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第6話


第6話      (救援2)




 馬に乗り風をきること30分。

 オスカーのパーティーがキマイラを討伐しに行った地点についた。

 そこは、街道沿いの森への入り口だった。

 最近、キマイラがこのあたりに移動してきたらしく、商人や旅人なんかに被害が出ていた。

 この道は林業関係の人がよく使う道で、切り倒した木を運びやすいよう直線が多くなっており段差はほとんどない道だ。

 よく見ると無数のキマイラのものと思しき蹄の足跡があり、この道を通ってキマイラたちが街道に出ていたことがうかがい知れる。

 「じゃあ行くぞ、藪の中にいるモンスターや魔獣の類に気付けるようによく耳をすませておけよ」

 キマイラは俊足なので彼らを近くに見つけてから対処するのではもう遅いのだ。

 緊張しているのかミーナとリタは黙りこくっている。

 俺は≪接敵察知≫のスキルを発動する。

 するとすぐに反応があった。

 頭上だ。

 「走れ!!」

 ミーナとリタどうしたの?と言わんばかりだ。

 直後、数個のこぶしほどの大きさの石がうなりをあげて落ちてきた。

 「きゃあっ!!」

 ヒュウーン、ボスンと目の前に落ちた石が、地面に突き刺さる。

 バシッ、木に当たった石はけして細くはない枝を折る。

 当たったら脳漿をまき散らすんだろうな。

 石礫が降りやむと黒い物体が急降下をかけてくる。

 「ミーナ、リタ!!」

 こいつらは、さっきの襲撃から立ち直れてない、頼れないか…。

 俺は、剣先を宙に向ける。

 そして、黒い物体に向かって突き出す。

 カキンッ!! 剣が鋭い爪によって防がれた。

 「くっ…」

 降下、してきた力をもろに受け止めたので手が痛む。

 しかしこれで相手を知るための時間が稼げた。

 何事も、相手を知らなければ対策の練りようがないので勝てない。

 急降下してきたのは、デーモンだった。

 その数3体。

 2体は、ミーナとリタを囲んでいる。

 二人は、見ず知らずの魔族におびえている。

 「こいつらは、デーモンだ。鋭い爪に気をつけろ!! 足にもついてるからな!!」

 俺は、剣を手元に戻し≪神速≫のスキルを発動させ、剣を水平に構えて、鋭く突く。

 突く、突く、突く、突く、突く。

 突きの連撃を神速で繰り出す。

 デーモンは後ろに下がりながらも鋭い爪を突き出しその連撃を相殺した。

 そして体勢を立て直すために、足で地面を蹴り一時上空へ避難した。

 そして、再び急降下をしてくる。

 手と足4本の鋭い爪を突き出しながら。

 剣だけでは防げないな…。

 俺は後ろ脚に重心を置いてデーモンが目の前に迫った瞬間に≪神速≫のスキルを発動させて飛びさがる。

 そして、地面を足で蹴るのと同時にスキルを発動し高く舞い上がる。

 デーモンは、鋭い爪で突いたところに俺がいないことを知って、上を見上げる。

 しかしもう遅かった。

 ズシュッツ!! 鈍い音とともに確かな手ごたえがあった。

 「キシャアアァァァァァァッ!!」

 悲鳴を上げるの同時に剣がめり込んだ顔からプシャアアアツと血が噴き上がる。

 ≪神速≫のスキルは、攻撃だけに使えるわけではなく飛び上がるときや後ろに退くとき、走るときなどに使うことができる。

 俺は顔にめり込んだ、剣をデーモンの顔から引っこ抜き蹴倒す。

 そして、心臓と脳を突き刺す。

 こいつらは、生命力が高いのだ。

 だから、こうして完全に息の根を止める。

 そして剣を地面に突き刺しこびりついた汚物をとる。




 一方、ミーナとリタは押し込まれる一方だった。

 「王者の盾、ケーニヒスシルツ!!」

 リタは防御魔法を展開し間一髪のところで鋭い爪による攻撃をしのぐ。

 ミーナは、近距離のため剣を抜いて戦っていた。

 「くあっ!!」

 かろうじて身をひねりデーモンの爪による攻撃をかわす。

 彼女は弓ほど剣は得意ではないのだ。

 あのままじゃ長くはもたなそうだな。

 幸いデーモンたちは目の前の2人をいたぶるのに夢中らしくこちらには気づいていない。

 俺は≪神速≫で加速して後ろから、ミーナを襲っていたデーモンの心臓あたりを串刺しにする。

 「ゴブァァァッ…」

 デーモンは心臓を串刺にされて口に上がってきた血液に咽びながらこと切れた。

 リタを襲っていたデーモンは、遅まきながらに自分の劣勢に気付いた。

 爪を横薙ぎにしてリタが怯んだすきに下がり体制を整える。

 「キシャァァァァァァッ!!」

 自分の仲間がやられてしまったことへの怒りか、雄叫びを上げる。

 いったん上空へ退避して狙いを絞って急降下をかけよう。

 そう考えたか、翼をはばたかせ足で地面を蹴って舞い上がったその刹那、 

 「逃がすかよ!!」

 俺は、足で地面を蹴るのと同時に、≪神速≫のスキルを使ってデーモンを追って舞い上がる。 

 そして、剣で足を薙ぎ、即座に剣を返し、翼を斬り落とす。

 「ギイイイイイイィィィィィィィッ!!」

 翼を失ったデーモンは、重力には逆らえず悶絶しながら地面へと落下する。

 落下したところに、俺は剣先を下に向けて、降下する。

 ドスッ!! デーモンの首が宙を舞う。

 デーモンの横たわる死体は、血を噴き上げた。

 そのあと俺は、一体目のデーモンと同じように2体のデーモンの脳と心臓に剣を突き立てた。

 剣をまた同じように地面に突き刺し汚れを土で落とすが、べっとりと脂と血がこびりついていたのでポッシェットから布を取り出しの血糊を拭き取った。

 

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