緊急集会って、偉い人がやる事だろ?
94話
俺がこのジジイの正体が分からず
「あんた誰?」と言おうとするより早く
「はい。急にお呼び立てしてすみません。町長様」と美咲が言った
「はっ?!!このジジイが町長?こんな歳で町の管理できんのかよ」とつい言ってしまいそうになり、心の中に押し込む。だが、
「君、そこの君!」
「えっ?あ、はい!」
「少し黙っといてくれんかね?あと言葉遣いには気をつけたまえ。」
「え?、、、あ、ごめんなさい」
・・・・・・読まれてた!!俺の心の声聞かれてた。こんなのプライベートの侵害どころの話じゃ無いぞ。
くそ、あのじじ・・・。いや、爺さんにしておこう。
あの爺さん、とんだ変態だな。
「立ち話もなんだから座っておくれ。」
そう言われ俺と美咲は椅子に座る。
この空間には、俺と美咲、それと町長とおっさんが1人、そしてフォリアしかいない。
冒険者は今日は立ち入り禁止なようだ。
「それではまず、自己紹介をしていきます。私は、ここの受付係の主任フォリアです。」
へ〜、フォリアって主任だったんだ。
「そして、こちらが甘利 美咲さん。
で、海堂 鳴海さん。」
俺はなんとなく一礼する。
「そして、こちらの方がこの町の町長で。
この人は、ギルドの担当責任者です。」
え?あのおっさんすごい人じゃん。
「それでは、美咲さん。鳴海さん。
説明をお願いしますね。」
俺は何を説明すれば良いか分からないので、とりあえず、黙る。説明は全て彼女に任せる
「わかったわ。まぁ、簡単に説明します。とりあえず、この町にとんでもない悪がいます。それだけは間違いないです。」
「はぁ…で、何か手がかりはあるかね?」
「いえ。ですが、依頼人は白骨化されていました。」
「ほう、白骨化か・・」
「はい。白骨化させる魔法など聞いたことがありません。私でも、さすがに扱ったことはありません。」
「なら、属性は"あれ"で決まりだな」
「はい…」
あれで会話が通じるので俺はさすがに聞く
「あの〜、すみません。あれってなんですか?」
すかさず美咲が答える
「闇のことよ」
「闇?」
「闇属性ってこと。私前にも話したわよね。闇はなんでも出来るって。なら、白骨化なんてのも、簡単に出来るから。」
そうなのか。まさか同じ属性でこんな事をするなんて、なんか心が痛む。
すると、ギルドの責任者のおっさんが俺に質問してきた。
「鳴海くんだったよね?君はそれを見てどう思った。」
突然の質問に戸惑ったが、ここははっきり自分気持ちを伝える。
「俺は・・・許せません。たとえ、相手がどんな奴だろうと、これは許せない。
そして、俺と同じ闇属性なんだ。
もっと人のために何か出来るはずなのに。なのに…」
つい言葉が止まってしまう。
「君も闇か・・・・」
何かを考えているのか黙ってしまう。
するとそのあと
「ふっ、ふふ、はっははは!!」
となぜか高笑いした。そして
「面白いね。自分から属性をいうのもそうだが、何よりその考え。素晴らしいよ。はぁ、フォリアも君と結婚すれば良かったのにな」
「あっ、はい。ありがと・・へ?結婚ってまさか?」
「あぁ、そうだとも。娘だよ」
「私も鳴海さんは第一候補だったんですけどねぇ。押しが弱くて。もっと大胆ならすぐに結婚してました。あ、別に今からでも遅くありませんよ」
何を言ってるんだ。この人妻は?
「まぁ、その話はまた今度でもええじゃろ。じゃが、町のみんなにはあまり知られないように。犯人探しなんてされたらこの町も壊滅するじゃろうし。」
「そうですね。このことはこのメンバーだけの秘密にしておきましょう。」
「ならば解散!!」
そうして、緊急集会が終わりしばらくギルドの中に入れないようなので、町の中をブラブラする。
あいつの目的はなんなんだ?
一体何を気づかれてほしく無いんだ?
そんなことを考えていると。
「鳴海。難しい顔してないで、笑って。
あんたの気持ちも、、あんま分かんないけど、今は楽しく過ごしましょ!」
そうだな。自分が悩んでいたって何も解決しないし。今は気楽に行こう。
「で、どこ行きたい?今日はデートって言う設定にしてあげてもいいわよ」
設定って…なんか寂しいな
「どこでも、好きなところへ」
そして彼女はにっこり笑い
「よーし、じゃあ外に出よっか。この町の外」
町の外と聞いても、あまりピンとこない
何がある?
「じゃあ行くよ。」
そう言い、彼女は俺の手を取り歩き出した。