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日本のセミ( 後編 )

 挿絵(By みてみん)


■■3.セミは美しい ■■


 セミの声ではなく、姿かたちの美しさをたたえる。あるいはセミを美しい着物や色の名前、女性の美称につかう。

 正直、違和感があります。

 しかし、王朝時代の日本人は、セミに「美」を見出していました。


➊ 蝉の羽

『蝉の羽』という言葉は、文字通り、セミの羽根を指します。しかし、それだけではなく、王朝時代の日本人(貴族文化の)は、うすく、軽い夏の着物を『蝉の羽 (蝉羽)』に形容しました。

 

♢源氏物語(1001‐14頃)夕顔

「蝉の羽も たちかへてける 夏衣(なつごろも)

       かへすを見ても ねは泣かれけり」


(訳)[蝉の羽]のような薄く軽い布を 裁断して作り替えた夏衣は、

       返してもらうのを見ても、声を上げて泣かずにいられないことです



♢古今和歌集 876 ・紀貫之

「蝉の羽の 夜の衣は薄けれど

       移り香濃くも 匂ひぬるかな」


(訳)[お借りした]夜の衣は [蝉の羽]のように薄いものでしたが

       みごとに香が焚きしめてあったので わたしの衣に移り 匂っています。


(* 衣の非常な薄さと、移り香の濃さを対比させています)



『蝉の羽』

……紹介しておきながらなんですが特別でしょうか?


 あらためて写真を見ても、羽根がとくにきれいと思えません。写真は、透き通ったうすい羽をもつセミとはちがいますが、透明な羽根の虫ならトンボがいます。ハチ、ハエもそうです。


 そして、…… まだ先があり。


 (しゃ)()などの上等な布で作った夏の着物そのものを、『蝉衣せみごろも』、 『蝉の羽衣はごろも』、 『蝉の(きぬ)』、などと呼んでいました。


□「かけ香や何にとどまる蝉衣せみごろも

              〈蕪村〉


 蝉衣、蝉の羽衣、蝉の衣……そんなセミセミと。


 (みやび)な女性が、暑い、暑い、と。セミガラの夏着でこぼすふざけたイメージがうかびました。


 それはともかくとして。


 今日こんにちのセミのイメージは、大声で騒々しく、暑苦しく鳴く虫ですが。王朝時代は夏着の呼び名にするにふさわしく、涼し気なイメージだったということでしょう。



蝉羽月せみのはづき

 旧暦六月…… 水無月(みなづき)の異称で、今日のカレンダー(新暦)でいうと、6月末〜8月始め頃のことです。


 蝉の羽根の月…… 自然とつながりが深そうですが、前述の貴族文化(≒都会の文化)に由来します。薄い夏着を着るタイミング、ということです。

 今日、蝉羽月せみのはづきは水無月ほど知られていません。



蝉髪せんぱつ

 セミのかたちをした髪型⁉ ……ではありません。

 女性のツヤのある美しい髪(黒髪)をあらわす言葉で『烏の濡れ羽色』のようなものです(ざっくりと)。

 蝉髪せんぱつは、黒髪の美女そのものを指す手入れされた黒髪が帯びる深い色つやと、『蝉の羽』のうすく透きとおった水晶のようなイメージが重なったのかも知れません。


『蝉の羽』、そして、前編で取り上げた『蝉声』もそうでしたが。現代人と王朝時代の文化人では、注目するところや美意識が(すべてといわないまでも)違うようです。


 蝉に似た色つやの黒髪、蝉に例えられた美人とは ……



蝉氷せみごおり

 冬、水の上にうっすら張った氷のことで、蝉の羽根の美しいイメージと重なる、透明で、薄く、硬い氷の薄板です。

 蝉氷せみごおりは俳句の冬の季語で、セミという夏の虫が(言葉の上ですが)冬に登場する珍しいケースです。


 なお、にたイメージの『薄氷(うすごおり、うすらい、はくひょう)』は春の季語で、立春を迎えた後の水面のもろい氷です。

 蝉氷せみごおりと違って持ち上げればはかなく壊れてしまいます。足で踏んで歩くなど論外です。



➎ 夏虫色

 セミにちなんだ色、といわれてどんな色をイメージするでしょう?(わたしは… 地味な茶系黒系)

 染めものの夏虫色は、日本の伝統色で薄緑、「明るい灰みの黄緑系の色」です。


「夏虫色」(#cee4ae)


 挿絵(By みてみん)


 なじみのうすい言葉ですが、2018年、NHK朝の連続ドラマ「半分、青い。」に、薄緑の『夏虫色』の電車が登場して話題になりました。

 主人公ヒロインが幼なじみと別離の会話の最中、電車はあらわれ、夏虫色が「きれいな薄緑」と呼ばれます。


 夏虫色とセミの関係は、一般向けの解説文に『夏虫色とは、セミ、または青蛾の二藍色からついた』とあります。

 …… すると、「夏虫」はセミの別称?


 調べると夏虫は『一応』、セミの異称でした。

 しかし、飛んで火に入る夏の虫、と、あるように。夏虫とは『おもに』夏の灯火に集まる蛾に対して使われました。


 一応、おもに…… と、歯切れが悪いのは。

「夏虫」は、灯りに集まる蛾やセミだけでなく、ホタルの別称にもなっていたからです。

 蚊も、夏虫と呼ばれていました。

 さらに、夏場の子どもの病も夏虫……

(もはや昆虫ですらない)


 夏虫色(薄緑)とセミの関係は、調べる途中、よくわからなくなりました。



❻ 配色の「蝉の羽」

 色の名前を調べていると「蝉の羽」という言葉に出会いました。配色法の『かさねの色目いろめ』の用語です。


 かさねの色目いろめとは平安時代以降の配色法で、日本人の四季の変化への関心の深さ、美意識から作り出されました。一般的に有名なのは、重ね着の配色の(かさね色目(いろめ十二単じゅうにひとえです。


 蝉の羽は(かさね色目(いろめのひとつで、「夏らしい濃い緑」と「木肌を思わせる茶色(桧皮ひかわ色)」の組合せです。

 挿絵(By みてみん)

 夏の林(木立)をイメージしたのでしょうか? 『蝉の羽』の呼び名が合っています。



■■4. 絵に描かれたセミ ■■


 日本のセミを描いた絵を調べると、奇妙な作品が見つかりました。

 江戸時代、葛飾北斎が描いた「北斎漫画」は有名ですが、ハエのように見えるセミの絵があり。逆に、あぶ図(下)に飛び交うのはおそらくはセミです。


 挿絵(By みてみん)

 …… アブにみえますか?

 北斎や出版関係者は、セミとアブの区別がつかなかった⁉ 


 そもそも、日本美術の絵画彫刻の虫のすがたは、必ずしも正確ではありません。チョウでさえ八本足だったり、ゾウの鼻のような太い口をもつチョウの彫刻が残されています。



■■5.人から変化へんげしたセミ、怪物化したセミ ■■


➊ セミの由来の伝承

 日本のセミは種類が多く、ヒトの言葉に聞こえる鳴き声もあります。そのせいか、『セミはもともと人間だった』という言い伝えは日本各地にあり、


 ―― ヨキ(斧)をなくした木こりが、「ヨーキー」と声を上げ、道具を探すうちにセミになった。


 ―― ツナ(藤蔓)が切れて谷に落ち、死んだ木こりがセミに生まれかわり、「なたなたなた」、と、いつまでも鳴いた。


 ―― 遠国で死んだ筑紫(つくし)の人が、故郷を慕ってセミになり「ツクツクシ」と鳴いた。


 ―― 同じく。筑後の貧しい少年が遠い町に働きに出され。故郷を恋しがって泣くうちに小さなツクツクボウシにかわり、「ツクシコイシ(筑紫恋し)、ツクシコイシ」と鳴いた。


 ―― 兄を見送っていた弟がセミになり、木の上で「見る見る」と鳴いた、など。


 茨城県の徳蔵とくくら姫の変身譚もそのひとつで、旅の弘法大師(空海)に恋い焦がれますが、彼女の想いは叶わず。木に登って泣き続けると、小さなセミになった……


 徳蔵姫が変化へんげしたとされる「ヒメハルゼミ」は、分布の限られた貴重なセミで、アブくらいの小ささですが声が大きく。まわりの仲間と同調するかわった習性がありました。

 

 徳蔵姫の伝承は、ヒメハルゼミの大合唱から感じる神秘・・・地元で「奇蝉』と記されたイメージが背景でしょう。


 ……… え? 鳴くのはセミのオスだろう?

 徳蔵姫はTS生まれ変わり??


 …… 細かいことはいいんです。

 


❷ セミ·モンスター

 アイヌの伝承に――― 老人に変身したセミが人の子供を育てた。あるいは別の、漁場から人間を追い払った(敵対した)話があるそうです。

 しかし、いわゆる和人の日本の伝承にこうした『セミが人に』変化する怪異譚は見当たりません(少なくとも広く知られた話は)。

 奇妙に思えます。


 ―――アラクネー(アルケニー)は、美しい女の上半身をもつ半人半獣(蜘蛛)のモンスターで、いろなアニメやゲーム、小説に登場しています。


 しかし、もとになったギリシャ・ローマ神話のエピソードのアラクネーは、悪の化身でも魔物でもありません。

 人間の娘が、女神に対して織り物の才能を誇って怒りをかい、蜘蛛(…小さな)に変えられますが、半人半獣の怪物はどこにも登場しません。


 アラクネーが人間大の怪物にされたのは、のちのキリスト教の時代でした。


 ダンテの『神曲』「煉獄篇」に醜い半人半獣(蜘蛛)のすがたで登場し、傲慢の大罪を冒したものとして苛まれていました。

……アラクネーの傲慢は原典の女神が裁いて、すでに刑の執行まで終えていたのにです。


 怪物にされたアラクネーは、やがて、人間の罪人ではなく生まれついてのモンスターとみなされるようになり。半人半獣(蜘蛛)の蜘蛛の妖女という、今日のようなファンタジーの世界のキャラクターになりました。



 アラクネーの変遷をみると、日本のセミの伝承は見えない区切りがある印象です。


 セミは人間が感情の極みで変化した。あるいは、不幸な死に方で生まれ変わった、という変身譚が日本各地にあり。

 一方で、美しい装束や黒髪や色の呼び名に、蝉の羽、蝉髪などセミの名がありました。


 セミが美女に変化へんげして恩返ししたり。化けゼミが人を襲う怪異譚は、なぜ派生しなかったのでしょう。

 また、もし、創られたことがあるなら。なぜ広く知られず、人気を集めなかったのでしょう?


 例えば……

 セミが蜘蛛の巣から救われた恩返しに、人食いクマを声まねで騙し、恩人を危機から救った。


 怪奇譚なら、盗賊に殺された旅人がセミに生まれ変わり「ナタナタ、ナタナタ」と怨敵を告発し。狂死するまでつきまとった。

 あるいは、真っ黒な蝉羽のバケモノが美僧に恋着して修業を妨げたが、最後に僧の師匠に討たれた……などなど。

 比較的簡単に思いつきます。



 また、鶴の恩返し、鶴女房の民話はとても有名です。

 亀女房、貝女房の伝承もあるくらいですから、身近にいるセミの『蝉女房』も創作されそうなものです。蝉の羽衣、蝉髪など女性のファッションに関わる呼び名があればなおのこと。


 セミに託された無常観、はかなく短い命のイメージが妨げになったのでしょうか?


 あるいはちっぽけなセミ(虫)が人と対等に話したり。人が美女に化けた虫なんかに恋したり、本来は無力なセミが怪物になって人を脅かすこと(成り上がり?)に抵抗感があった?


 もし、そうなら。

 つぎに紹介するのは、敗戦後、異文化のアメリカの軍隊に占領されて、日本の社会の価値観や生活文化が変わったからこそ、新しく生まれたかも知れません。


❸ ウルトラマンシリーズ

 特撮テレビドラマ、ウルトラシリーズは、1966年にはじまった人気シリーズで、「最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」として、2013年ギネス世界記録に認定されました。現代日本の創作伝承レジェンドです。

 シリーズ第一弾に、セミのモンスターが登場しました。


❸―⑴ セミ人間

『ウルトラQ』に登場したセミ頭の宇宙人です。

 ロボット怪獣をつかって地球を攻撃し、第16話「ガラモンの逆襲」の劇中、地上にすがたをみせました。


 虫頭人身のモンスターといえば、映画「蝿男の恐怖」に登場したハエ男が有名です。

 人間の男が、科学実験のアクシデントで体の一部がハエと入れかわり、巨大なハエの頭の怪物人間になってしまい。もとのすがたに戻ろうとして、殺人やさらに危険な試みに手を染めます。


 これに対して、セミ人間は異星の知的生命で、ことさら醜く造形されておらず、鳴き声、短命、飛行、羽化(変態)など、本物のセミと重なるイメージはみられません。


 かわりに(?)セミ人間は地球人の男に変身できて、人化したすがたはたいへんな美形、と決められていました。

 脚本に『蝋人形のような白い顔』『ゾクッとするほどの美人』…… とかかれ、美輪明宏(当時、丸山明宏)が役の候補だったということです。


 セミの化身=美貌の人、と、はっきりしたイメージがあったのでしょうか。関係ないかも知れませんが、伝統文化の能の面には『蝉丸』という『盲目だが気品ある顔立ち』の少年面があります。



❸―⑵ バルタン星人

 ウルトラマンシリーズでトップクラスの人気怪獣のひとつで、別名、宇宙忍者。早くも『ウルトラマン(1966〜1967年)』 の第2話「侵略者を撃て」に登場しています。

 

 セミのような顔で、頭に兜のような一対の角。二腕二足で、両手の先は大きなハサミです。

「フォッフォッフォッ」…と、独特の笑い声を上げました。


(V)o¥o(V) :︙フォッフォッフォッフォッ……



 バルタン星人のデザインにあたった『成田亨』氏は、無駄を削ぐデザインに努めていたことから、

「『セミ人間に角と大きなハサミをつけてくれ』という無意味な注文が嫌だった」

…… ということです。


 しかし、バルタン星人は、人気悪役となって何度もウルトラマンシリーズに再登場し。テレビCMやボスターのキャラクターにも採用されました。

 ヒーローの強敵は、セミの古いイメージをくつがえしたからこそ、人気を集めたのでしょうか。


 バルタン星人は、虫のセミの習性をそなえていないようにみえますが、初代バルタン星人は核ミサイル攻撃を『脱皮』で無効化しました。

 分身する宇宙忍者は、セミ顔から『空蝉うつせみ』の術、忍者を連想したのかも知れません。



➍ 仮面ライダーシリーズ

 ウルトラマンに勝るとも劣らないテレビシリーズのレジェンドです。セミ怪人は、昭和のファーストシーズンに登場しました。


➍―⑴ セミミンガ

 仮面ライダー(1971〜73年)の第64話「怪人セミミンガ みな殺しのうた!」に登場したセミ型改造人間です。鳴き声は「ミィーンミンミンミィーン」………ミンミンゼミがベースだったようです。


 しかし、なぜか、両目が飛び出した異形で、カタツムリのような「柄つき」の目でした。


 おもな武器は殺人音波と針のような口で、とくに鳴き声は、

「俺の殺人音波に狙われた奴は防ぎようがない。今に東京中の人間を残らず殺してやります」

…… と、地獄大使(上司)に豪語する自信。


 ところが、なぜか、変身前のライダーに命中しても大したダメージにならず(誤射されたショッカー戦闘員は爆散)。クライマックスの戦闘で、ことごとくよけられていました。


 セミミンガはとくに強力ではありませんが、虫のセミの国民的人気のたまものか? 平成仮面ライダーとも対戦します。

 2003年、アクションアドベンチャーゲームのPS2『仮面ライダー 正義の系譜』の出来事で。セミミンガは、仮面ライダー·アギト編の最初の敵キャラクターに登場、


「この時代にも仮面ライダーがいるのか!?」


――― と驚きの声を上げています。

(セミミンガ役の声優は、30年前のテレビ放映と同じ)


➍―⑵ ヒーターゼミ

 シリーズ第二弾、仮面ライダーV3に登場した機械合成怪人です。鳴き声は『ミミンガー!』と、ミンミンゼミ風。


 V3の敵怪人は、生物と機械(…武器と限らない)が混ざったヒトガタで、カメバズーカ、テレビバエのデザインが有名です。

 ヒーターゼミの場合、セミとヒーター(?!)というよくわからない合成で、破壊力のない鳴き声は「耳にしたものの喉が渇く」という微妙な効果。

 主な武器は、腕から撃つロケット弾 ――

(セミとヒーターの要素はどうした⁉)


➎ まとめ

 昭和のウルトラマンシリーズには、バルタン星人以後も、セミをモチーフにした怪獣(超獣)が登場しました。

 ですが、海辺で無重力光線を放って客船を宙に浮かべたり(ウルトラマンA)。細い口から(無理矢理)火を吐き。最後に宇宙に運ばれると宇宙セミに進化?したり(ウルトラマンタロウ)…… と。


 仮面ライダーシリーズの合成怪人もそうですが。変化をつけようとして? セミにいろいろな要素を自由に加え過ぎ、よくわからない創作怪物になったように思います。



■■6.むすび ■■


 ここまで、日本のセミのイメージ………… 王朝時代の芸術、生活文化の中のセミ。地方名や地方伝承、エンターテインメント作品の中のセミをご紹介しました。

 あなたのイメージするセミは変わったでしょうか。ありきたりで騒々しい虫と思っていたなら、おや? アハッ! という驚きはあったでしょうか?


 日本人は鳴く虫に親しむ、世界の少数派のひとつといわれます。

 世界では虫の声は雑音ととらえられるところが多く、日本人は蝉や鈴虫の声を俳句の季語に入れるなど、音楽としてとらえる文化を持つ民族です。セミにも古くから情緒を感じていました。


 しかし、実際は短命ではないセミの成虫に『一週間の命』、と、はかないイメージをもっていたように偏りもあります。


 今回紹介したウルトラマンや仮面ライダーのエピソードは【 英雄ヒーロー)によって、怖ろしいセミの怪物が退治される物語 】といえます。

 しかし、これに匹敵する、セミをモチーフにした主人公、正義のヒーローやその有力な仲間の物語はつくられていません。

(あるいはつくられても話題にならなかった……?)


 セミは夏を代表する、子どもに親しまれる鳴く虫です。人気作、人気キャラクターはつくりやすそうですが、悪のセミのバルタン星人のデビューから50年も経っても、なお、正義や善の人気者はいません。

 わたしたちに根強く、発想を妨げるイメージが宿っているのかも?


 例えば…… セミのヒーローなんて、ギャグだと思いますか? なぜ?

 バッタの改造人間は『仮面ライダー』と名付けられて、大成功をおさめています。バッタのヒーローも、仮面ライダーより前の時代、ギャグだったはずです。



 セミは日本各地にいます。セミ取りを子どもの遊びと決めず、セミの羽化に関心を持つことに大人も子どももない。そのくらい自由奔放に親しまれて、新しいすがたが大衆文化に創作されないでしょうか。

 このエッセイがなにかのキッカケになるとさいわいです。


 お読みいただきありがとうござました。





【おもな参考資料】

 朝里樹 『日本怪異妖怪事典 北海道』

 朝里樹監修 『日本怪異妖怪事典 関東』

 梅谷献二 『虫の民俗誌』

 篠田知和基 『世界昆虫神話』

 近江源太郎監修『色の名前』

 三枝克之『時の名前』

 保科英人・宮ノ下明大『大衆文化の中の虫たち』

 保科英人『近代文化セミ学』


〘 本編終了後 〙


うむうむうむ。


これでセミの知識の補完ができたし、

イメージもかたまってきた。

バルーンアート、作るぞー。



【:∶(残念な実話) 「……コロナで夏のイベントが中止になりました!」


Kノ`♢´)ノ彡 ┻━┻︰..、Q

 …… おのれっ、コロナ!!



✳ ✳ ✳



本エッセイは、NOMARさまのアドバイスで完成しました。ありがとうございます。

当初は本当に雑学の羅列でした ……

(読み返したくないレベルの)



最後に一句、ご紹介。


□ コロナなど 知ったことかと セミよ鳴け

(NOMAR)


多謝 。




⦿ おまけのバルーンアート


 挿絵(By みてみん)

✔ セミの写真と脳内イメージから生まれた、ファンタジックな蝉妖精(蝉姫)!

↓↓↓


 挿絵(By みてみん)

✔ 女性だから鳴かない(歌わない)。

✔ かぶっている冠(頭環)はセミの頭部のイメージ。

✔ 口もとはクチバシではなく、頭冠から下ろされた飾り紐。


 挿絵(By みてみん)


 挿絵(By みてみん)

✔ 黒髪に、メタリックな鉄色と緑色の装束。

✔ 羽根は、からだの脇か前に出して見せるつもりだったことと、『羽衣』のワードに引っ張られて、長く波打たせました。あとで、硬く直線的な感じにすればよかったと反省。

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