異様な光景が続く、続く
65話
俺は、今日初めて自室を出て階段を降りる。リビングに向かうと美咲がいた。
「おはよう、今日も早いな!!」
今の時刻は8時、多分彼女は1時間くらい早く起きていたのだろう。
「う、うん。おはよう、それでさあんた調子どう?」とよく分からないことを聞いてきた。
「えっ?調子?別になんともないけど」
俺がそう言うとなんだか安堵した様子になった。
「そう。なら、ご飯つくろ。私と一緒に作るのなんて今日で最後なんだから。
堪能しなさい。」
何を堪能すれば良いのかは分からないが
朝飯はつくる。
そういえば、夜って何作るんだ?
「夜って何作ればいいんだ?」
「それはまだ決めてないし、まだここでいう気もない。楽しみは直前に知った方がいいでしょ?だから、作る前私が
オーダー出すから、よろしくっ!」
なんだろう、嫌な予感がすごーいある。
そして、作って運んで食べる。で、片付ける。ほんといつもと変わらないな。
そして、今日も稽古場に行く。
だが、ここではいつもと違うことが起こった。稽古場に着くとある1人の男が視線が入った。遠くでもわかる。明らかにそいつはここにいる他の連中よりも、顔つきが違う。
まるで、強者の顔っていうか、絶対の
自身に満ち溢れているっていうか。
そして、その男も帰るのだろうかこちらに向かって歩いてきた。だが、
「キミもオレトおナジニオいガスル」と耳元で囁かれた。俺はその数秒自分の命が止まった様に感じた。そして、振り返るとそいつもういなかった。
なんだ?今の感じ?
恐怖?殺気?ただならぬ気配だったのは間違いない。
俺の頭の中は真っ白に近い状態だったが
「どうしたの?すごい汗」
と美咲の声で平常に戻った。
俺は自分の手で顔に触ると、
確かに凄く濡れている。それほどまで、
恐ろしかったのだろう。だが、あまりこれは人にいう事ではないと思い、
「あっ、これ?いや〜結構暑くて汗が凄いんだ」と嘘を言って誤魔化すことにする。
だが、今はあいつのことより、
訓練だ!料理だ!そっちの方がよっぽど忙しい。
よし、特訓を始めようそう思い、
「よし、やろうぜ美・・」
と言おうとした時、
「おお、なンだ、ナルみにミささんじャないカ!!」
[おお、なんだ、鳴海に美咲さんじゃないか!!]
と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
そう、ランドロフだった。
「お、ドロフじゃん」と言うと
彼は何か不思議な顔をした。
あ、そうか俺こう呼んだの初めてか。
そりゃあいつも呼ばれてる呼び名じゃないと困るよな。俺だって『るみ』とか突然言われたら困るもん。だが、
「フフッ、ドロフか〜。
やっパ、キミおもシロいよ。ホンと。いいヒトミツけましネ、ミサさン。」
[ふふっ、ドロフか〜。
やっぱ、君面白いよ。ほんと。
いい人見つけましたね、美咲さん。」
「そうだネ〜。マぁ、あんマやくにタタナイけど。」
[そうだね〜、まぁ、あんま役にたたないけど。]
やめろよ、ドロフの前でそんなこと言うなよ。
そして、ランドロフは凄いことを言ってきた。
「このバであえたウンメイだ。ミサさん。ヒトセンまじえませンか?」
[この場で会えた運命だ。美咲さん。一戦交えませんか?]
俺は、突然こんな事を言いだすもんだから正直冗談かと思った。だって、美咲は
この町でも有名なほど強い。
だが、彼の目は本気だ。
そして、次に物凄いことを言った。
「もし、かてタのなら、ここにいる
ナルミをワタシにくださイ。」
[もし、勝てたのなら、ここにいる
鳴海を私にください。]