俺がけじめをつけるから。
156話
▷時間は少し遡る◁
俺はあいつらの戦いを見ている時にふとヨイの事を思い出した。
あいつらの戦いに見惚れてしまい俺はヨイの事を忘れていた。
なので彼女の状態が心配になった。
だが、あちらの戦いも心配だった。
でも、「美咲なら大丈夫だよな!」
と絶対の自信を持って、ヨイの様子を見に行った。
ヨイが激突した家の壁は、大きな穴が空けられている。
それは人が簡単に入れるほどの穴だった。
穴を通り家の中に入ると
家具は散乱し、壁の破片が床に飛び散っていた。
「家の持ち主、かわいそ・・・」
と同情していると、奥にヨイがいた。
「ヨイ…」彼女は衰退しており、所々に傷が見える。
散乱する家具を避け、ヨイの側に寄り添う。
「俺に回復が使えれば傷なんて癒せれたのに、、、ごめんな」
俺は彼女の頬を撫でる。
すると、背後で物音がした。
振り返ると、フォリアが怯えながら家に入って来た。
「フォリア大丈夫?」
するとその言葉が癇に障わったのか彼女は怒り始めた。
彼女は至って冷静だ、しかし、声が震えている
「大丈夫?そんなわけ、、、そんなわけ無いじゃないですか!
私は今までギルドの中にずっと、
あなたが来る前からずっっと居たんです。
だから、人が戦う現場なんか一度も見た事が無かった。
それなのに、何ですか?これ?
人の動きじゃありませんよ。
あの人。いえ、美咲さんもそうです。
何なんですか?もう私、怖いです。
怖くて。怖くて・・・・」
彼女は静かに泣く。
今までにこんな恐怖を味わった事が無かったのだろう。
いつ死ぬかも分からない、この恐怖。
これが普通の反応だ。
俺たちみたいに戦いに慣れたやつには
決して分からないだろう。分かることはないだろう。
でも、「フォリア」
俺はフォリアの両手を優しく握る。
「ごめんね。これはきっと俺のせいだ。
俺がすべての元凶なんだ。
俺があいつと同じ闇を持っていたから、、
こんな事に・・・・
だから、俺が全てのけじめをつけてくる。もう、誰もこんな思いをさせないために。誰も悲しませないために。
俺が全力であいつを止める!!
だから、それまでの間、どこかで隠れてて?
いい、分かった?」
俺が言い終わった頃に、後ろで声が聞こえた。
「鳴海くん。それは違ぅ。」
「ヨイ!!喋れるのか?」
ヨイの声は凄く弱々しい。
「ぁなたは、元凶なんかじゃなぃ。
ぜんぶ、ボスがわるぃの。
だから、気にすることなんか無いの…」
「ありがと。でもさ、俺が居たからこんな事になったんだろ?
俺が居なければ、みんな平和に暮らしてた。
いつもと変わらぬ日常。生活を繰り返せれた。だからさ、、、」
「行くんですよね?じゃあ、約束してください。死なないで。絶対に」
フォリアは俺の言葉を最後まで聞かずに言う。だが、その目は真剣そのものだった。
「分かったよ!死なない。絶対にね!」
俺がそう言うと彼女は微笑んだ。
すると、急に体が楽になる。
「念のため回復しておきました。
なので鳴海さん張り切って行ってください!!」
「頑張ってね。それと行くまぇに・・・」
ヨイは口を尖らせた。
おっとこれは!あちらが良ければ俺も良い。
なので、ヨイの方向に向かおうとすると
「行けよ早く。」とフォリアに言われた。
「はい。分かりました。」
俺はしぶしぶ家を出た。
そして、俺が出た後も会話は続いた。
「ィジワル。まだ、私たちしてないからね…」
「病人は寝ておいてください。
あと、鳴海さんは誰にも渡しませんから」
俺は家を出たあと、2人の戦いを見た。
2人は猛スピードで動いているはずなのに
俺にはちゃんと動きが認識できた。
「なんだこれ?まさか回復が?」
そんな事を思っていると、
カクマが美咲に向かって剣を振りかざそうとしていた。
なので、俺は自分の短剣をあいつに向かって思い切り投げつけた。
「?!!!!」
当たりはしなかったが、彼女は無事だ。
「美咲。あんま無理すんなよ!!
無理するのは俺だけで十分だから。
だから、今は下がってて!」
何だろう。今の俺は凄く調子が良い。
こんなの初めてだ。
回復のおかげで、記憶が曖昧なところ。
つまり闇堕ちした時の記憶が戻ってくる。
「ほう!次はお前か、、、、鳴海!!」
「かかって来いよ。何となくだけどコツ、
掴んだから。」
今の俺だったら、きっと同じことが出来る!!
もう一本ある短剣を握り、唱える。
「『Code 覇』」