凄い語尾を伸ばす人登場
70話
言葉がはっきり聞こえたので俺は彼が
日本語でしゃべり、現代から来た人間かと思ったが、
「せいとうボうエい?しらなイナぁ。
オレにソンなコトばつうじナぃ…」
[正当防衛?知らないなぁ。
俺にそんな言葉通じなぃ…]と
ナイフを持った男が言い返したので、
あいつはこの世界の言語を喋っている。
「ほう〜。じゃあ俺も今からお前〜を殴る〜。殴り返しても〜『正当防衛だ』とか、言うんじゃねえよ。」
最後の言葉には凄い殺気が込められているように感じた。そして、先に手を出してきたのはナイフを持った方だった。
「気をつけろ!!そいつ強いぞ」と俺が声を出すと、よく見えないが彼は微笑んだように感じた。
そして、勝負は一瞬で済んだ。
ナイフを持った男が壁に思いっきり
叩きつけられた。
なんだ?何が起こった?彼は何をしたんだ?俺の中で今の出来事が整理できなかったが、
「マズい、このままじゃオれたちモ…
ニゲルゾ。」
[まずい、このままじゃ俺たちも…
逃げるぞ]といい2人は逃げていった。
それを見て、さっきの出来事は後回しでいいやと思ってしまった。
それよりまず彼に感謝を言わないと。
ふらつく足で、彼の元に行く。
「ありがとう。助かったよ。君がいなければ今ごろどうなっていたか…
ほんとに感謝する。」
「い〜や、い〜や。別に感謝されるほどでもないよ〜。それよ〜り、怪我はな〜い?」
「え。まぁ。多少痛いところはあるけど別に支障はないよ。」
「そうか〜い。ところでここで何してるんだ〜い?こ〜んな所にく〜るなんて物珍しいねぇ」
「あっ、いや。
なんか言うの抵抗があるけど、・・・
道に迷ったんだ。本来だったら食材買いたかったんだけど…」
「そ〜なんだ!!な〜ら、一緒に行こっか〜?おーれも用事があ〜るから。」
「おお!!ありがと。感謝する」
そうして、俺と彼は一緒に食材を買うところまで歩いた。ここからそこまでは
結構近く、案外早く着いた。
「ありがと。さっきのことと今のこと。
君には感謝し足りないな。あ、そういえば名前言ってなかったな、俺は海堂鳴海
君は?」
「俺はべ〜つに名乗るほど〜のものじゃない。それより帰る道は分かる?」
「それがわからないんだ…ギルドが近くにあるんだ。」
「そ〜こなら、この道の分〜かれ道をずっと右に行けばつけるよ〜」
「ほんとか?!いやー、君には助けて
もらってばっかだな。」
「い〜んだよ。じゃあ、俺はこ〜こで」
と言い、彼は人混みの中を歩いて言った。最後に聞こえたかは分からないが「ありがとう」と大声で言った。
それから俺は、美咲に頼まれた物を買い
彼に教えてもらった通り、あの道の右を
ずっと歩くと、帰ってこれた。
ほんと、彼には感謝してもしたりない。
俺は家に入り、美咲にちゃんと買ってきたことを報告する。
だが、美咲は俺の傷が気になったようなので尋ねてきた。「どうしたの?
まさかあんたの事だから転んだとか?」
「まさか、チンピラに絡まれた。武器がなかったから。正直ピンチだったけど
人に助けてもらったんだ。」
「それは、災難だったわね。あ、これ
直しておいたから。2度とこんな事しないでよ直すの面倒なんだから。」
と武器が固定されたベルトを渡された。
これがあれば、多少は戦えたのに…
でもまぁ、今日はいい出会いがあったので、正直武器が無くて良かった思った。
よーし、あとは今日の夜に対して備えるだけ。絶対合格して、この家に残ってやる。