これが、ピンチというやつか
60話
俺たちはクエストが終わり、町に帰るわけなのだが、揺れる馬車の中で俺は
"さっきの出来事"をずっと考えていた。
美咲にも相談しようかと思ったが、彼女は寝てしまってた。
まぁ、振り返ってみるか。
俺は彼女から魔力を受け取ったあと
自分の意思ではない行動をしていた。
だが、
あの時はただただ意識がないだけで
記憶は多少ある。最後何があったかはよく分からないが…
これって二重人格ではないよな。
じゃあ、なんなんだ?
だが、次の瞬間、また突然止まる。
「痛っっっった!!!」
また背中を強打した。
「だからとつぜん止まんなよ。お客様は・・・」
と言おうとした時、運転手が
「たいへンデす。いまマチノなかなんでスケド、トウゾクどもにカコマレましタ。」
[大変です。今町の中なんですけど、盗賊共に囲まれました]
とボソッと言ってきた。
ここは美咲に任せようと思って見ると
彼女はまだ寝ていた。
俺は美咲を必死に起こす。
「おい、起きろ。大変なことが起きた。」だが、起きない。
揺らしたり大声で叫んで見たが。起きる気配がない。
クソ、ここは俺がなんとかするしかないのか?でも、勝てるのか?まず?
・・・・・いや、勝てる
勝つ。勝ってみせる。
あんな雑魚ども俺1人で余裕さ。
言っておくが、俺は現代から異世界に来たいわゆる主人公ポジだぞ。
あ、自分で言うと恥ずかしいな。
覚悟を決めて、馬車から出る。
敵の数は5人。とりあえず敵の顔を見ずに
大声で
「邪魔だよ。せっかく帰ろうとしてたのに手間をかけるな」と
威嚇のような何なのかはよく分からないないが、叫んでみた。
だか、「ハァ?ウルせえな。オレたちガダレカワカッテソンナこといってんのカ?」
[はぁ?うるせえな。俺たちが誰だか分かってそんなこと言ってんのか?]
うわぁ、逆効果だったし…やっぱチンピラ共にこんなこと言うのはやめた方が良かったな。
だが、次の瞬間チンピラの1人がほんと
めんどくさいことを言った。
「おい。アイつ、イツもアマリミサのとなリニいるヤツじゃね?」
[おい、あいつ、いつも甘利美咲の隣にいるやつじゃね]
おい!!まてまてまて!!なんで俺のこと知ってんだよ
「ほんとダ。ホウ、コリャつごうガいいナァ。ツカマえて、コイツをオトリにツカウ
のもいいなぁ」
[ほんとだ。ほう、こりゃ都合がいいなぁ。捕まえて、こいつを囮に使うのもいいなぁ]
さってと、状況がめんどくさいことになってきたな。