最強の動物
97話
本来だったら無敵なはずの鎖が一瞬で破られた。
「美咲、、、あれはフラグだね…」
「フラグってなによ?あんまり分からない言葉使わないでくれる!」
俺は「はいはい」と適当に返事をし
再びどうするか考える。
ここは俺と彼女で同時に攻撃する方法もあるが、鎖を自力で壊したやつだ。
近づくと、確実に殺される。
俺が囮になってる間、美咲が魔法をぶっ放すって考えもあるが・・・
すると、「鳴海その方法で行こう。」
「はっ?あっ、最後の方か。でもどうやって?俺の力じゃ秒殺だよ。」
「忘れたの?あなたに魔力あげれるってこと?」
あ、確かにそんなことを前もしていたな。
だが、あの謎の人格のせいで俺は恐怖を抱いていた。また、自分じゃ無くなるのではないかと、、、だが、今はそんな事を言ってられない。せっかく捕まえたチャンスだ。ここで逃してたまるか。
「よし、じゃあ美咲!!」
「はいっと」
彼女は手を差し伸べてきた、俺はその手を握る。
魔力が俺に流れ込んでくるのがわかる。
「コントロール、コントロール。コントロール」
なんどもなんどもつぶやく。
「よし、OK。私の3割の魔力あげたから
大事に使いなさいよ」
「・・・・・・」
「鳴海?」
「OK。大丈夫だ。それじゃあ、
『構造変化開始』」
そう唱えると、今まで異常に、剣に魔力が流れ込む。
短剣はどんどん形を変えていき、
完全に見えた時には、短剣の面影も残さない姿になっていた。
両手には、本来なら両手でやっと持てる大剣が見える。
「この形、、クレイモアか!!」
クレイモアは14世紀から17世紀にかけてフィリピンで使われた両手持ちの大剣だ。
まさかこの剣を両手剣にすることが出来るなんて夢みたいだ。
「おい、ゴリラ!クレイモアの力、見るがいい」
「ふん。そんなモノぶっ壊・・・」
相手がすべて言う前に驚異的なスピードで背後に回る。
「??!!!!」
俺が消えたので驚いている。
今だ!!いけるぞ。俺はクレイモアを全力で降りかざす。
だが、「フッ」と奴は笑って見せた。
そして、「バキッ!!」という音が響いた。
あいつの体には傷一つついてない。
むしろ、奴の体の一部は氷で覆われていた。
今の音がなんなのかすぐに悟った。
見たくはなかったが、恐る恐る
剣を見る。
やはりな…剣の一本が見事に折れていた。
「フンッッッッ」
ゴリラは俺に向かって強烈なまでの威力で腕を振りかざしてくる。
ダメだ。逃げれない。
かろうじて残っていた剣でガードするが、無駄だった。
俺は吹き飛び、その剣は粉々に砕け散った。
「フッッ、あっけないな。ココの冒険者はこんな奴らしかイナイのか?」
「そんなわけないじゃい。」
突然美咲が叫ぶ。
「鳴海…あんたの努力無駄にはしない。
お前のために用意した。受け取れ!!
『rausent rou』
そう唱えると、ゴリラ一面が炎に包まれる。そして、あいつの立っている地面はドロドロになり、マグマに変わり果てた。
「ごめん。これ、闇の魔術師の情報聞き出せないや。だって、こいつ危険だもの
ここで、殺さないと!」
そう言い、すべての魔力を注ぎ込んだのか。その場で膝をつく。
俺も、かろうじて意識を覚ます。
もう美咲の魔力は無いが、生きているので良かったとしよう。
だが、まだ悪夢は続く。
「オレのため???こんなのでオレハ満足できんゾ!!!!!」
炎が一瞬で凍りつき、マグマも凍りついた。そして、その囲っていた氷が割れる。そこから出てきたのは、皮膚は多少焼かれ、足の一部はマグマで溶けていたゴリラだった。いや、顔は人間に戻っていたのかゴリラのような凶暴な顔ではなかった。
「こ、のチートめ…」
美咲は呆れながら言った。
「お前ハなかなかやるようだが、まだまだダ。だが!!!ここで殺さないとイズレ困ることになりそうだ。」
そう言い、あいつは彼女に近く。
俺は「何とかしないと」と思いながらも体が、動かない。
だんだん彼女に近づいていく。
「待てよ」そう叫ぼうとしても声がでない。
そして、彼女があいつの人間離れした手につかまれる。
「このまま潰す。」
待てよ、おい、待てよ!
「グゥアアアア!!!」
彼女の痛々しい声が響く。
止めろ、止めろ、止めろ、止めろ
「・・・・・・・・おい 」
「 だから…」
突然、美咲を掴んでいた手が吹き飛ぶ
「何?!!腕が!!!」
「待ってて言ってんだよ・・・・」