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聖印×妖の共闘戦記―神話乃書―  作者: 愛崎 四葉
第六章 聖妖大戦
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第七十九話 神刀と神懸り

「いかにも。名は、深淵(しんえん)。夜深の力から、生みだされた私の愛刀だ。この力により、私は、傷をふさいだ。それだけの事だ」


 静居は語る。

 自身が手にしている刀こそ、神刀であるというだ。

 神刀は、神から作られし刀。

 千里のように、龍神王の力を宿している為、神刀になれた妖は、いないため、珍しいと言っても、過言ではない。

 柚月が持つ草薙の剣も、光の神が、作ったという説がある。

 そして、静居が持つ深淵も。

 静居は、神刀の技を発動したというのだ。

 技の名は、深淵・楽園(しんえん・らくえん)

 一瞬にして、傷を癒す技だ。


「その力……まさか、あの地獄にあった神刀か!?」


「その通りだ。貴様のおかげで、これを取り戻した。ご苦労だったな、千里よ」


「ちっ!」


 千里は、ある事に気付く。 

 深淵は、かつて、地獄に封印されていたあの神刀である事に。

 それを、自分が、手にし、静居の元へ渡してしまったのだ。

 静居は、笑みを浮かべ、千里に告げる。

 彼のおかげで、神刀を取り戻せたと。

 千里は、舌打ちをし、こぶしを握りしめた。

 自分の非道な行いが、柚月達を苦しめる結果となってしまった事を後悔しながら。


「さて、そろそろ、教えてやろうか。私の聖印能力を」


 静居は、柚月達に告げる。

 聖印能力を発動しようとしているようだ。

 だが、発動してはならないと察知した柚月達は、静居の元へ向かっていく。

 聖印能力の発動を止めるために。

 柚月は、異能・光刀を発動し、一瞬にして静居の元へたどり着こうとした。


「来い。夜深」


『ええ、仰せのままに』


 静居は、柚月が到達する目前で、聖印能力を発動してしまう。

 すると、柚月は、吹き飛ばされ、体勢を整えて、立ち上がる。

 しかし、間に合わなかった。

 静居は、聖印能力を発動してしまったのだ。

 息を飲む柚月達。

 彼らは、まだ、知らない。

 皇城家の聖印能力が、どのようなものなのかを。

 すると、静居は、夜深を憑依させた。

 妖ではなく、神である彼女を。

 すると、静居は、見る見るうちに姿を変化させた。


「な、なんだ……」


「何が起こって」


 柚月達は、愕然としている。

 なぜなら、静居の姿は、異質だったからだ。

 漆黒の長い髪に、漆黒の瞳。

 漆黒の衣服を身に纏っている。

 まるで、黄泉の神のように。

 そして、発せられる力は、神の力だ。

 静居は、本当に、神になったとでもいうのであろうか。


「これが、私の、皇城家の聖印能力だ!」


 静居は、柚月達に明かす。

 この姿こそが、皇城家の聖印能力の力なのだと。


「う、嘘だろ……」


「神を憑依させた?」


「そうだ。これが、皇城家の聖印能力・神懸りだ。妖共の憑依と一緒にするなよ?」


 柚月も朧も、呆然と立ち尽くしている。

 静居は、聖印能力・神懸り・夜深(かみがかり・よみ)を発動させたというのだ。

 静居の言う通り、皇城家の聖印能力・神懸りは、朧が発動する憑依とは、比べ物にならないほどの力だ。

 なにせ、神を宿らせているのだ。

 いくら、力があると言えど可能なわけがない。

 だが、静居は、その神懸りを発動させた。 

 ゆえに、彼の力は、驚異的と言えよう。


「あ、ありえねぇ……」


「まずいぞ……」


 九十九も、千里も、たじろいでしまう。

 夜深を神懸りさせた静居を目の前にして、立っていられるのが、やっとなのだ。

 だが、柚月と朧は、あきらめていない。

 あきらめられないのだ。

 柘榴達も、戦いを繰り広げている。 

 自分達が、逃げるわけにはいかない。

 体を震わせながらも、柚月は、異能・光刀を発動し、朧は、千里を神刀に変え、九十九を憑依させた。

 しかし、静居は、一瞬にして、朧の前に立つ。

 朧は、驚愕し、反応しようとするが、静居が、襲い掛かった。


「まずは、一人目」


 静居は、朧に襲い掛かる。

 だが、朧は、とっさに憑依化を解除させた。

 九十九を守るために。

 九十九は、朧に押しだされ、体勢を整えて、地面に着地する。

 静居は、衝撃波を放った。


「があああっ!」


「朧!」


 衝撃波の直撃を受けた朧は、吹き飛ばされ、地面にたたきつけられる。

 九十九は、朧の元へと駆け付けた。

 朧は、荒い息を繰り返し、きつく目を閉じていた。


「何で、俺を……」


 九十九は、愕然とする。 

 朧は、自分を守ったのだ。

 九十九は、全身を震わせていた。

 恐怖ではなく、怒りで。


「この野郎!」


「待て、九十九……」


 九十九は、感情に任せて九尾の炎を発動する。

 朧が、手を震わせて、制止しようとしたが、間に合わなかった。

 その炎は、静居を焼き殺そうするが、静居は、その炎を吸い取ってしまった。

 それは、静居が、夜深を神懸りさせることで可能となった技・夜深の恐怖だ。

 相手の技を吸収し、自分の力に変えてしまう恐ろしい技である。

 衝撃を受け、驚愕する九十九。

 静居は、その隙を逃さず、九尾の炎を九十九に向けて発動した。


「ぐあああああっ!!!」


 九十九は、とっさに、朧を守るために、前に出て九尾の炎を発動する。

 だが、その九尾の炎は、静居が、発動した九尾の炎にかき消され、九十九は、焼き尽くされた。

 全身に重度のやけどを負い、九十九は、地面にたたきつけられ、気を失った。


「九十九!」


「さて、次は……」


 九十九が、倒れ、静居が、襲い掛かったのは、千里だ。

 それも、一瞬のうちに、彼の前に姿を現す。

 光刀を身に纏った柚月でさえも、反応できないほどに。 

 まさに、神のごとき行為であった。


「やめろ!!」


 柚月は、光速移動をし始め、千里を守るとする。

 だが、彼が、到達する前に、静居は、一瞬のうちに、何度も千里を切り刻んだ。

 技の名は、夜深の怒り。

 無の力で光速移動し、相手を何度も斬りつける技であった。


「がはっ!!!」


「千里……」


 体中を切り刻まれた千里は、血を吐き、倒れ、意識を失う。

 一瞬のうちに、静居は、九十九と千里を倒したのだ。

 恐ろしい力だ。

 柚月は、愕然とし、体を震わせていた。

 朧は、ようやく、動けるようになるが、重傷を負ったも同然だ。

 立ち上がるが、体がふらついてしまう。

 それほどの力をその身に受けてしまったのだ。

 柚月は、朧を守るように、光速移動し、朧の前に立った。


「さて、これで、邪魔者はいなくなった」


「なんだと?」


「私は、お前達、二人をこの手で滅ぼしてやりたいのだ。絶望するがいい」


 静居は、柚月達の前に立つ。

 まるで、柚月達を殺そうとしているようだ。

 殺気は、微塵も感じない。

 だが、わかる。

 静居の力が、押し寄せてくるのが。

 柚月と朧は、構える。

 たとえ、力の差が歴然であっても、静居に、抗おうとしているのだ。


「まだ、抗うか。よかろう。お前達は、魂ごと、刻んでやろう。私と夜深の力を!」


 静居は、刀を振り下ろす。

 だが、柚月は、草薙の剣で、刀を受け止めた。

 静居は、柚月を斬りつけようと、力を込める。

 柚月も、必死に食らいつくように、力を込め、静居の刃を防ごうとしていた。


「兄さん!」


「朧!九十九達を連れて逃げろ!」


「駄目だ、そんな事できるわけないだろ!」


 柚月は、朧に九十九と千里を連れて逃げろと説得する。

 一人で戦うつもりだ。

 実際、朧は、重傷を負っているも同然。

 その身で、静居と対峙するのは、無謀だ。

 ゆえに、柚月は、朧を逃げさせよとしたのだ。

 だが、朧が、納得するはずがなかった。 

 その時であった。


「無駄だ!!」


 静居は、無の力を発動してしまう。

 柚月も、朧も、その無の力に飲みこまれてしまった。

 その技は、夜深の悲しみ。

 無の力で、相手の魂を攻撃する技だ。


「あああああああああっ!!!」


 無の力に飲みこまれた二人は、絶叫を上げ、地面にたたきつけられ、意識を失ってしまう。

 肉体だけでなく、魂までも、傷つけられてしまった。


「終わったな」


 静居は、不敵な笑みを浮かべる。

 夜深も同様に。

 彼らは、勝利したと確信を得たのであろう。

 意識を失った柚月達を眺め、静かに、笑い始めていた。



 柘榴達も、千草、村正と死闘を繰り広げていた。

 だが、千草の力は、圧倒的であり、柘榴以外の仲間が、次々と倒れ、気を失ってしまった。

 柘榴に憑依していた真登でさえも。

 柘榴は、傷を負い、呼吸を繰り返す。

 全身傷だらけであり、息をするのも精一杯であった。

 千草は、とげとげしく、まがまがしい妖刀を手にし、柘榴を見下ろしていた。


「がはっ……」

 

 ついに、柘榴は、耐え切れなくなり、血を吐いて倒れてしまう。

 柚月達だけでなく、柘榴達までもが、敗北した瞬間であった。


――ふふ、あはははっ!!


 突然、妖刀から笑い声が聞こえる。

 それも、村正の声が。

 すると、妖刀が光り始め、見る見るうちに、村正に戻っていった。

 なんと、彼は、妖刀・村正に変化していたのだ。

 千草の聖印能力により。


「ボク達の勝ちだね!千草」


「カッタ……カッタゾ!!」


 村正は、意識を失った柘榴の元へ駆け寄り、嬉しそうに、千草に告げる。

 千草も、喜びを分かち合うかのように、不気味な笑みを浮かべていた。



 死掩達と死闘を繰り広げていた空巴達は、柚月達の意識が途切れた事をに気付いた。


『柚月達が……』


 空巴達は、愕然としていた。

 もはや、勝ち目はないと悟って。

 空巴達も追い詰められていたのだ。

 だが、勝利へ導くために、食らいついていたのだが、柚月達が、意識を失ったと気付き、絶望に陥っていた。


『なら、我らも、動くとしましょう』


 静居が、勝利したと確信を得た死掩達は、術を発動し始める。

 その術は、結晶となり、空巴達を覆い尽くした。


『なっ!』


『さらばですよ』


 空巴達は、驚愕し、動揺してしまう。

 この術は、空巴達を封印する術だったのだ。

 この術から、逃れる術はない。

 たとえ、神でさえも……。


『しまっ……』


 空巴達は、抵抗しようとするが、一瞬のうちに、結晶に閉じ込められ、意識を失ってしまった。

 そして、その結晶は、小さくなり、死掩達の手にわたってしまった。


『封印完了です』


 空巴達も、完全に封印されてしまった。 

 ここで、撫子軍の敗北が決定した。


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