強い奴?との戦闘
「失礼」
「え?きゃあ!?」
俺は女の子を助けるためにまずはここから脱出するべく移動を開始しようと彼女を抱えた。次に鉄格子の扉を蹴飛ばす。先生から貰った情報ではここは地下の牢獄のエリアだろう。最初の地下室の研究所から一階上がったものの、床が崩れてまた地下に来てしまった。さっきの階段を使おうにもここからは遠い。今は敵を蹴り倒しながらもう一つの階段に向かっているとこだが…そこには問題がある。
「今から向かう上への階段の先には強い奴がいる」
「は、はあ…」
「俺が倒したら教えるからそれまで階段の下で待ってくれ」
「だ、大丈夫なのですか…?」
「問題無い。何故なら」
彼女は戸惑っている様子だが俺は大丈夫だと即答した。その根拠は単純だ。
「俺がアイツより強いからだ」
そう言いながら上への階段を登る。登った先には俺が言っていた強い奴がいた。
「よう裏切り者!待っていたぜ」
そう言いながらチェーンハンマーを振り回している強い奴。俺はここで目覚めてから一度は会っていたが、こいつの名前を覚えていないのでどう呼ぼうと悩んでいたら、コイツは自分のことを『強い』と言っていたので適当に強い奴と呼んでいた。ふと俺は弱いくせに自分のことを強いと言うのはどうしてだろうと気になったので少し聞いてみることにした。
「一つ聞かせてくれ」
「あん…?」
「何故アンタは弱いくせして自分のことを強いと言うんだ?」
「……舐めやがってぇ、ブッ殺す!!」
「?」
強い奴はチェーンハンマーを薙ぎ払うように飛ばす。それをジャンプで躱したところに今度は上からチェーンハンマーを振り下ろした。単純だな、横にステップして避ける。するとさっきまで居たところにはハンマーがめり込んでいた。丁度いい
「【Gravity】」
「グッ!?な、なんだぁ!?」
「【Boost】」
「ガアァ!?」
チェーンハンマーを重くすることで奴を無力化する。動揺したところを急接近して顎を蹴り気絶させた。
「よし。もう出てきていいぞ」
「あ、ありがとうございます…」
「時間が惜しいからまた失礼」
「え?また!?」
出てきた彼女を再び抱えて目的地まで走り出す。本来の任務もあるが今は彼女の命を優先すべく合流地点の港へ走っている・・・着いた、先生達がいる。実は此処を脱走する者達は俺や先生以外にも存在していて、五人の魔族の研究者がいる。皆は先生の弟子で先生からも信頼出来るのに値するらしい。
「着いたぞ」
「え?」
「やっときたか!…ってそのお方は!?」
「知ってるのか?…いや、今はいい。俺は任務に戻る」
「いや、十分だ!」
先生のもとに彼女を託して任務に戻ろうとすると先生が俺を呼び止めて十分だと伝えられた。何故?俺の疑問を浮かべる顔を見て先生はすぐに答えてくれた。
「彼女はポセイドンという国のアリシア王女だ!彼女を助けたことにこれ以上の収穫は無い!脱出するぞ!」
「了解した」
「あ、あなた達は一体…」
「ここから脱走する者達だ、詳しい話は後でします。今はこちらの船にお乗りください」
「わ、わかりました」
先生の言葉に従い、アリシア王女は脱出用の船に乗る。続いて俺も乗ったことを確認した先生は装置を操作して船を動かした。この船は先生が此処を脱走するために建造していた船であったため、体感5分でさっきまでいた島が見えなくなった。