約束。しようか
84話
俺は美咲のあとを追いかける。俺が出た時にはすでに夜になっていた。
「あぁ、夜まで寝てたんだ。」そう思いながらなんだかあの光景を懐かしく感じる。いや、違う。先ほどまでの出来事が衝撃すぎだったせいで、あの時の記憶は薄れてきていたのかもしれない。
そして無事、下までたどり着いた。
馬龍も運転手もちゃんと待っていてくれたようだ。俺もそこには感心した。
そして馬車に乗り込む。馬車に乗っているときは美咲から積極的に話しかけてきた。
「ほんと、あんたが無事で何よりだよ。
私も心配してたんだよ。あんたがいないと寂しいし。」
彼女はほんとに寂しがっていたのかもしれない。その目や声には少し暗さがあったから。
「俺もお前が助けてくれて良かったよ。
スゲェ嬉しかった。あとっ、、」
ポケットから薬草を取り出し渡す。
「これ。偶然見つけて、偶然ポケットに入ってたんだ。ほんと、凄い偶然だよ」
少し笑ってみせると、
「ほんとありがと」そう言い突然抱きついてきた。
なぁっ!!!やばいやばいこれは照れるな〜
俺がそんなことを思っていると、
「私が2人別々に探そうなんて言わなければこんな事にならなかったのに…ごめん。また、大切な仲間を失うところだった。」と顔は見えないので、よく分からないが少し涙混じりの声だったような気がする。
俺もこのまま彼女がなぜあんな殺意を向けていたのか聞いてみる。
「なぁ?さっきなんで、あんな怖かったんだ?」
「あ、怖かった?・・・ま、そりゃ山賊相手だから怖くなるか」
えっ?どういうことだ?なぜ山賊だとあぁなるんだ?
そして続けざまに
「私ね昔、ほんと昔。ここに来て1年とかそんぐらいで今よりも強くなくて1人でもつまらないから、なんだからパーティを組んでみたの。」
パーティ?あぁ3人以上から構成されるやつか
「パーティはね、特別なクエストとか用意されて結構楽しかったんだ。その時のメンバーは私入れて3人。初めての仲間だったから、すっごい嬉しかったの。
でも、あれが起こったの…」
「あれ?あれって?」
「それは、山で行われるクエストだったの。まぁ、いわゆる狩りをしてたの。
私はその山に山賊が出るなんて知らなかったの。私は結構下の方で狩りをしてた、2人は上の方でしてたの。
そしたら、上から突然悲鳴が聞こえたの。私は急いで向かった。でも、植物が生い茂っていてなかなか行けなかった。
そして、悲鳴があったところに向かうと
2人が死んでいたの…」
「・・・・・」
「私は山賊がやった。そう思っていた。いや実際今も思ってる。だから、絶対許さない。今後も」
ん?今の言葉には俺も少し反論をしたい
「なぁ?それって本当に山賊がやったのか?」
すると彼女は俺から離れ、真剣に目を向き合った。
「どういうこと?何が言いたいの?」
「俺は、よく分からないが。それだけで山賊を疑うのはよくないと思う。
だって、実際証拠は何も無かったんだろ?」
「それはそうだけど・・・・」
「あと、さっきだって俺は殺されなかった。むしろ何もされなかった。」
「だって、それは山がち・・・・」
「あと、憎んでる?それだけであいつらをあんな風にするのはもっと良くない。確かに最後はあいつが悪かった。悪かったけど。でも、お前もお前だ。」
「いやだってあ・・・」
・・・言ってやる・・・
「俺はお前にはあんなことをして欲しくない。俺はお前に人殺しをして欲しくない」
・・・ここで・・・
言いたいことすべて言ってやる
「俺はお前にだれも殺して欲しくないんだ。可愛くて、性格酷くて、寝る顔が可愛い。俺はお前の手を汚したくないんだ」
俺は全てを言い終わった
すると彼女はこれまで見たことがないほど涙を流した。
あっ、、やべ、泣かせた…
「あんたがそう思ってなんて・・・。
はぁ〜私もまだまだだなぁ。
あんたにこんな風に言われるなんて。
あんたの気持ちよく分かった。
ごめん。ほんとごめん。反省する。
そうだね。私に人殺しは似合わない。」
「分かってくれたならよかった。」
「なら、これから約束しよ。
私はあんたをこれから絶対守る。
だから、あんたは私を見守っといて。
ね?約束しよ?」
これはいい約束だ。
「あぁ、もちろん。俺も頑張るからお前も頑張れよ」
俺は握手を求め手を出した。
彼女も手を差し出し握手した。
「約束成立ね。
ふぁ〜疲れた。ほんと疲れた。
・・・てかあんたさっき性格酷いみたいなこと言ったわよね」
「あ?覚えてた。ごめんごめん。」
そして、何気ない会話をしながら
俺たちは町に帰っていった。