力をコントロールするんだ!!
157話
唱えた途端、短剣はみるみる形を変えていく。
しかし、それは剣と呼んでいいのか分からない形状であった。
「うわ〜 俺って今までこんなの振り回してたんだ。なんかすげぇ。」
その武器を自分の目では初めて見たので
驚きを隠せない。
「でも。今までずっと使ってたんだよな?
なら名前くらい付けないと。
え〜っと、『ローレンス』。
うん。これにしよう!!」
名も無い武器に名前を付ける。
その様子を外観から見ると、"楽しそう"という風に見えた。
「武器に名前を付けてそんな楽しいか?」
彼の様子を見ていたカクマは思わず言う
「う〜ん。まぁ、俺名前を付けるのとか
好きなんだ。だから、少し楽しいかもな。」
「そうか、、、、まぁ、それが最後の感情に
なるのだからな、堪能するがいい。」
「それ。次、洗脳するときは感情すらな無くすって事だよな?」
「あぁ。そうだとも。」
ほんの数秒だけ沈黙が流れた。
そして、
「ふっ。だーれがそんな人形みたいな状態に
なるかよ。お断りだ!
誰がそんな状態になりたいんだ?
言っとくけど俺は俺だ。誰の指図も受けねぇ。
今は訳あって、あいつの・・・・あれだが、
絶対に誰からも指図は受けねぇからな!!」
そう言った後、遠くに離れていた美咲を
見ると、クスッと笑っていた様に見えた。その光景を見て、何だか嬉しくなる。
「ほう。お前からこちらの仲間になる気が無いことはわかった。
しかしな、俺は何でもかんでも
力ずくでやるのが好きなんだ。
大好きなんだ。だからさ。分かるだろ?」
「分かるわけないだろ?」と言いたかったが、奴の殺意を感じ取り、恐怖で口が動かなくなる。
「行くぞ!!!」
カクマは相変わらずものすごい速さで
こちらに向かってきた。
「(来る。でも、認識は出来る。だから
問題なんか。無い!!!!)」
俺はそう持っていた。
しかし、目で見えても体が追いつかないことに気付いていなかった。
そして、「グッッ・・・・」
体に思いっきり蹴りを入れられ、
その場に倒れこんでしまう。
「(なぜ?なぜ体が追いつけない?
・・・やっぱ、あれか?
能力は上がっても、基本スペックはそのままだからか?
今回は魔力なんて受け取っていないから、正直不安だったよ。でも、まさかこんな事に・・・)
チクショ…」
「どうした?そんなものか?
がっかりさせるな。」
「っさい。俺だって、んなはず・・・」
「まぁ、もういい。今楽にしてやる。」
カクマは彼の頭に手を置いた。
すると、予想外のことが起きた。
「?!!!!」
彼は何故か鳴海の頭から手を離した。
「どうしたんだ?やっぱり俺を仲間にするのは諦めたのか?」
彼は黙る。
「(今のはなんだ?あいつの精神に入り込もうとしたら、突然電撃の様なものが俺を。
まるで、拒絶されているみたいだ。
本来はこんな事したくないのだが、
仕方がない。)」
カクマの手が突然、黒い霧に包まれた。
そして、それが消えるとその手には
ナイフのような刃物が現れた。
「あまりこんなことはしたくないが、
お前を殺すことに決めた。
これ以上野放しにすると脅威になるんでな。」
そして、彼はナイフを素早く振りかざした。
「(え、殺す?なんで?俺の事は殺すつもりじゃ無かったんだろ?
でも、そんな事より、ここで死んだら
さっきのけじめは一体何なんだ?
俺は生きる。絶対に、ぜったい・・・」
刃物が鳴海に当たりかけた刹那、
カクマの刃物はなぜか真っ二つに割れた
「何?」
鳴海の方を見ると
今まで男の攻撃を防ぐ事など皆無だったはずなのに、
今は『ローレンス』と名付けられた武器で
攻撃を防いでいた。
男は疑問に思う。
「お前鳴海じゃないな?だれだ?」
すると彼は答える
「さぁ〜?誰でしょう」