君を守りたい
ある町の海岸沿い
二人の女性は向かい合いながら、にらみ合っていた。
「ごめん、このままではあなたが不幸になってしまうわ。だから別れましょう」
「どういうこと!」
私の発言に対し、彼女は納得しなかった。それもそのはず誰もが急にそんなこと言われたら納得するはずがない。なぜ、私は彼女にそのような発言をしたのか。それは私にとって、彼女は掛けがえない大切な人だから。彼女を不幸にしないために、私は彼女を振ることにした。優しく振るのか、それとも冷酷に振るのか、私にとって苦渋の決断であり、どちらも私にとって辛いことだ。
「何で・・・何で、急に『別れよう』なんて言うの・・・!」
「・・・」
「三日前に出掛けた時だって、楽しそうにしてたじゃない」
(そうだね。あなたと一緒に居られれば、どんなことでも楽しい)
「昨夜に電話していた時も楽しそうな声をしてたじゃない」
(あなたの声が聞けると幸せだ)
「それなのに、なぜ『別れましょう』と言うの!」
彼女は私に答えるよう迫った。
「うん・・・分かった。最初に言ったとおりに彰ちゃんを守るためなの。ほらっ、私、元々許嫁がいるのに彰ちゃんと付き合っていたことは知ってるよね。両親に彰ちゃんと付き合っていることがバレちゃって『別れなければ二度と会えなくする』と言われたの。あと、最近分かったの。私が彰ちゃんのことが束縛したいほどに好きだということを。だから、彰ちゃんを苦しめるくらいなら一思いに別れちゃおうと思って、切り出したの・・・。本当にゴメ・」
私が謝罪の言葉を言おうとした時、彼女は私の口にキスをして塞いだ。そして彼女はキスを終えると口を開いた。
「何でと思ったけど、そんなことで別れるだ。そんなの、私が許さないよ!例え、君が嫌がろうと、私は別れない!だって、あの時、誓ったじゃない。君を守るためなら人類を敵にまわしても守ると。そして君は泣きそうに『ありがとう』と言ってたじゃない。あの時の約束を破るつもり!だから、私は君を守るために絶対に別れない!」
私にとってこの上ない嬉しい言葉であった。私はその言葉を聞いて大泣きしながら、心の中で『あぁ、この人と出会えて良かった。この人と別れるなんて、やはりできない』と思った。
「君を守るために今から逃げよう。当ては無いけど、命を賭けて守るよ」
彼女は真剣な眼差しで言った。
「うん・・・」
私と彼女はすぐさま地元を出て見知らぬ場所へ向かった。両親に見つかれば、二度とこの幸せは無い。見知らぬ場所でやっていけるか不安。数々の不安がある中でも迷うことは無い。なぜなら、私を守ってくれる王子様がいるんだから。
おわり
読んでいただき、ありがとうございます。
「心が叫びたがってるんだ。」を観ました。複雑で、悲しくて、そして泣ける話でした。
良い作品があれば、今後も観たいと思います。もし、おすすめの作品がございましたら、教えていただけると嬉しいです。