昼食後の姫の愉悦
15話
昼食を食べ、
1人で、"1人"で食器の洗い物を
していると。
リビングから彼女がやってきた。
「ねぇ、このあと、あんたの稽古
してあげるけど、やる気ある?」
突然の稽古してやる宣言に驚きつつ
「洗濯、掃除は
しなくていいんですか?」
「あー、それは明日するから。
いや違う、させるから。
今日はあんたがどれくらい
戦闘に向いてるか、試してあげる」
掃除・洗濯を明日にまわすのは面倒だが
稽古をしてくれると言っているので
喜んでやってみる。
「そういえば、あなたの武器、
鞘がちゃんと腰で固定するように
調節しておいたから。
自室であとで確認して」
なんと、彼女はいつの間にか
そんなことをしていたのか。
まるで気づかなかった。
いつだろう?昼食を片付けている
時かな?
「外に出る時は、ローブ着ていってね。
あと、家の電気は切るとこ
窓も閉めること。
全部あなたの役割だから
頼んだわよ。
じゃあ、私ローブ着て、
外で待ってるから。」
といい、姿を消した。
だが、皿洗いがまだ全部終わってない
ので、待たすことになりそうだ。
多分その時は怒られるだろうなぁ
「遅い、いつまで待たせてんの。
あんた、こんなかわゆい子をずっと外で
待たせてるなんて、失礼でしょ
命じます。あなたは屋根裏で生活
してください」と、
あぁ、それは困る。
どうすれば、機嫌を損ねずにいられるか
今はとりあえず、皿を洗おう。
そして、全力で皿を洗い、
全力で階段をのぼって
自室にはいった。
階段の1番近くを選んでおいて良かった。
ローブを着る前に、
武器を確認した。
武器は鞘がベルトに
固定されていて
スライドすると動く仕組みになっていた。
これは体の後ろに武器があったほうが
かっこいいな
と思い、
体の後ろに動かした
そして、急いで
ローブを着て、
階段を降りた。
だが、一つ困ったことがある。
そう、扉が硬いことだ。
扉の方に行くと、
閉まっていた。
なぜ彼女、開けてくれないんだ。
と、思いながら、ドアを開けようと
したが、硬くて開かない。
全力で、ドアに力を入れたが
やはり開かない。
そうたら向こうから
「あんまりガンガン言わせたら
壊れちゃうじゃない。
危ないから下がっていて」
と言われ、下がると
いきなり、ドアが高速で開いた。
彼女がまた蹴りを加えた。
「壊わすのはどっちだよ」
と思いながら、
多少遅れたことを謝罪した。
そしたら彼女
「あぁ 別にいいってもんよ。
私、待たされることそんな
気にしてないし。
寝ていて遅れたら
話は別だけど、
家事だったら別にいいわよ。」
意外、彼女に怒られなかった。
何かの奇跡だろうか。
そんなことを思っていると。
「どうせ、美咲に怒られるとか、
思ってたんでしょ?
あんた、私のこと見くびりすぎよ。
ちっとや、そっとで怒らないから。
そんなことより、いきましょう。」
彼女はそう言い歩みを進めた。
俺もついて行く。
「今からどんなところ行くんだ?」
「んー、どんな所か、
言葉で言うの難しいな。
簡単にいえば、戦闘できる所って
言っとくわ、
そこらへんで、稽古とかしてると
周りに白い目で見られるから」
戦闘って言い方は怖いが、とりあえず
どこでも稽古が出来るというわけでは
ないらしい。
そういったあと、彼女はなぜか突然
「そういえば、単純に思ったこと
聞いていい?
あなた、こっちの世界に来た時になんか
持ち物持ってきてない?」
などと言われた。
あまりにもどうでもいいことなので
そっけなく「ない」と答えると
「えー、つまんないのぉ。
今の現代どん風に進化しているのって
思って気になっていたのに。」
彼女は大変ショックだったのだろうか
落ち込んでいる。
「どんな風って言ったって、そんな
変わってないぞ。
多少技術は進歩したけど、
この1・2年の進歩は変わりなし」
と言うと
「1・2年って言ったって分かるわけ
ないじゃない。だって私
ここにきて"5年"よ。」
そういった瞬間、
反射的に「なぁ!」
という言葉が出た