姫の言うことは絶対〜
8話
今、彼女はなんて言った?
あまりの衝撃の言葉に
記憶が曖昧になる。
「ゲボク」
「げぼく」
「・・・・げ、下僕!!??!?!」
なぜだ、なぜこんな扱いをされる?
俺も、「こっちの世界の言語を
知るためなら、
多少の何かは手伝おう」
みたいなことは考えていた。
だが、下僕、下僕だぞ、
現代でも言われたことないのに、
初めて会った人、
しかも、可愛い顔した人が
言うセリフか?
「ちょっと、待ってくれ。
下僕はないな、うん無い。
だって、ほぼ奴隷と同じじゃないかい
ね、そうだろ?」
そう言った後、彼女は
口元を緩め笑った。
「奴隷よりはひどくないわよ、
だって売ったりしないもん、
私モノは大切に扱うから」
「(人間を物扱いしたよ
この人、
あぁ、俗に言う残念美人か。
ショック、
出会ったときは、
"可愛い、健気、優しい、
ヒロイン確定だな"
とか思ってたのに。)」
「てか、どうすんの?
やりたくなかったら、
やらなくていいのよ
でぇも、ここで私と別れたら
次、いつ、
人間に会えるか分からないよぉ〜
そしたら、のたれ死ぬか、
餓死かなぁ。
あーぁ、カワイソー」
言い方は、腹に立つが、
言っていることは
正論だ。
こんなところで、死んでたまるか。
下僕というのは納得できないが
いずれ、下僕職から解放してやる
「わかった、やるよ、その下僕、
のらせてもらうよ。
ただし、ちゃんとこっちの言語
教えてくれよ」
「わかってるわよ、
ところであなた名前は?
さっきから、
君やあなたとか呼んでたけど
正直、こういうの嫌いなの
あ、でも私はあんたとか言うよ
口癖だもの」
なんだか、その言葉が腑に落ちないが、
確かに、名前をまだ名乗っていなかった
「えっと、俺の名前は 海堂 鳴海、
なるみって読んでくれ」
「そう、じゃあよろしくね、なるみ
又は下僕くん」
な、この人またバカにしたよ
人間性を疑ってしまう。
「私は 甘利 美咲
呼び方はなんでもいいわよ」
「そうか、じゃあ みさ で、
うん、いい、
やっぱ呼び捨てで
呼び合うっていいよな」
「みさ 」と言った瞬間彼女は突然
驚き、顔を赤くした。
そして、
「初対面で、突然、異性を呼び捨てって
あんた、なんてやつなの。
あんたは自分でなのれって言ったから
なるみ って呼ぶことにしたけど、
あんたは普通に呼び捨てで呼ぶって、
普通、甘利、とか 美咲さん とか
女王、とか姫、とか、姉御とか
でしょ?」
何箇所かすごい呼び名があったが
突っ込まずにスルーをしておく。
「まぁ、でも
あなーがよびーーってーーなら
べーーーーわないけど」
最後は小声でよく聞き取れなかったが、
まぁ、呼んでもいいという
解釈にしよう。
「そういえば、あなたどうして
こっちの世界にきたの、あと、
どんなことしてこれたの?」
そうだ、さっき、みさが言っていたが
その時はパニクっていたから、答えれ
なかったんだ。
「俺は、あっちの世界にいる意味があんま
無いんだ。だから
こっちにきたんだ。
そんで、人気者になって、
ウハウハ生活するために来たんだ。
それがこの現実だけど…
あと、異世界には、高いところで
呪文叫んで
家の扉開けたら、転移してたんだ。」
「てことは、つまり、あっちの世界では
人気じゃなくて、こっちの世界に
逃げてきたってわけねぇ
へへ、下僕らしい。」
やはりこの女、酷い
さっきから
侮辱の言葉しか浴びせられていない
ような気がする。
「そういう、おま、いや
みさはどうなんだよ?
まさか、その口調で話続けて
いじめられたか」
「失敬ね、私がいじめられると思う?」
いや思わない、逆にいじめをする側だ
「私、いじめは好きじゃないの。
まぁ理由はあんたみたいに
あっちの世界にいる理由が
なくなったから、かな?
そんで、正直なんで来れたかは
あんま分かんないの」
「俺も、みさも同類ってわけか」
「あんたと同じにしないでよ
下僕と姫よ。雲泥の差よ。」
やはり、変なことをいうのは
やめておこう。そう少年は思った。
「それじゃあ、まず、
行かないといけない場所に
行きますか。
こんなところに、
ずっといるのもあれだし。」
そう言い、2人は歩き出した
「そういえば、なんでみさは
あんな所にいたんだ?
普通行くようなところじゃないだろ」
「え、それは、
私のようなかわゆ〜い子があんなとこ
通ったら、一体どんなイベントが
起こるんだろうなぁと思って。
期待してたのは、みんな私に
釘付けみたいなのが理想だったんだけど
実際、誰もいなかったし…
でも、下僕確保は上出来よ。」
やはり、この女、
かなり危ない。