お前と俺はちげぇから!
133話
気がつくと、見渡す限り一面真っ白な空間が広がっていた。
そこは何もなく、明らかに"無"と言えるような空間だった。だが、そこに異彩を放つものがいる。
それが、俺と敵のボスだ。
「なんだこの空間は?」
さっきまで町の中だったのに気づいたらこれだ。
あの頭痛もこの空間に到着すると治った。
・・・・なんだか訳が分からない。
「ここは俺たちが話し合うのに最適な場所だ。特別に用意したんだ。
感謝しろよ!!」
「用意した?じゃあ作ったってことか?
ヨイの『虚創空間』みたいなものか?」
「ふふっ、あいつと同じにするな。
レベルが違いすぎる。
いいか?あいつはその場を偽りの空間に変えるだけ。既にある空間をコピーするだけ。簡単にいえば贋作だ。
だがな、これは違う。
この空間は別次元そのものだ
そこに俺たちは移動した。
今の人類にこんなものは作れまい。
お前の世界でも作ることは不可能だろう。」
異次元?この空間がそうなのか?
確かに、俺たちの他に生物など一匹もいない。
そして、川も土も草なく、白い空間が
ただただ広がる。遠くを見ても終わりが見えない。
「凄いな…」
「だろ?!お前も使えるようになるさ。なんせ、俺とお前の闇は似ているからな」
・・・・ん?いま思うと、こいつって
闇属性なんだな。たしか、自分から言ったことなかったよな?
そうか、そうなのか…
じゃあ、こいつもイタい奴か。
「なぉ?お前は、、、どんな感じで心が痛いんだ?」
相手を傷つけない、怒られない程度に
言う言葉をえらぶ。
「痛い?あぁ、まぁ痛いな。
俺のこの力は大半は悲しみだ。
なぜだか教えてやろうか?」
悲しみ?この理由で闇になったのか?
なら?俺はなんだ?
「俺はこの町に見捨てられた。
原点は、俺が幼い頃、母と父は俺のことを捨てた。
だから、字などわからず、服もずっと同じものを着る始末。
ずっっっっと1人で育ってきたよ。
俺は生きる為に盗みを働いた。
案外バレないもんだな。上手くできた時は心の底から喜んだよ。
だが、見つかった時は散々殴られた。
殺されるのではないかと思った。
俺は、恨んださ、母と父を。この町を!
そして、成長するにつれ、突然違和感を感じた。そう、魔力を感じたんだ!
俺は努力したよ。この力をコントロールするため。
『恨み悲しみ怒り』その感情が俺にさらなる力を与えた。
そして、俺がこの力をコントロールした時にはたくさんの仲間が増えたよ。
俺は考えた。
2度と俺のようなやつが生まれないために
この町、いや、世界を壊して全てを変える。
だってさ?1から始めれば変わるだろ?
なぁ?お前もそうだろ?あっちではずっと1人だったんだ。分かるよな?俺の気持ちが。お前もこっちに来てくれればすぐ、始められる。
"世界の始まり"が」
・・・・・・なんか、違う。
だって、こいつのやろうとしている事って復讐だろ?
なんで、復讐を手伝わないといけないんだ?
そして、
「なんで、この町を、世界を壊す必要があるんだよ!!!皆を、、、
皆を巻き込むのは止めろよ!!!
俺も同じ?ふざけんな!
俺は楽しかったんだ!
1人が。でも、ここに来て変わった。
仲間の大切さ。人の優しさに。
だからさ、そゆなこと絶対にさせない。
俺はお前を止める!!
・・・あっ、あと、自分語りが長いんだよ!
飽きるわ!」
「・・・・そうか…
なら」
一気に魔力が上がるのがわかる。
凄い気迫。そして凄い殺意だ。
「無理矢理でも俺に従わせるか」