そんなのどうでもよかった。
158話
男は疑問に思う。
この少年、今までとは何かが違う。
攻撃を弾かれたり、洗脳が失敗したりと。
今までこんな事は無かった。
なのに何故?一体何が起こった?
「ふん。そう来たか。
なら俺の予想を言おう。
貴様は海堂鳴海のもう一つの人格。
つまり、今まで闇の中に眠っていた人格が
目覚めたんじゃ無いのか?」
すると少年は笑う。凄く楽しそうに彼は笑う。
「あぁ、おっかしい。」
「俺の予想が当たったようだな。
今のは何もかもがバレて、どう足掻いても無理だと思った。
だから諦めて笑いだし・・・・」
すると、彼は言葉を遮る。
「んな訳ねぇだろ!!
俺が笑った理由はお前が何を言っているか
さっぱり分からなかったから、本当に
可笑しくて笑ったんだ」
するとカクマは驚いた。
「なんだと?お前は俺の攻撃など今ままで防ぐ事など出来なかったでは無いか!
だから、きっと別の人格が・・・」
「言ったろ?『俺は俺だ!』って
別の人格なんかあるわけ無いだろ。」
そして、一旦間を置いた。
「俺分かったんだ。なんで、能力だけ
強化されて、肉体の方は強化されないのか。」
「能力だけ強化?そうか。
だから侵入が拒否されたのか。
でも、分からない。なぜ肉体の方は強化されない?
能力がされているのだから、普通されてもいいだろ?」
「まぁ、そうなんだけど。いいから聞け!」
少年は武器を使い立ち上がった。
そして、わずかに後退した。
「俺にはまだ何処かで迷いがあったんだよ。
ちゃんとあの時にけじめをつけたはずなのに。覚悟を決めたはずなのに、、、
なのにまだ不安だったんだ。
だって、お前みたいなチート野郎が
相手なんだぞ!最悪即死そんな事もあり得る。
・・・・でも、実際殺されそうになった時、
『俺はここで死ぬもんか。
絶対に生きる。生きて皆んなと
幸せに暮らすんだ』って思うと、
何だか、体が軽くなった。
その時思ったんだ。
けじめなんかどうでもいい。
俺は皆と、仲間たちと、ここで幸せに暮らす。
それが俺の恐怖や不安を全て吹き飛ばしてくれた。
・・・・・だからさ、本気で来てくれよ。
俺も本気で行くからさ。」
「ふっ。すぐ死ぬなよ。」
言い終わると同時にカクマは光のような速さで、俺に向かってきた。
その距離わずか5メートル。
だが、鳴海にはその動き全てが読み取れる。
そして、体もいう事を聞いてくれる
彼は『ローレンス』と名付けられた武器を振りかざす。
その武器を躱そうと右に避けた
カクマを、素手で全力で殴る。
男は吹っ飛んだ。
「おっ!素手つえ!!!」
吹っ飛ばされたカクマは直ぐに起き上がった。そして、これまでに聴いたことのない笑い声を響かせた。
「ハハハハハ!!!!!!
面白い。流石だ。これだよ。これ。
俺の求めていた理想。
俺と対等に戦える奴を探す。
ついに叶った!!叶ったんだ!!」
だが、俺はその言葉が気に食わない。
「おい?!俺だけ眼中に入れんな。
美咲も対等に戦ってただろ!!
お前は所詮、闇以外は足元にも及ばない
とか思ってるんだろ?
その考え、改めさせてやる!!」