このスピードについて来れるか??
155話
カクマは詠唱を唱える。
そして、俺はその詠唱に聞き覚えがある。
あの驚異的なスピード。詠唱を聴いただけで
ゾッとする。
「美咲!!気を付けて!」
俺は簡潔に言う。
すると彼女は頷いた。
「な〜んかそろそろ、まずくなってきたかもね〜。・・まぁ、とりあえず、動き。止めようか!!」
彼女はあいつを囲むように、10、100
いや数え切れないほどの剣を作り出す。
「死んだらごめんね。くらえ!!
『奏刃天祭』」
無数の剣はカクマめがけて放たれた。
地面には役目を果たした剣が何本も突き刺さる。
そして、突き刺さる事に砂埃が舞う。
砂埃のせいで俺は2人がどうなったか分からない。
だが、これで決着がつくなんて、思っていなかった。
そして、砂埃がだんだんと消え始めた。
が、やはり決着はついていなかった。
2人は凄まじい速さで戦っている。
そして、俺がギリギリ認識出来る範囲で確認できたことは
美咲が、必死にカクマからの攻撃に耐えていることだ。
カクマは刃物の様な物を手に持っている。
今まで武器など使っていなかったので
本当に本気で来ているようだ。
「ふっ。よくこのスピードに追いつけるものだ。お前が初めてだよ。俺と対等に戦っている奴なんて。」
「それはどうも光栄ですよ。似非王子!!!」
しかし、所々美咲も反撃する。
だが、それは一瞬だけであった。
あいつの剣術は上手く、美咲はすぐに防御に
移ってしまう。
そして、美咲にはだんだんと疲れの色が
見え始めた。
「(このままじゃ、私のスタミナと魔力が
尽きそうだねぇ〜。
そしたら、私は一瞬で命が奪われるかも。
まずい。それはまずい。
魔法を唱えてもあいつの技で無効化されるだろうし。う〜ん)」
何故か頭の中で鳴海が出てきた。。
「(あぁ、そうか。闇堕ちしたあいつの魔術だと対応出来なくもないか・・・
でも、単体しか作れない私に複合した物を作れるとは決して思えないけどなぁ〜。)
でも、、、試してみる価値、あるかも!!」
彼女は防御をしている最中に何歩か後ろに後退した。
「お願い。成功して!!
『Code・・・』」
彼女は鳴海の使った魔術を唱えた。
しかし、やはり無理だったのか
体に衝撃が走る。
「痛…ダメか・・」
するとカクマは笑う。
「ふはは!ダメだったようだな!!
お前のような奴に、鳴海の真似事など出来まい!!おとなしく死ね。」
あいつは手に持ってる刃物で彼女の首を振りかざそうとした。
しかし!!
2人の間に短剣が通りかかる。
「?!!!!」
そして、数十メートル離れた所から声が聞こえた。
「美咲。あんま無理すんなよ!!
無理するのは俺だけで十分だから。
だから、今は下がってて!」
その声は、いつもの声より自信が見られた。
その場にいる恐怖になど、まるで屈しないと言うように。
「ほう!次はお前か、、、、鳴海!!」
「かかって来いよ。何となくだけどコツ、
掴んだから。」




