俺様に勝てるわけねぇだろ!!
61話
まさかのあいつらが俺のことを知っているなんて、何と迷惑な状況だ。そして今この場に戦えそうなのは俺だけ。
運転手は使えそうに無いし、美咲も起きない。なので5対1と非常にこちらの方が不利ではある。そして何より、ここの住人は俺たちの事を見て見ぬ振りをする。
その目線からは
「絶対関わってはいけない」
「関わったら何をされるか分からない」
とそんな様子なわけだ。
・・・まぁ、俺も住民視点だったら、
絶対見て見ぬ振りするだろうな。
状況も、外からじゃ分かんねぇし。
ただ、なんだろうこの腹の立つ気持ちは?
困ってる人を助けるのって普通なんじゃないの?
一言で表すのであれば
"使えない奴らだ"
・・・えっ?違う最後の言葉は俺の
意思で思ったんじゃない…やっぱ、
"あの出来事"のあとから何かがおかしい…
俺の感情の変化に何か関係あんのか?
だが、なかなかこちらが何もしないので
痺れを切らしたのか
「オイっ!しかけテコナイのか?なッラ
コッチからイかせてもらウぜっ!!!」
[おいっ!仕掛けてこないのか?なっら
こっちから行かせてもうぜっ!!!]
突如、1人が攻撃しようと走ってきた。
やばい!!だが、こんな時こそ冷静にだ。
まずは解析。
俺に向かって走ってきてるやつは、武器屋で買える普通の剣を持っており動きはやや鈍い。
俺は慌てず短剣を取り出す。ここで慌てて剣が取り出せねぇー…見たいなギャグ回誰も見たくない。誰得だよ?ちょっと何言ってるか分かんねぇけど。
・・・だが、構えている時、俺の心に迷いがあった。それは人を切るという行為だ。今までモンスターとしか
戦っておらず、こんな風にチンピラ共と戦うことはなかった。チンピラでも奴らは人だ。人を傷つけていいのか?
そんなのあんな見て見ぬ振りする奴らとなんら変わりのないような気がする。
そんなことを考えている最中でも、そいつは向かってくる。もうここでどうにかしないと・・・・
そして
「うぐっっ!!」
そんな声を出しうずくまったのは
こっちに向かってきたチンピラだった。
やつは首と腹を手で押さえている。
「ハァ、せっかく鞘がベルトに固定してあったのに、また治さないといけないよ…
美咲に怒られるんだろうな。
でも、頑丈じゃなくてよかったぁ〜
このまま外れなかったら俺死んでたし」
そんな余裕な気持ちでいるこの海堂鳴海だが、なんと少年は剣に鞘をつけた状態で戦うという無謀な挑戦をするのであった。