この度ダンジョン管理人になりました第一話
第一話 さぁ、謎のダンジョンへ行こう
朝の混雑がだいぶ解消されたころのギルドのコルクボードには《謎のダンジョンの調査》と書かれた紙があった。
俺がコルクボードに残っている依頼書を見ていると横から
それを、「なんだかおもしろそうだな」と外したのは犬耳のミーナだった。
一度、コルクボードから外した依頼は責任もって受けるべきというのがギルド内のマナーであるためもうその依頼を受けるしかなくなった。
「もー、ろくに考えもせず、依頼書は外しちゃだめだよー」
とリタは言う。
「仕方ないその依頼を受けるか」
このパーティーは組んでから5年目になる中堅のパーティーでヒューマンの女子の【魔術師】(ソーサラー)と獣人族の犬耳女子の【弓手】(アーチャー)そしてリーダーでヒューマンの青年の【剣士】(フェンサー)の3人で構成されているパーティーである。
全員が二十代前半という若者のパーティーで3人とも幼馴染である。
「お姉さん、この謎のダンジョンの依頼を受けようと思います。噂では魔族の気配がないって聞きますけど確証の持てる話なんですか?」
ギルドの受付嬢(美人で老若男女から人気、しかもスタイルが抜群に良い)に聞く。
「噂は噂ですからねー、備えあれば憂いなしですかねー。しかしこの誰も受けてくれなかった依頼を受けてくれるんですか?本当にありがとうございます。よろしくお願いしますね」
お姉さんはかたずかなかった依頼書がかたずくことで大喜びだ。
「そうですか、ありがとうございます」
「気を付けて行ってくださいね」
お姉さんは、ニコリとほほ笑んだ。
やっぱり、大人びた感じがあって素敵だ。
ウゴッツ……横からひじでミーナにわき腹を突かれる。
痛い。
「ローレン!!デレデレしてんじゃないよ」
「ハイッ……ごめんなさい」
ここで何か言ったら余計に痛い目にあうのは今までの経験で培ってきたことだからわかる。
すごすごとお姉さんの笑顔に見送られながらギルドを出た。
ひっそりとした洞穴が、蔓や草に覆われながらも山肌にぽっかりと口を開けていた。
「何だか、何にもなさそうなダンジョンね……」
話に聞いていたが、実際行ってみると本当に何にもなさそうな雰囲気だった。
ミーナが落胆している。
張り切って選んだのはどこのどいつだよ……。
「そりゃそうだよギルドでは、魔物の気配が全然しないって言われているダンジョンだもの」
一方でリタは、平然としていた。
一応装備を確認していく。
「ポーション、傷薬、軽食、飲料、非常時用の魔力含有石、ロープ、鍵縄、杭、火打石……だいたい必要なものはあるわね」
ミーナは、リュックの中をかき回している。
ちなみに魔力含有石は、魔力がないときに、飲み込むことによって体内の魔力核に魔力を送るという決して安くはない代物である。
「じゃあ行こうか」
青年は、松明に火をつけ、ランタンに火をともし先頭に立ってダンジョンへと入っていく。
松明とランタンの両方を使うのは、ランタンが落ちて割れてしまったときのためだ。