長すぎる!
長すぎる!
かれこれ五年間は休むことなく続けていると思う。
夕方、夕拝のおりに、クロにご飯をもっていく。クロと呼ぶと、どこからともなく現れるのだが、そのときは常にピンと尻尾がたっている。その尻尾の長さといったら、神々しさを感じてしまうほどである。
ピンとたった長い尻尾の先端を握っても、さして嫌がらない。そのまま拝殿にあがり、ごはんをあげると、たちまち、尻尾はだらんと床に伸びるのだ。
猫という生き物は、尻尾で感情をあらわすらしく、ピンと上にあげるのは、子猫のとき、母猫にお尻をなめてもらうための名残で、信頼している人に対してだけ見せるものらしい。ちなみに、宮司である私の夫の前では、ぜったいそんな姿はみせてくれないと残念がっている。
さて、我が家に出入りする、もう一匹のキジトラのキジだが、クロほどでもないけれど、尻尾は長めである。クロがすっとした尻尾であるのに対し、キジは尻尾の先まで、まるまると太っている。いつも、私が食事の準備で忙しいときに、台所でご飯をねだるものだから、食べているときにスリッパで尻尾をふんづけてしまったことは数えきれない。そのとき、キジは、ふんまんやるかたないといった顔つきで、にゃあにゃあ抗議してくる。
―痛えなあ、もう。目があるんなら気をつけろよ!
多分こんな文句を並べているのかもしれない。けれども、キジの尻尾が長いのでこちらだって迷惑なのである。
踏まれたのが、相当いやだったのか、以来、キジは台所でご飯を食べるときは、必ず尻尾を浮かして食べている。
浮かすのは、結構力がいるのではないだろうか。浮かしたら浮かしたで、こんどはそれにひっかかってしまう危険があるのだが、足をあげるエクササイズと思えば、それも致し方ないのかもしれない。




