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「おい。」

私のテンションを一気に下げる声が聞こえた。「お・い」この二文字でここまで人の心を脅かす声があるとは思わなかった。

(大体、「おい」なんて何よ。ただか「あ行」の二文字じゃない。)

「おい!」

「ひっ」

「おまえ・・」

「ピ、ピースさ~~ん。おはようございま~~す。じゃあ、私は先を急ぐ身~~なので。」

変なイントネーションで目を合わせずに挨拶をしてその場を立ち去る。私は昨日に引き続き忍者になった。

(これが毎日続けば、きっと本物の忍者の様に早く走れるようになるわ。)


「おい。」

そう、昨日とは状況が違う。昨日は自宅に帰る途中に話しかけられた。けれど今日は学校に通う途中だ。ということは私がピースより学校に早く着いても、あとからピースもやって来るわけで・・・。

(しかも隣の席だった・・。先生早く来て。今日だけは授業がいつもより早く始まっても良いから。休み時間もいりません。その分、早く帰らせてください。神様、仏様、先生様・・・)

「おまえさぁ。」

どんなに願っても、先生は教室に来そうにない。もう腹をくくるしかない。

「なぁに?」

少しだけ声を高くして返事をした。

(昨日のことはなかったことにして。)

「昨日さ、」

「・・・はい。」

「あれって何なの?」

(確かに授業中に隣の席のクラスメイトがいきなり変顔しだしたら気になるよね。)

「・・・弟と遊ぼうと思って。」

「変顔して?」

「あれは、にらめっこっていう遊びなの。」

「にらめっこ?」

私はにらめっこについてをピースに説明した。

「だるまさん、って何だよ。」

その質問にはうまく答えられなかった。この世界にはないものだからだ。

「そもそもは人の名前で・・」

上手に説明ができない。私が詳しく説明できるのは「カレサバ」のことくらいだ。前世のことを全て思い出したとしても説明ができなかったと思う。勉強はいつもやる気がなかったから。部活にも入っていたけど、緩い部活で一生懸命とは程遠い活動をしていた。そもそも前世の私は「カレサバ」以外で、夢中になった事があっただろうか。夢中になって一生懸命になって、って。ヒロインは毎日勉強や仕事に明け暮れていた。(私がそう操作していたんだけど。)あれだけヒロインを酷使しておいて、自分はどうだったんだろう。

「じゃあ、あとでな。」

ボーっと考えていたらピースがそう言った。いつの間にか先生も来ていて授業が始まったが、いつも以上に集中できなかった。

(前世の私はどうだったんだろう。それに比べて今の私は?)

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