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無人の惑星で一人暮らし  作者: まつ
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無人の惑星で一人暮らし



 宇宙船の故障でやむなく僕はアンドロイド五体と大型救命艇で脱出した。救命艇の装備は貧弱でこれからのことを考えると気が滅入る。それでも美人の文句を言わないメイドさんと脱出できたのは幸運であった。救命艇は家屋として充分なスペースがあり、着陸後の移動も問題ない。これからはこの五人のメイドさんとハーレム生活が待っている。おっと、そのまえに食料の確保が必要です。僕は二人を調査団として食料探査のために派遣しました。

 

「だんなさま、では行ってきます」僕は二人の調査団員と強く抱擁をかわして名残をおしみます。メイドさんの抱き心地は柔らかく、かぐわしい香りがします。勿論救命艇にも最低限の食料と水が積んでいます。食料が必要なのは僕一人です。アンドロイドは小型原子炉を内臓しています。この救命艇にも半永久的な汎用小型原子炉を積んでいます。二四時間この基地の周りには強力なバリアを張り巡らせています。このバリアのなかの空調は快適です。いま残りのメイドさんは地面にエコー探査機を設置して水脈を探しています。水脈は簡単に見つけました。後は井戸を掘るだけです。勿論井戸に頼らなくても、空気中の水を利用するのは簡単です。しかし僕は入浴が大好きです。入浴には必ず一人メイドさんが付き添ってくれて、体の隅々まで洗ってくれます。着替えも手伝ってくれます。


 そうこうしているうちに、本船から連絡がありました。本船の修理には材料が必要です。惑星の材料を採取するため専門のチームを派遣します。宇宙船は大型救命艇の真上で静止軌道上に移動しました。そこよりロープ状にした炭素鋼を大型救命艇まで垂らします。これで宇宙エレベーターの完成です。僕の推測ですが、多分、宇宙船は二度とメインエンジンを稼働させないのではないでしょうか。勿論修理

 完了後はどこにでも行けます。しかし宇宙船のたった一人の人間である乗客の僕が居ないのでは、何の目的で出発するのですか?

 

 宇宙船から50人のアンドロイドが降りてきます。みんな美人さんです。大型重機型ロボット、作業ロボットも降りてきます。ロボットは非人間型で作業に特化した外見になっています。さそっく僕のために惑星の環境を整えてくれます。まずロボットやアンドロイドの病院です。勿論母船には多くの材料や工作機械がありますが、やはり地上にも基地が必要と考えます。でも考えてください。一人の超高度AI搭載のアンドロイド一体を作るのに無人の惑星でどれほどの設備を作らねばならないのかと。それをメイドさんたちは実行するつもりです。

 

 美人さんたちはまず惑星の地図を作ります。これは比較的簡単にできました。極小人工衛星を母船からまき散らして位置探査、資源探査、暦制作、はい終わりです。美人さんたちは僕のために環境を美しいいものに仕上げようとしています。森と泉の環境です。無粋な修理工場やその他設備など、どこに作ったか僕にはわかりません。多くの木漏れ日あふれる散策路や軽食喫茶などが準備されています。そういえば、あれだけいたロボットや車両はどこに行ったのでしょう。あれから姿を見ませんが。 

 

 僕の住居の近くには、人間のための病院があります。最新型で医師は僕の寿命を管理してくれるそうです。当面の目的は今の状態で1000年の寿命です。すごいですね。それと図書館も準備してくれました。地球にあった図書館を再現したそうです。要望のあった書籍はすぐにそろえるそうです。僕のために美人執筆陣が日夜研鑽を積んでいます。異世界の冒険ものから、すごくエロい小説まで製作可能と言われました。

 

 僕は冒険の旅に出ます。冒険は中世ヨーロッパ風の恰好というより、異世界もののライトノベルに出てくる冒険者の恰好ですね。僕のいく先々に宿屋を準備してくれるそうです。どのような宿屋なのか楽しみです。乗り物は箱型の乗り物で8本の脚があり、どのような悪路でも乗り入れることができます。河川などでは船にもなります。わずかに飛ぶこともできます。計画は大臣がすべて用意してくれました。言い忘れていましたがアンドロイドは議会を作りました。僕が必要としたときに議会は発動します。キーワードは「僕の議会を開きなさい」です。英国の女王陛下が議会の開催を宣言するみたいでカッコイイです。

 

 冒険は順調に進展しています。気に入った場所では長く滞在します。いつの間にか滞在先は街になっています。領主の館が知らない間に作られて、専門の執事までいます。そうです。最近は僕の馬車に執事が同行するのです。やはり何かと美人だけでは用が足りないのでしょう。大きな街には冒険者ギルドが設置されました。宿屋にもギルドの窓口と役所の窓口がつくられました。どんどん便利になっていきます。うれしいことです。

 

 僕は窓口ではじめて冒険者ギルドの依頼を受けました。同行するパーティは菊枝と亜希の二人です。最近出現した地下洞窟の調査依頼です。これは国からの依頼です。これをやり遂げたら僕の冒険者レベルが一つ上がるそうです。頑張ります。

 

 ご主人様、魔獣が来ます。後ろに下がってください。そう菊枝きくえも亜希も僕の最初からのメイドです。何回も一緒に風呂にはいりました。なんども添い寝をしてもらいました。もう気心は誰よりもわかっております。それなのになんにもさせてもらえません。文句をいったら小さな動物を追い込んで僕に退治しろというのです。小さくてかわいらしい動物ですよ。殺せるわけがありません。その動物は今は僕のペットです。それでも冒険者ランクは一つ上がりました。僕はその動物にリリーと名前を付けました。アンドロイドはリリーをつれて研究所につれていきました。何かリリーに特殊な能力があるようです。戻ってきたときには僕の言葉を理解しているようです。研究所職員はリリーの潜在能力を拡張したといっていました。僕にもリリーの言葉が何となく理解できます。

 

 僕は家庭教師を雇いました。従順なかわいらしいです。桜といいます。スーパーコンピューターは僕が興味を向ける対象をすべて知っています。そして桜はその対象を誰よりも深く知っています。そう、桜はスーパーコンピューターを亜空間に内臓した最新型アンドロイドです。僕の家庭教師兼助手としてこれ以上のものはいません。

 

 僕は2回目の冒険旅行に出かけました。桜と一緒です。執事としてセバスチャンも一緒です。ほかに菊枝きくえと亜希もつれていきます。今回の冒険ではリアルなロボット馬を使います。馬車も

今回は馬で引かせます。なるべくライトノベルの異世界物語に近づけさせます。僕はこだわる人です。なにせ宇宙船ではやることがなくてライトノベルばかり読んでいました。リリーが僕の膝の上で寝ています。


 今回もギルドの依頼でダンジョン調査です。二回目なのでもうベテランです。洞窟の近くに来ると雰囲気がガラリと変わります。助手の桜が魔法を使います。「光の聖霊よ、我がいにしえの契約に従い命ずる。我がもとに来りて明かりをともせ」辺り一面が白光色の光に充ち溢れました。でもこれが魔法なのか疑問が湧きます。宇宙船の中で、なんども見学した演目です。

 

 洞窟の中は白一色です。強い発光によって洞窟の細かいところまで見えます。確かに不思議な光です。宇宙船の中で、アトラクションとして何度も見させていただきましたから、あまり驚きませんが影が出来ないのが不思議です。しかし調査にはこの魔法は有効です。まだ入り口の段階なので魔獣は出現しません。桜は洞窟の成り立ちを興味深げに調べています。

 

 ところどころに光るものがあります。「桜、これはなにかね?」「多分オリハルコンだと思います」桜が興味深げに答えます。「この金属があるということは、探せば魔法素子マナがある可能性が高いです。やりましたね、これで主様あるじさまも魔法が使える可能性が見えてきました」

 

 僕は興奮しました。ここは剣と魔法の世界、急に生きがいを感じました。「よくやったぞ、桜、おまえは本当にウイやつだ」僕は桜を抱きしめて興奮のあまり押し倒す寸前に我に返りました。

 

 「ところでどのような形状で魔法素子マナが存在するのかな?」「岩の間に溶け込むか、地下に液状に存在するとおもいますよ」「よし、菊枝きくえ、亜希も一緒に探してくれ」僕たち4人は魔法素子マナを求めて探査を続けます。

 

 地上では桜の詳細な報告を受けて、魔法についての可能性が検討されています。「家庭教師の桜から報告を受けた件だが、これは遥か昔ガンマ星で発見されたものと同じタイプと考えられます。とにかく主様あるじさまにとっては喜ばしいことです」「早速魔法学校をたちあげましょう。主様あるじさまはそこの学校の第一期生になります。」「ガンマー星を参考に教科書を作りましょう。当時の教科書ならすぐに再現できます」アンドロイドもお祭り騒ぎである。

 

 宿屋を作っていたアンドロイドと建築ロボットたちは、設計変更と航空機の着陸できる飛行場の建設を始めた。新しい設計によると、ここに魔法大学が出来る。全寮制で第一期生として主様あるじさま 菊枝きくえたち5人のメイドと、家庭教師兼助手の桜の入学が決まっている。

 

 僕たちは桜の先導で下の階層へと降りていく。空気が変わっていく。魔法素子マナ特有の気配を感じる。「間違いありません、有ります」桜の言葉に期待に胸が高まる。菊枝、亜希も緊張している。もし発見できればこの惑星は主様あるじさまにとって宝物になる。そうなることが嬉しい。

 

 桜の調査が丁寧になっている。岩をすりつぶして成分を確認している。コアを採取して構成物質を調査。「桜、コケが生えているよ」亜希の言葉にうなずいて幾つか採取する。「これは人間や動物にとって貴重な薬になります」なにか発見するたびに桜は僕に報告する。「魔法には治癒魔法という種類があります。これはそれが物質化したものです。面白い。」桜の説明に僕もわくわくする。

 

 外の世界では大学の建築が進んでいる。もとの設計図にあった宿屋は大学に進学する子弟の一時的宿舎、父兄のための宿泊設備として使う。とりあえず主様あるじさま の今日の宿泊場所として合格点までは仕上げた。まだ外部工事が残っているが、おそらくこの場所に長逗留するので、細部や外部城壁などは後から仕上げる予定だ。見苦しくないように散乱する部材などすべて隠す。

 

 「主様あるじさま 今日の作業は終わります。宿では主様あるじさま

の食事を用意しています。」僕は不満だったが今日中には終わらないことはわかっている。作業終了の合図をおくって一旦作業を終わらせる。宿屋に行く道はまだ気分が高揚していて、抑えるのが大変だった。


 桜は今後のことを考えている。魔法素子マナの量しだいではこの惑星は大きな変化をきたす。いま生存するすべての動植物に影響がないはずはない。そして主様あるじさまの身体能力しだいでは魔法が発動しないかもしれない。それによって心の挫折を感じなければよいが。いや主様あるじさまの身体の一部にチップを移植すれば問題ないか。いや魔法素子マナの量が算出した最低値に届かない量であるなら、チップを移植しても魔法発現まで届かない、その場合は身体に魔法回廊を手術によって構築して、体内に魔法素子の貯塔タンクを作ろう。外部に装着したポーチにマナの結晶体を装備すれば呼び水効果で内部貯塔タンクに自動で一定量に達するまで補給するだろう。

そこまで考えて桜は安心する。動植物の影響はあまり考えないことにした。

 

 僕は桜と二人で夜の街を散歩する。今日の興奮を冷ますには二人がいい。桜に教えてもらったこの惑星の星座を勉強しながら歩く。星々の美しい伝説を聴きながら天の川を見るのも楽しい。僕は桜の華奢な手をにぎる。桜は強くにぎり返してくれた。「主様あるじさま、とわに生きてください」桜の祈るような言葉に僕は感動した。

 

 早朝より今日の探査は始まる。僕は待ちきれないように一人で食事をして表に出る。大型救命艇から残りのメイドさん三人が駆けつけてくれた。明子、春子、奈津子です。彼女たちはこのまま魔法大学の第一期生として僕たちとともに入学するのです。みんな僕たちの調査に期待しているのです。しかし本当は僕が一番楽しみにしています。

 

 今日は八人パーティーで調査をします。ギルドで今までの調査報告書を提出して、計画書も提出しました。洞窟の入り口で例の桜の魔法で明かりを燈します。「光の聖霊よ、我がいにしえの契約に従い命ずる。我がもとに来りて明かりをともせ」残りのメイドさんは拍手喝采です。これはやはり、宇宙船のなかでアトラクションでやっていた手品ですよね。でも僕は追及しませんとも。桜がかわいそうです。

 

 僕のペットのリリーが警告のサインを出す。全員が緊張します。菊枝きくえと亜希が剣を持って前衛です。奈津子と明子が槍を持って中衛です。桜と僕が後衛です。あとのセバスチャンと春子が弓を持って遊軍です。鉄壁の陣です。

 

 醜悪な化け物が走り出てきます。菊枝の剣が化け物の脚の攻撃をよけます。すかさず中衛の奈津子の槍が魔獣の腹を刺します。セバスの矢が目を潰します。なぜ銃を使わないのかって、冗談ではありません、これは中世ヨーロッパを舞台とする魔法と冒険者の世界です。レーザー光線銃やレールガンを使ったらおもむきがありません。それじゃ僕が夢見た戦いじゃありません。

 

 「主様あるじさま、見てください。あれが見えますか。」桜の言葉に僕は狭い隙間をのぞみこむ。洞窟の下いっぱいにコバルトブルーの輝く液体の海がある。惑星の中心まで続くのではないかと思われる深さだ、透明度だ。三方向の水平線は遮るものも無い。少なくとも水平線まで5㎞はある。その先がずーっと続いている可能性もある。何が言いたいかというと、液体の量の全体が分からないのだ。これをすべて大気に放出したときの影響をシュミレーションする必要がある。

 

 桜はなにかに導かれたように魔法素子マナの海に惹かれていった。僕はあわてって止めようとしたが遅かった。崖の上からきれいにダイブした桜は見る見るうちに地球の中心に向かって泳いでいく。僕も一瞬遅れて飛び込んだ。僕には考える時間がなかった。ただこの時分かったこともある。僕にとって桜は単なるアンドロイドではなかった。いつのまにか桜に恋する自分がいた。

 

 他のメイドさんも飛び込もうとしたが、セバスチャンがとめった。セバスが止めたのは責任感である。ほかのメイドさんが飛び込もうとしたのはアンドロイドのインストールされた本能によるものだ。アンドロイドは僕のためだけに存在する。

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