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コクハクサンセット

作者:

――これは、どこにでもある日常の一ページ。

お互いが大好きな二人の、物語。




「ところでですね、戒斗かいとくん」

「なんだ凜祢りんねよ」


 とある日の夕方。

 僕は幼馴染みである凜祢と一緒に帰路についていた。


「わたし、思うんです」

「なにが?」

「好きな人を、束縛しちゃあいけないって」

「ほう」


 突然始まった凜祢の話に、とりあえず僕は相打ちを打つ。

 まったく、この幼馴染みはいつもこうだ。


「わたし、皆さんの恋愛を見てて思うんです。みんな、相手に求めすぎ……自分の欲望を押しつけすぎじゃないかって」

「まぁ、確かにな」


 世間一般的には『メンヘラ』とか言うんだったか、そういう輩を。

 詳しくは僕も知らないが。


「本当に好きなら、その人の幸せを願うはずですよ。自分の欲望だけ押しつけて、それで嫌な想いをさせてしまったら、元も子もないです」

「だったら、凜祢は相手に求めないのか?」

「ええ、そうですよ。想いこそすれ、自分から求めたりはしないです」

「――――――――」


 ……それは、僕としては少し悲しいというか、何というか。

 いいや――けれど、僕も人のことは言えないか。


 ほう、と息を吐く。


 ――突然だが、『好きな人』という存在を持ったことがあるだろうか。

 好きな人。その人のことを想うだけで胸中がざわつき、高鳴り、そして何とも形容しがたい感情に襲われる。しかしそれは決して不快なモノではなく、むしろそう想う時間が楽しくさえあるのが、また奇妙な話だ。


 人間は、それを俗に、恋と呼称する。

 恋。ああ、なんと甘美な響きだろうか。


 ……少し話が逸れた。

 つまり、何が言いたいのかというと。 

 僕にも、最近好きな人が出来たから、ようやくその気持ちが解ったということだ。


「――、」


 ちらり、と横目に幼馴染み――凜祢をのぞき見る。


 ……まぁ、その。

 その好きな人というのが、この隣に居る凜祢なのだが。


 僕と凜祢は幼馴染みだ。

 保育園の頃からずっと一緒で、小学校、中学校を経て、そして現在、高校生になった今でも続いている縁だ。


 凜祢は容姿も美しく、学年でも有象無象の男子どもの引く手が絶えないくらいの人気っぷりだ。その上、性格までよく、友達も多く存在している。


 対して僕はそんなに容姿は良い方ではない。周囲の有象無象も、それが解っているのか、完全に僕と彼女が付き合っていないと断定していた。そして、僕の『幼馴染み』という立ち位置を利用して、どうにかして彼女とお近づきになろうとする輩が後を絶えなかった。


 その時の僕――まだ彼女を好きじゃなかったとき――は『ああ、面倒くさい』とばかり思っていたのだが、それでも心の何処かで、それが快くないと思っていた。


 正直、「おまえらじゃ凜祢とは釣り合わない」、「無理だ」とまで思っていた。


 その感情がいったいどうして起きていたのか――それは、僕が彼女を好きということを自覚したことで解消されたのだが、しかしそれにより、その不快な感情は殺意にまで登り詰めた。

 

 ……おっと、少し言い過ぎた。

 今のは咄嗟に出てきてしまった言葉なので、あしからず。


 閑話休題。


 僕がどれだけ彼女を好きか……それは、そこらの塵芥ども――もとい有象無象どもには到底理解できないと思う。


 僕はもともと、感情の起伏はそこまで大きい方じゃないと思っている。趣味として読書や映画鑑賞を嗜んではいるが、共感こそすれ、噎び泣くという境地には至ったりはしない。

 

 しかし、しかしだ。

 僕は彼女のことを想うと――どうにも、自分を抑えきれなくなる。

 好きという感情。それがどばどばと、溢れてくるのだ。


 いままでは、それを必死に押さえてきた。何故なら、先ほど凜祢自身が言っていた通り、自分の欲を他者に押しつけるのは良くないと思っているからだ。だから僕は、淡々と、彼女と接してきた。


 必死に、自分を戒めながら。

 彼女への、恋慕を押し殺しながら。


 こう聞くと、それならいっそのこと、凜祢から離れてしまえば良いのではないかと言われるかもしれないが、けれど僕はそうしたくない。

 理由は簡単。凜祢と一緒にいたいからだ。

 というより、凜祢が隣に居ない光景が想像できないという方が正しいか。それくらい、僕達は一緒に、長く、居続けた。


「それでですね……って、戒斗くん、聞いてますか?」

「ぇ……ああ、ごめん。少し考えごとしてた」

「もうっ、人の話はきちんと聞いてください。戒斗くんの悪いクセですよ」

「ごめんってば」


 こういう他愛のない会話が、僕はたまらなく愛おしい。

 凜祢の横に、僕が居る。そして、くだらない話をしたり、こうやって一緒に帰ったりする。

 それが、僕の日常(こい)


「―――――」


 夕日が眩しい。

 こうやって、僕達が一緒に帰れるのは、あとどれくらいなんだろうか。


 そんなことを思いながら、僕は凜祢の話を聞いていた。



 ***



 突然ですが、皆さんは『好きな人』というのをお持ちでしょうか。

 わたしは居ますよ。

 ええ、もちろん居ますとも。

 なんて言ったってわたしは花の女子高生。恋愛のひとつやふたつしてます。


「ところでですね、戒斗くん」


 まぁ、その相手は小さい頃からずっと一緒の、幼馴染みなんですけどね。

 すごくないですか?

 生まれてこの方十七年のわたしですけど、その内の十五年間を、彼とともに過ごしてきたんですよ。


「なんだ凜祢よ」


 そう言って、わたしの呼びかけに応えてくれる戒斗くん。

 世間一般的に見た彼は、そこまでの容姿らしいんですけど――友達が言ってました、許せないです――戒斗くんは世界一カッコいいです。わたし、戒斗くんの良いところ100個言える自信があります。

 

 わたしの、彼を想う気持ちは、この世の全人類の誰よりも大きいって自負してます。


「わたし、思うんです」

「なにが?」

「好きな人を、束縛しちゃあいけないって」


 今日思ったことを、戒斗くんに言ってみる。

 なんとビックリなことに、わたしの恋愛感情って、一般のそれと違うらしいんです。

 今日お友達とお話してて、びっくりしました。


 何でも、普通の人は恋愛感情を持ったら、その相手と結ばれたいって願うらしいんですよ。


「わたし、皆さんの恋愛を見てて思うんです。みんな、相手に求めすぎ……自分の欲望を押しつけすぎじゃないかって」


 その人のこと四六時中考えて、

 その人のことを絶え間なく想って、

 それは間違いなく、その人のことを愛しているという証拠なのに、それのどこがおかしいんでしょうか? 


 ほら、よく言うじゃないですか。



『わたしの幸せは、あなたの幸せ』――――って。



 そりゃあ、確かに結ばれた方が幸せですよ?

 わたしだって、戒斗くんと結ばれたいって思ったことはあります。むしろ、そうなったらどれだけいいかとすら。

 

 仮に、わたしが戒斗くんと結ばれたのなら、

 

 そのときから、わたしが死ぬそのときまで、戒斗くんの恋人であり伴侶でありモノであり性具で在り続けます。

 戒斗くんが望むままに。末永く側に居続けます。

 戒斗くんのために生きて、戒斗くんへの愛を捧げ続け、そして戒斗くんへの愛に殉じながら、わたしは死にます。


 そう誓う覚悟が、わたしには有ります。


 でもですね、違うんです。

 だって、それはわたしのワガママですから。


「本当に好きなら、その人の幸せを願うはずですよ。自分の欲望だけ押しつけて、それで嫌な想いをさせてしまったら、元も子もないです」

「だったら、凜祢は相手に求めないのか?」

「ええ、そうですよ。想いこそすれ、自分から求めたりはしないです」


 わたしの願いは、わたしの願い(ワガママ)であって、決してその人の望みじゃないんです。

 だからわたしは、そう思いはしても、結ばれることを願ったりはしません。


 自分のためだけに行動するのは、それは真実、愛じゃないです。

 それは相手が好きなんじゃなくて、結局自分が好きなだけですから。


 自分の欲望を押しつけて、仮に求められることを相手が望んでなかったら、それは相手を不快にさせます。 

 そんなこと、間違ってもあってはいけません。

 だから、ふつふつと湧き上がるわたしの欲望を必死に押し殺すんです。


 わたしの幸せは、戒斗くんの幸せ。

 戒斗くんが幸せなら、わたしは幸せなんです。


 わたしは、戒斗くんのことを想っている時間や、話をする時間だけで、充分です。


 ……でもまぁ。

 戒斗くんが他の女の子と喋ってるのを見ると、どうしても嫌な気分になっちゃいますけど。

 嫉妬、ってやつでしょうか?


「それでですね……って、戒斗くん、聞いてますか?」


 戒斗くんの方を見ると、彼はなにやら真剣な顔をして――たぶん、考えごとですね、この感じは。


「ぇ……ああ、ごめん。少し考えごとしてた」


 ビンゴでした。


「もうっ、人の話はきちんと聞いてください。戒斗くんの悪いクセですよ」

「ごめんってば」


 申し訳なさそうに謝る戒斗くんを見て、わたしは微笑む。


 こんな戒斗くんを見れるのはわたしだけ――そんな事実が、わたしの心を満たしてくれる。

 そう、こんな些細なことで充分なんです、わたしは。


 これ以上のことは、欲しくないって言えば嘘になっちゃいますけど。

 でも、もしわたしから求めてしまって、この些細な幸せ(こい)が壊れてしまうのは、とても怖い。


 ああ、もしかすると、

 わたしが戒斗くんを求めないのは、単純に怖いだけなのかもしれません。

 この日常が、壊れるかもしれないから。

 戒斗くんに拒まれてしまうのが、怖いから。 


 ……めんどうくさい女ですね、わたし。

 それがわかってるから、戒斗くんには相応しくないって、思っちゃうのかもしれません。


「――――――、」


 もし、戒斗くんに好きな人が出来たら、わたしはきっと戒斗くんを諦めるでしょう。

 こんなめんどくさい考え方する女より、他にずっと、戒斗くんを幸せに出来る人が、居ると思うから。


 ――でも、それまでは。


(戒斗くんを想い続けていたいんです)


 本当は、そんなときなんて一生来なければいいのに――なんていう自分の気持ちを、無視する。


 夕日が眩しい。

 こうやって、わたし達が一緒に帰れるのは、あとどれくらいなんでしょうか。


 そんなことを思いながら、わたしは同じように夕日を見つめる戒斗くんを横目で盗み見ていた。



 ***


 

 自分の欲望を他人に押しつけるのはダメだ。 


 ――ずっと、そう思っていた(・・・・・)


 僕の幸せは凜祢の幸せだ。凜祢が幸せなら、それでいい。


 ――でも、でもだ。

 それで、僕はいいんだろうか。

 凜祢が他の誰かと結ばれたときに、果たして僕は、己のこの気持ちに折り合いを付けられるだろうか。 


 ぐるぐると廻り続ける思考。けど、その中身は伽藍の堂で、

 ああ、つまるところ僕は――――


 凜祢を、誰にも奪われたくないんだ。


「……なぁ、凜祢」


 これから僕が言う言葉は、今までの僕を否定し、間違いなく今までの僕と凜祢の関係を壊す。

 けど、決めた。決めたんだ。


 他の誰かに凜祢を奪われるくらいなら――

 僕が、凜祢を奪うって。 


「はい? なんですか、戒斗くん」


 そう言って僕に微笑みかける凜祢は、ああほら、こんなにも愛おしい。


「――――――」


 ずっと、自分を抑えてきた。

 だけど、どうやらここらが限界のようだ。

 好きという感情。

 止まらない、止まらないんだ。

 凜祢のことを想うと、それがどばどばと、溢れてくる。


 ずっと隣にいた君が、僕は好きだった。今の今まで、無自覚ではあったけど、しかしてそれが何というのか。

 戒斗という少年は、凜祢という少女がずっと好きだった。


 けど、他の僕が、それを抑えてきた。

 なんて面倒くさい思考だろう。だからそれに、終止符を打たなくちゃいけない。


「凜祢――」


 凜祢(キミ)に恋をした。

 だから、世界中の誰よりも愛しい君に、言わせて欲しい。


「僕は、おまえが好きだ。付き合って欲しい」

 

 そして僕は、自らを縛っていた鎖を、引きちぎった。


 

 ***



「――――…………ふぇ?」


 戒斗くんがなんて言ったのか、少しだけ、理解できませんでした。


「あ、あわ、あわわわわ………」


 なんということでしょう。

 ……わたし、いまなんて言われました?


「あの、えっと」

「好きだ、付き合ってくれ」

「~~~~~~~~~~~っっっっっ」


 えっと……ドッキリですか?


(――って、そうじゃなくてですね!)


「なっななな……」


 彼の眼差しから真剣であるってことが伝わってきて、言葉が出てこないです。


 さっきまで考えていたことが、泡みたいにはじけ飛んでしまう。


「あの、凜祢」

「ひゃっ、ひゃい!!」

「うわっ!」

「ぁ……ごめんなさい、大丈夫ですか。戒斗くん!?」

「いや、大丈夫――それで、凜祢」

「うぐっ」

「もう一度言う。――好きだ、付き合ってくれ」

「な、ななななな……」


 なんで、という言葉が、喉につっかかって出てこない。


「戒斗、くん……」


 代わりに、彼の名前――わたしの大好きな人の名前――を呼ぶ。


「戒斗くんは……わたしのことが」

「好きだ。愛してる。ずっと、おまえが好きだった」

「は、はぅ………」


 真剣な眼差しでそう言われ、逆にわたしは何も言えなくなってしまう。

 顔が真っ赤になっているのが、自分でもわかる。たぶんいまのわたしは、りんごだ。


「凜祢は――僕のこと、嫌いか?」

「きっ、嫌いじゃありません!! 絶対に、命をかけてでも!!」


 戒斗くんに問われ、反射的に大きな声でそう応える。


「でもっ、でもわたしじゃ、戒斗くんには、ふさわしくないんです……」

「僕の方が、おまえに相応しくないんじゃないかって思うんだけど」

「そんなことはないです。戒斗くんは、世界一カッコいいです」

「そう言ってくれるの、たぶんおまえだけだと思うよ」

「知ってます。でも、わたしの中じゃ戒斗くんはナンバーワンなんです」

「……ありがと」


 あ、戒斗くん照れてます。

 照れた戒斗くん、かわいいです。

 ……なんて、心の隅っこで、そんなことを考えてしまう。


「って、そうじゃなくて……凜祢」

「はっ、はい!」

「僕に相応しいとか、相応しくないとか、そういうのじゃない。凜祢、僕は、おまえがいいんだ」

「っ――――――」


 そんなこと言われたら、わたし……

 けど、めんどくさい考えかたをするわたしは、それでも違うと言い続ける。


「でもっ……わたしじゃ、戒斗くんを幸せにはできません。わたしは良くても、戒斗くんが幸せになれないかもしれません。きっと、戒斗くんを幸せにできる女の子がいます。だから、わたしなんかじゃ……」

「ああ――よかった」

「ぇ……?」

「凜祢、いま、『わたしは良くても』って、言ってくれた」

「ぁ――――」


 自分の発言を、思い返す。

『わたしは良くても』――それは裏を返せば、好きだと言っているのと同じこと。


「だったら凜祢、何の問題もないよ。だって僕は、おまえとだったら幸せになれるから」


 その言葉で、わたしの心が揺れる。

 揺れて、揺れて、少しずつ、音を軋ませて、崩れかけていっている。


「僕はずっと、凜祢への想いを押し殺してきた」

「え……?」

「凜祢と一緒だよ。僕も、自分の欲を――結ばれたいって思う欲を、凜祢にぶつけちゃいけないって、そう考えてた。

 僕の幸せは、凜祢の幸せ。そう思ってたんだ。

 でも、仮に凜祢が他の誰かと結ばれたってなったとき、僕はそれが許容できるかって考えたんだ」

「……そしたら、どうなったんですか……?」

「――そんなの許せない、嫌だって思った。

 凜祢が他の誰かに取られるくらいなら、僕が凜祢を奪う――凜祢の隣にいるのは、これまでも、これからも、ずっと僕がいいって、そう思ったんだ」

「――――――」


 戒斗くんの告白で、わたしの心は、壊れた。


「……わたし、ずっと怖かったんです。もしわたしが戒斗くんを求めて、そして拒まれてしまったら――それで戒斗くんとの日常が壊れちゃうのが、ずっと、怖かったんです」


 壊れたから、その壁で隠していた本音が、でてきてしまった。


「わたしは、戒斗くんが好きです。心から好きです。大好きです、愛してます。好きだから、壊したくなくて、先に踏み出すのが怖かった。戒斗くんの幸せがわたしの幸せなのは本当です。でも、もしわたしが戒斗くんを幸せにしてあげれたら――どれだけ嬉しいか、そう思わなかった日はありません」


 わたしは戒斗くんの幸せを願った。

 めんどくさい思考をするわたしは、戒斗くんにふさわしくないって思った。他にずっと、ふさわしい人が居るって思っていた。


 でも――それでも、

 もし、わたしが戒斗くんの幸せに求められたら、それはどれだけ嬉しいことなんでしょうか。


「好きという言葉を100回言っても足りません、何度言ったって足りません。わ、わたしは――凜祢は、戒斗くんのことが、大好きなんです」


 ずっと抑えてきた、大好きな人への恋慕。

 それをいま、吐き出す。  


「ああ――僕も、大好きだ」


 わたしの大好きな戒斗くんは、笑って、わたしに好きだと、言ってくれる。

 でも、不安が消えないわたしは、それでも戒斗くんに、問いを投げ返してしまう。


「……わたし、重い女ですよ。

 他の女の子と喋ってるのを見たら嫉妬しますし、ぜったいに、最低な彼女になっちゃいます。

 戒斗くんにたくさん求めるようになって、わがままも増えて――きっと戒斗くんの負担にしかならないです。

 それでも――いいんですか?」


「ああ、当たり前だろ。

 負担になんてならない。凜祢の全部を、受け止める。だって僕は、凜祢がいいんだ。

 凜祢は僕のものだ。凜祢の嫉妬も、わがままも――全部、僕のものだ」


「~~~~~~っ!?」


 そう言って、戒斗くんは、突然わたしにキスをした。


 ……辺りが、静かになる。

 唇が触れて、音がなる。舌が絡み合って、水音が鳴る。


「これでも、まだわからないか?」

「……ズルいです、そんなの。不意打ちです」


 そのキスで、わたしの不安は、優しく包み込むように、溶けていった。


「凜祢、もう一度だけ、訊くな?

 ――僕と、付き合ってくれますか?」


「わたしなんかで良ければ……よろこんで、戒斗くん。

 ……だいすきです。これまでも、これからも。ずっと、永遠に――愛してます」


 そしてわたし達は、もう一度、キスをした。


 夕日が緋く、わたし達を、照らしていた。



 






見切り発車で書いたのでどこかおかしいとこあったら申し訳ないです……

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