で…、目立たなくって…、みんなの中でも、いつも…端のほうで、存在感無くて…、発言権だって…、もしかして、もしかしてだけど、誰も僕のことに気づいてないんじゃないのかな? なんて、本気で心配になっちゃうこともあったんだけど…。そんな僕だけど…。でも、だよ。そんな僕だけどさ。昔は一緒に遊んでたじゃないか! 忘れるなんて、ひどいよ!! なぁ、テテン!!」

「あぁ、悪かったよ、ごめんごめん。あれだよ、とっさに名前が出てこなかっただけだって。ほら、なんせ久しぶりじゃないか。俺がお前のこと忘れるわけないだろ。ヴォルフ」

「やっぱり忘れてるでしょ僕の事ーー!!」

 涙ぐみながら血走った目で胸倉を締め上げるフォルフを、鬱陶しそうに払いのけながら、まぁ落ち着いてとりあえず座りなよ、と促すアザナミ。フォルフは独房のベッドに腰を落ち着けつつ、グズリと鼻を啜り続けた。

「ところで、どうしてテテンがこんなところにいるの?」

 しばらくして、一頻り泣き咽たフォルフが投げかけた、彼にしてみれば至極当然かつ素朴な疑問に、アザナミはうんざりといった風に視線を窓に向けた。

「さぁ、なんでだろうな?」

 そう言って、遠い空を眺めるよう目を細めたアザナミだったが、小窓から差し込まれるのは代わり映えしない人工の光だけだった。

(本当、なぁんで、こんなことになってんだろうなぁ)



 第四話 夢の地にて



 片足を前に出したなら、自然とそれに続いてもう片方の足が動き出し、さらに一歩先を目指す。

 そんな当たり前のことが、実はどれほど難しいことか、考えたことがあるだろうか。

 少なくとも、普通の人は考えない。なぜなら、それが自然だから。

 少なくとも、普通の人はその難しさを体験する機会は少ない。なぜなら、それは不自然だから。

 その不自然を、おそらく今、この世界で只一人、アザナミはごく自然に体感していた。

 念願の“世界”に降り立ったアザナミは、背中から鉄の翼を下ろし、夢にまで見た一歩を踏み出した。その次の瞬間には、無防備に大地の上に倒れ伏していた。

 思えば“空”を行くのは簡単だった。背にした自慢の翼をはためかせ、大気を揺らし進めばいいのだから。触れ合う世界の干渉により生まれる流れを全身で感じ取り、時に吹き荒ぶ風の流れに乗っかればいいのだから。“空”の風は身を委ねるもので、また自身が生み出すものだった。

 それだと言うのに、ここでは全く違う。全くの逆だ。

 前から横から後ろから、時に乱暴に、時に無言で、大地を蹴り行く自分の身体を撫で擦り邪魔をする。そんな風を突き破り進まねばならない。それがこんなにもつらいことだったなんて。

 何度も何度も地面の味を噛み締めながら、それでも一歩二歩と、アザナミはゆっくりと自身の感覚を世界に馴染ませていった。

 いったいいつ想像しただろうか。

 “空”であれば、例えばあの“ヨルベ”の白く柔らかな床面を弾みながら行くことは容易かった。

 それに比べて、この大地の上で、世界の引力に身体を縛られ一歩を踏み出すことが、これほどまでに困難だとは。

 “空”に住む者は大地に暮らす者達とは違う。

 大地に暮らす彼らは歩くことしかできない。比べて“空”に住む自分達は空を飛ぶことができる。そして、同時に、地面に降り立って、歩くこともできる。

 少なくとも、自分達と同じように“空”に生き、時に“世界”をも渡る鳥たちは、当然のように空を行き交い、大地に降り立つ。“空”から幾つもの遠い“世界”を俯瞰していたアザナミは、それを見知っていたからこそ、“世界”に降り立つことに、何の不安も感じていなかった。

 鳥のようにその翼で空を行き、人のようにその足で大地に歩を進める。それが当然で、何より自然で、容易なことだと、なぜなら浮遊人なのだからと、そんな風に思っていた。

 だというのに、現実は浮遊人をあざ笑う。

 自分達は地面の上も歩くことができる。

 彼らは地面の上を歩くことしかできない。

 そう思っていた。

 けれど違う。思い上がりもいいところだった。

(彼らは地面の上を歩き続けることができるんだ)

 この差は大きい。絶望的だ。自分の考えの甘さを実感せざるえない。

 アザナミはぐったりと無造作に置かれた“翼”に寄りかかり、大仰にため息を零した。

(でも…)

 さんざん大地に這いつくばって、借り物の身体を痣だらけにして、それでも欲求は満たされていない。まだ足りていない。まだまだ満足できない。

 この痛みも、この汗も、相容れない異界の風も、世界に引かれるこの身の重みも、一歩を踏み出す困難も、そして大地を歩くこの喜びも。今この瞬間、自分を取り巻いている全てが新鮮で、アザナミの五感を奮わせる。

「最高の気分だ! “空”にいたんじゃ分からない。世界の上で、大地の上で、生きてる…。俺は生きてるぞーー!! あはははははははっ!!」

 丘陵の裾野に寝そべって、アザナミは高らかに悦びを宣言した。

 まだまだ物足りないけれど、すでに身体はボロボロで疲れきって力が出ない、それにこれ以上は時間が許してくれないだろう。

 背に日の光を背負い降り立った世界の空は、いつの間にかその一面の薄曇りの端から橙色に染まっていた。

「……あれが、夕焼けってやつか」

 “空”の住人であるアザナミには、それがどれほどの時間の経過を意味するのか知れないが、無色透明な“空”では遠い世界の像に重なるフィルムのような形でしかお目にかかれない夕焼けを見上げ、感慨深げに目を細めた。

 本当にずっとこうしていたかったが、そう思っている今の自分は本物じゃない。借り物の身体で一時の夢を見ているに過ぎない。そんな自分が、いつまでも微睡むことが許されるはずもない。それに流石にこれ以上ボロボロにしてしまっては、せっかく好意で身体を貸してくれたテテンに申し訳が立たない。

 束の間の夢だったが、それでも今日のところはこれで満足するしかないだろう。

 アザナミは心地よい倦怠感に溺死しそうな身体を無理矢理に動かして、寄りかかっていた翼を半ば引きずるように担ぎながら、見晴らしの良い小高い丘へ時間をかけて上った。

 そうして来たときと同じ手順で、背負った翼を操作して、炉から溢れ出た光が翼の先まで広がったことを確認すると、何の迷いも無く“空”を目指して飛び立った。

 翼は空へと吹き上がるような風の流れを受け上昇する。

 心なしか目前に燃える雲が近づいてきて……。

 そしてそのまま、しばらく空中を滑空したアザナミは、ゆっくりと地面に着地した。

 ………、

 ………。

「って! なんでだ!? 着地してどうする!!」

 いまだ使い慣れない身体に鞭打ちながら、時間をかけて再度丘に登ると、再び空を目指し……、……見事に着地した。

「そんな! コイツは飛行装置じゃないのか? あいつはこれで“空”に至ったんじゃないのか!? くそっ、一体どうなってんだよ! まさか、手順が間違ってるのか?」

 アザナミは、ボロボロになりながらも、三度“空”を目指して丘を蹴り、今度は着地に失敗して大地を舐めた。その折に背中で嫌な音が聞こえた気がして、恐るおそる背負っていた翼を下ろしてみると、案の定鉄屑製の片翼が中ほどから歪な方向に曲がっていた。

「まじかよ…」

 焦りながら、それでもと、アザナミはそのまま丘へと文字通り這い上がり、前代未聞の四度目の正直に賭けて空中へと飛び出した。結果、大方の予想通り、翼は風を捕らえることさえ無く、無残に地表に墜落して、歪な方向を向いていた片翼は完全に折れ曲がり、借り物の身体に無用な生傷を一つ増やしてしまった。

「あ~~。どうするよ、これ……?」

 アザナミはもはや完全に壊れてしまった翼を傍目に、頭を抱え、呆然と座り込むことしかできなかった。見上げると、先ほどまで空を染めていた橙色は山の端になりを潜め、暗い影が濃くなっている。身体はボロボロで、時間が経つにつれて疲労が濃くなっていく。先ほどからお腹の中からギュルキュルと音がして、その度に虚脱の波が押し寄せてくる。

「……これが空腹ってやつか、な? 大気に流れる栄養素を取り込めないなんて、なんて不便な体なんだ」

 “空”の大気中に溶け込んでいる幾千万の“世界”から流れ出した様々な栄養素を、その言葉の通り息をするように体内に取り込み生きる浮遊人にとって、空腹に陥る機会はそうそう無い。アザナミにとってはこの空腹でさえ、未知の、とても興味深い体験である。が、とはいえ先ほどのように、ただただはしゃぎ回ることもできそうにない。

 テテンとの出会いから今に至るまで、己の欲望のまま行動していたアザナミも、ここにきてようやく、想定することさえ忘れていた現実の不安を前に、冷静に混乱し始めていた。

 よくよく思い出してみれば、そのあまりにも頼りない揺らぎを背負って現れたテテンをイレギュラーと初めから判断していたはずだ。

(それでも、“空”と繋がりがある俺なら大丈夫とか…思ってたんだが…。はぁ、ホント、どうすりゃいいんだよこれ?)

 そうして頭を抱えたアザナミの目に、点々と輝く光が飛び込んできた。

 丘を下った林の向こうに、確かに光るそれは、町に夜の始まりを告げる光石燈の光だ。

 初めての世界を堪能することに夢中で、明るいうちには気づかなかったが、どうやら近くに集落があるようだ。

 “空”からテテンとともに世界の様子を観察し、彼が通ってきたという道筋をトレースしてやって来たのだ、おそらくあの光の下が、テテンの暮らす町なのだろう。

「そうじゃなかったらおしまいだな」

 あそこに行けば、翼を直す方法が見つかるかもしれない。アザナミは力尽きかけていた身体で、気力だけを頼りに強引に一歩を踏み出した。

 雑草茂る丘を背にして、よろよろと慣れない動きで光を目指して進む。そうするうちにもどんどんと辺りを宵闇が包み始める。このままでは無事に光の下に辿り着くのは難しいだろう。少しでも身を軽くして体力を温存しなければ町には辿り着けない、そう判断したアザナミは、仕方なく背負っていた翼を近くの適当な木陰に隠して行くとこにした。とてもじゃないが余計な荷物を持って歩き続ける自信は無かった。

 こんな辛い思いをしてまで一体何をしているのか。掟を破った、これが罰だとでもいうのか。夢見た大地は、焦がれた世界は、望んだ自分は、こんなモノでは無かったはずだ。

 後悔して、それでもどこかで満足していて、絶望も希望も、諦めてもけして屈せず。

 大地は冷たくアザナミを迎えたけれど。

 さ迷い歩く黄昏過ぎの道筋は少し嫌いになったけど。

 それでも、それでもまだ。

(まだ…)

 まっすぐ一歩も踏み出せない絶望的なまでの千鳥足で、右も左も知れない未知の世界を彷徨って、奇跡的に人里へと辿り着いた時には、空に光は無く、すっかり夜になっていた。

 町外れに並ぶ光石燈の灯りの先に人の姿を見つけて、緊張の糸が途切れたアザナミは、その場に崩れるように倒れた。

 町の人々は突然現れた生き倒れの存在に気づかない者もいれば、気味悪がって遠巻きから見ているものなど実に様々だったが、その内何人かが恐るおそるといった風に様子を伺いに近寄ってきた。ボロボロのアザナミを間近にして、とりあえず介抱しようと手を差し伸べた者の一人が、行き倒れの正体に気づき、声を上げた。

「おい! もしかしてテテンじゃないか!!」

 その一声で、いままで無関心だった者含めその場にいた全員の目がアザナミに向いた。

「本当だ。テテンだ!!」

「こうしちゃいられない! おい! 誰か! すぐにおやっさん呼んでこい!」

「宴だ宴! 英雄様のご帰還だぞーー!! 今夜も宴だー!!!」

 声を張り上げ、慌しく動き出した人々の調子に、わけもわからず呆然としている間に、アザナミは体格の良い男達に両脇から支えられ――というより、強引に担ぎ上げられて連行されてしまった。

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