人造勇者の産声
一年前から構想を練っていましたが、諸事情により、溜書きの一週間分だけを載せとくことにします。評価次第で続きを書きます。よろしくお願いします。
黒い雲の下にある孤島の地下にある薄暗い部屋、その真ん中に黄緑色の液体で満たされた円柱形の巨大な容器の中に一人の少年がいた、容器は天井と床の装置と繋がっていて、口元には呼吸器のような機械がついている。容器の周りには沢山の機械が置かれていて他には幾つかの魔族が作業をしている。ふと一つの機械が強烈な反応を起こした。魔族が慌てる中、容器の中の少年の瞼が開く。
(…ここは何処だ?僕は一体誰なんだ…?)
「レオナルド博士!“カルナ”』が眼醒めました!」
「液体を排水して窓を開けろ、それとタオルと服を持ってこい」
「はっ…」
目が醒めた少年が思考する中、容器に変化が起こる。容器の中の液体が底の排水口に流れて中が空洞になる。空洞になった後は、目の前の透明な壁は下がっていき、少年は風に晒された。少年は寒気を感じながら周りを見ていると、目の前に魔族ではない一人の男が来る。男は手に持ったタオルで少年に着いた液体を拭いながら話した。
「カルナ、それがお前の名前だ」
「カルナ…?」
「そうだ、カルナ」
男はカルナに纏わりつく液体を拭き終わると大きめのシャツを着せた。カルナは状況を理解出来ないまま、目の前の男に耳を貸す。
「お前はこれから、戦いの訓練をする」
「たたかい…?」
戦いという言葉にカルナは頭の中で反復させる。それが胸のどこかで嫌なものだと感じた。男はカルナの顔を見て、心配させないように頭を撫でて笑いながら言う。
「大丈夫だ!すぐに慣れるし、強くなることは良い事だぞ?強くなって、皆んなの為に戦えば、皆んなが喜ぶぞ?」
「たたかえば…みんながよろこぶ…」
男の言葉はカルナの胸の中で溶け込み、警戒心を緩めて、再び男の言葉に耳を貸した。
「今からご飯にしよう、ついて来なさい」
そう言って男が手を差し出してカルナはその手を取る。そして男は思い出したように言った。
「そういえば自己紹介がまだだったな、私はレオナルド・バエルだ。これからよろしく頼む」
俺が目覚めて2年後、身体が急激に成長していく俺はレオナルド先生と共にここから脱走する計画を始めた。発端はレオナルド先生との密談だった。
『これから話すことは誰にも話すな』
『わかった』
そこで先生から語られた魔王軍の実情。魔王軍はもともと二つの派閥に分かれていて、他の国と協調して共に暮らす【調和派】と他国に対して侵略を行う【混沌派】、先生は【混沌派】に誘拐されて無理矢理研究に付き合わせられたという。俺はそんな【混沌派】に対して敵意を抱いた。
『そういう訳でな、お前と一緒にここから逃げるぞ』
『わかった』
そして先生から言い渡された提案に俺は迷いもなく賛成した。それから俺が目覚めて3年後、さっきの話の1年後となるが、今の俺の身体は3年前の小さな身体が急成長したことで170センチはある。今日は俺達の脱走計画の実行の日である。
『準備はいいか?カルナ』
「いつでもいいです」
通信機越しにきた先生の声に準備完了だと返す。俺は今から先生がこの島から逃げるための船を奪還する。その為の時間を俺が暴れて稼ぐ。時刻は夜の11時59分、現在地は俺が産まれた部屋で、此処で俺は破壊の限りを尽くす。コンディションは十分、作戦開始の合図がそろそろ来るので構える。…3、2、1
『作戦開始』
「【Genocide】!」
作戦開始の音声と同時に腕に魔力を収縮して振り抜く。すると周りは爆発してサイレンが鳴る。此処には俺に関する資料があるが、この攻撃により燃えカスとなった。
「な、なんだ!?」
「貴様!何をしている!?」
「【Boost】」
「うわっ!?」
「【Sting】」
「ガアァ!?」
騒ぎに気づいたのか此処の警備員が四人程駆けつけて来た。俺は【Boost】で四人に近づき一人を右腕で殴りつける。そしてもう一人の心臓を手刀で貫き絶命させる。さっきまで使っているのは【魔術暗号】、俺のモデルとなった勇者が使っていた特殊能力だ。通常の魔法と違い詠唱を必要とせず、言葉を紡ぐだけで強力な効果を発揮させることが出来る。
「う、うわあああああ!?」
「敵襲!敵襲ぅ!?」
「【Saber】」
「ぐうぅ!?」
今度は【Saber】で三人目を袈裟斬りにする。けどそいつは咄嗟に簡易魔法でバリアを貼ったらしく無傷だ。簡易魔法とは普通の魔法と違い威力などが弱いが詠唱無しで発動できる。取り敢えずここから逃げるべく扉の前にいる二人を始末するべく行動を開始する。
「【Saber】【Extend】」
「何!?…ぐう」
もう片方の手に【Saber】を発動して両手を2人に向けて刀身を伸ばす。二人とも心臓を貫けたので絶命した。それで一息ついた所で辺りを見回す。最初に殴った一人はまだ生きているようだが、それ以外は全員死んでいる。これを自分がやったのにどういうわけか胸が苦しい。この手で殺めた彼らのことは忘れないようにしよう。
「…ごめんなさい」
そろそろ騒ぎに気付いて敵が沢山くる筈、これ以上此処に留まっても意味は無い。ここから移動するべく扉を通って走り始めた。上の階段を昇り、道中のこちらに気づいた敵を今度は殺さずに気絶に止める。この作戦では俺たちを追えないようにするために、此処の重要な施設を破壊する必要がある。
「いたぞ!」
「ッ!!」
恐らく鎮圧隊であろう集団がこちらに気づいた。見た目は重厚な鎧を全員身に纏っている。これでは一人ずつ倒すのは面倒だ。
「一気に倒す…【Genocide】」
『うわあああぁぁぁ!?』
このように【魔術暗号】は二つ以上の魔法で組み合わせて使うことが出来る。組み合わせによってはかなり強い魔法になるので今日までに沢山の組み合わせを試している。この広範囲での範囲攻撃魔法によって多数の敵を一気に倒すことが出来たが、問題が起こった。
「何だ…?」
建物が魔法に耐え切らなかったのか、このフロア一帯がゴゴゴと音を立てている…まさか!?
「崩れるのか?不味いな」
俺は頭が下の階に激突しないように、後頭部を守り落ちていく。
「グッ!?…ここは」
「あなたは…」
「え?」
周りを見渡して見ると落ちた先はどうやら牢屋だった。そう思って立ち上がると、女の子の声が聞こえた。振り返ると、とても綺麗な女の子がいた。茶色の長い髪の毛に蒼い目、先生の物語でいうお姫様っていう人なんじゃないかと思った。監禁されていたのか…?そう思っていると、女の子は俺に向かって叫んだ。
「助けて!」
助けを求める声、それを聞いた俺のするべきことはたった一つだった。
「わかった」
これこそが俺の物語の始まりだった。
読んで頂きありがとうございます。どうだったでしょうか。最初に書く内はすらすらと続けれましたが、溜め書きの7話までには書くのにキツイなと思いました。この小説を考えついた時は、未だに小説を書くのも読むのも初心者だったので、色んな小説を読んだり、別サイトで2次創作を書いて練習したりしていましたが、自分で言うのもなんですが、かなりの低クオリティだと思いました。もし、この小説を読んで面白いと思ってくれた方は高評価、感想など、頂けたら続けるかもしれません。よろしくお願いします。