表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/43

消えたご神体

本当に暫くぶりの投稿です。まだまだ続けて参りますのでお読みいただけると嬉しいです。


消えたご神体


毎年十二月ごろに、とある地区で、「山の神」のおまつりがある。山の神様のお祭り自体は珍しいことでないのだが、そこの地区の祠は、社の形をしていて、ご神体とされる石が結構たくさんある。そして少し離れたその横に、ただの大きな石の祠があり、その中にもご神体がある。石に刻まれた文字などからも、相当古いもののようで、霊験もあらたかなので、丁寧にお祭りをしなければと宮司からも言われていた。


年に一度のお祭りのときには、白紙で神様の御衣を作り、ご神体に着せてさしあげる。

お祭りには、毎年座元とよばれ各戸を輪番制にまわる決め事があって、お祭りに使う注連縄やらお供えなどを準備してくれる。山の神様のお祭りも、そのように準備万端整えて、始められるはずであったが……。

「ああっ!」

 お祭りの前に、突然、座元の一番の長老が叫んだ。

「どうされましたか?」

「ご神体、先生、ご神体が入っとらん」

 思わず、彼の指さした石の祠に目をやると、中はすっからかん。そ、そんなあ……。

「みなさん、とりあえず探してみてください」

 こちらの動揺を悟られないよう、あえて冷静に伝えた。しばらくして、

「あったあ、多分これじゃろ」

 長老の安堵した声が聞こえてきた。

 考えるに、その石の祠は、少し傾いていて、小さな地震でも中身が転がり落ちてしまいそうな不安定さだった。

 とりあえず、海水と同じような塩水をつくってもらい、土のついたご神体をきれいに洗って、無事お祭りスタート。

 来年からは、ご神体が落ちないように注連縄で抑えるような形にしなければと強く思った。



































 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
拝読しました。 びっくりしました。すわ盗難かと。 無事で良かったです! 今回のお話も楽しませていただきました。 雪さん、お忙しいようですが、次回も楽しみにしていますので! 私は元気です。(^ν^) …
古い様子でしたし、そんなこともあるんですね。それにしても皆さん心身ともに驚かれたでしょう。ですが「あえて冷静に伝えた」というのに深く頷きました。神事ですし、皆不安がことさらに大きくなりそうです。 海水…
なるほど、御神体が消えるとはそう言う事だったのですか。 祠から消失していたと気付いた時には、人々の動揺も計り知れない物だった事でしょう。 いずれにせよ、御神体の遺志に何事もなかったようで何よりです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ