第2話
第二話 魔族と主従契約を結び主になる。その方法は…キスだった
誰一人として傷を負うことなく欠けることなく無事にダンジョンの調査は終了した。
(問題なしというわけではない。)
ダンジョンの経営を頼まれてしまってそれを了承してしまったので、そこをどうするかが今後の課題だ。
(俺は了承してない)
とりあえずギルドへの提出書類を出さなければならない。
何と書けばよいか……さすがにヴァンパイアからしてくれといわれたのでダンジョンの運営をダンジョンを運営することになったとはかけない。
どうしたものか……。
俺があーでもない、こーでもないと悩んでいる間に、ミーナとリタはすっかりサキュバスと魔族のメイド服着た女の子たちと打ち解けじゃれあっている。
お気楽でいいなー。
「どうしたんじゃ? 何を悩んでおる管理人殿」
ヴァンパイアで魔界の伯爵、ゲルントさんがのぞき込んできた。
「いや……ギルドへの報告書なんですけどね、ありのままに今日のことを書いても理解を得るのは難しいだろうし、信じてもらえそうもないのでどうしたものかなと…頭をひねっておりました」
「うーむ…わしがギルドに出向いて説得するわけにもいかぬしな……」
「そうしたら間違いなく殺されてしまうでしょうね」
「辛辣な言葉じゃな」
いっそのこと死んだことにして報告書を書かないとか……いや、そうすると捜索されて腕っぷしの冒険者が来る可能性もある。
「主従契約でも結んでみるか……」
ゲルントさんは思いもしなかったことを口にする。
「魔族の主従契約を結ぶとはどんな風に行うのですか?」
「簡単じゃよ、ぶちゅっと一発じゃ」
「はい?」
「いや、だからぶちゅっと一発かましてじゃな……」
人間界では親愛を示すロマンティックな行為をロマンティックさのかけらもないような言い方で言う。
人間界では主従の首輪だとかその他もろもろ魔道具を使ったりするのだが……。
「キスなのですか?」
「そうじゃよ、魔族にとってキスは、超重要なものでな絶対の信頼を必要とする契約なんかで使われるんじゃよ。で後は念じるだけなんじゃよ」
魔界でのキスは人間界のキスよりも大切な意味を持つらしい。
「そうすれば、主従関係を結んだ安全な魔族ということで、ダンジョン攻略のための練習場としてじゃな、このダンジョンを活用できるじゃろうて」
このおじいさん、力はもう弱ってるけど頭だけは弱ってないのか……。
「なんぞ、失礼なことでも考えたのかな」
鋭いな、頭だけじゃなく感も弱っていないらしいな。
「いえ、とんでもない。思いつきもしない案で素晴らしいと思ったので、開いた口がふさがりませんでした」
「口は開いてなかったぞ」
観察眼まで優れていたりして……。
「言葉のあやですよ……。それでキスをして主従契約を結べばよいのですね?」
「うむ、そのとうりじゃ。善は急げじゃ。早速やるぞ!!」
「えっ……今?」
ゲルントさんはそう言った俺には取りあわず、メイド服着た魔族とサキュバスを呼んだ。
ついでに一緒にじゃれていたミーナとリタもやってくる。
そしてゲルントさんは、主従関係を結ぶ旨を話した。
魔族たちからは、反論は出なかったのだが、俺のパーティーメンバーから反論が出た。
「それはちょっと……私が欲しかったかも」
最後のほうはあんまりはっきりとは聞こえなかったがとんでもないことを言っていた気がする。
リタは頬を赤らめながらそんな風に弱々しく抗議し
「こんな奴とするのか、私のいたいけな少女たちが…汚されてしまう」
ミーナはミーナでとんでもないことを言う。
「多数決で決定じゃな」
しかしゲルントさんは、そんな二人に無情の宣告をする。
俺はまだ心の準備ができてないので関係ない話をして時間を稼ぐ。
(可愛い少女たちとキスができるのは役得だからいいのだが、いざするとなると心の準備がいる。)
「そういえばこの子達名前で呼んでないですけど名前はないんですか?」
「あーそうじゃなぁ……魔界ではな、貴族や豊かな人間でもない限り名前がないんじゃよ。わしにはよい名が思い浮かばんからな、そのうち名前を付けてやってくれ」
ミーナとリタは、まだ騒いでいる。
「さて、ではそろそろするかの?」
まずメイド服の魔族の女の子たちがやってきた。
「お願いします」
ミーナとリタは手で顔を覆っているが指の隙間から決定的な瞬間を見ようとしている。
そっと優しく唇を重ねると気持ちねだるように唇をついばんできた。
なんて甘美なんだ…………。
そんな感じで気が付くと3人のメイド服着た魔族とのキスは終わって前に白髪のヴァンパイアが座っていた。
「ごめんなさい、あなたは男ですよね……?」
「主従契約に男も女も関係ないんじゃ!!」
ずいっと唇を突き出すゲルント伯爵。
傍観者のミーナが後ろに立っていることに伯爵は気付かない。
体をもじもじさせているだけだった。
ミーナは吠えた。
「お前は貴族だろう!! それとギャラリーにキモいもん見せんなーー!!」
「おっと失礼。魔族の貴族としてのプライドを捨てるところでした」
完全にお前以外はみんなひいてるぞ。
「それでは次に参ろう」
いやなことは忘れるのが早いのかそ知らぬふりでサキュバスの二人を呼ぶ。
「お願いします。優しくし・て・ね?」
まだ女性ではなく女の子なのに過積載の色気。
唇を重ねると舌を絡めてきた。
その瞬間、一気に気が遠くなるのを感じた。
後に聞いたところ、お腹がすいていたらしく精気を吸われたらしい。