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七五三参り

七五三参り


神無月とは思えないような連日の暑さに、ついついうっかりしていた。七五三の準備を始めなきゃ!

七五三。初宮から数年たって、子どもの無事な成長を神様に報告・感謝申し上げ、これからいっそうの健やかな成長を願う行事だ。

これについては、三歳が「髪置」といって、男女が頭髪を伸ばし始め、五歳は「袴着」として男児が初めて袴を着用、七歳は「帯解」といって女児が幼児用から大人と同じ帯を使えるようになるといった、子どもの成長を社会的に認める通過儀礼を起源としている。


幼いころから、この行事のお手伝いは大好きだった。父が準備する千歳飴や、風船、クレヨン、お菓子などをそれぞれの袋に入れる単純な作業なのだが、袋を開けてワーッと喜ぶ参拝の子どもたちの笑顔を想像するのが何より嬉しかったのだ(私にも、チョコボールなどのご褒美がもらえることもあったっけ)


 この田舎も当時は子どもが多かった。両親がついてくると、参拝者は五十人は軽く超える。神事の後は写真屋さんを呼び、社殿を背景に記念撮影をしたものだ。そのころ晴れ着をきた子どもたちが、今や祖父母となり、孫を連れてくる姿に、宮司の父は感慨深げである。


 現在、初宮と七五三の祈願は、権禰宜の私に任されている。その準備のひとつは、お土産品の調達だ。神社専用の授与品のカタログがあり、そこから選ぶのだが、千歳飴、風車、メダル、あとは年齢に合わせて、小さな玩具を決めていく。七五三用のポスターの準備は整い、申し込み用紙は、目下パソコンで作成中だ。


 参拝に来る子どもたちに、宮司がずっと続けてきたこと。それは、ひとりひとりに祝詞殿の中の昇殿太鼓を年の数だけたたかせることだった。もちろん写真撮影OKであるから親もカメラを構えて真剣だ。元気よくたたく子、嫌がる子、遠慮がちにたたく子、泣き出す子もいて、本当にみんな個性豊か。中には祭事の後で配るお赤飯をお代わりくださいという子もいて、苦笑しつつも可愛らしい。


 けれどもここ数年、お参りに来てくれる子どもたちも激減しつつある。

 コロナ禍では特に、里帰りで七五三もできないからだろう。

 来月、何人お参りかな……。一抹の不安はあるものの、やはり楽しみの方が先立ってしまう。


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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは。 本当に暑いですよね! ついウッカリ、わかります。 うちの下の子も今年七五三するのですが、「そうそう! 予約しとかなきゃ」 となりました。神社の方が楽しみに準備してくださってると…
[良い点]  お参りが激減。  やはりコロナ禍の影響が大きいのでしょう。  今年の七五三は、たくさんの子供たちがやってくるといいですね。福猫クロもお出迎えをしてがんばっているようだし……。
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