俺、お前に負けねぇし!!
一体どういうことなんだ?
なぜ死なない?しかも痛くない?
・・・全く分からない。
あぁ、怖い。怖すぎる。この場の空気がピリピリする。逃げたくても足が動かない。
「動け!!動けよ、俺の足!!!」
「どうした?何があった?」
あいつが着々と近く付いてくる。
ダメだ。あいつの正体が分からない限り
俺はまともに戦えないような気がする。
なんせ奴は死なない。
「なぁ?お前は『自分はラクトだ』と言った。でも、それは仮のものだ。
名前なんて本来は後付けなんだろ?
俺が聞きたいのはお前の正体だよ!」
「正体って、、、俺はラクトだ。
それ以外の何者でもない…」
「・・・・・・・」
分かった。分かったぞ。
でも、説得力があるか分からないな。
だが何となく、何となくだが…
あいつは自分の事を人間と思い込んでいるのではないか?いや、それしか見えていないのかも。
だから、正体を聞かれても名前しか答えない。
あれ?なんか、謎が解けると緊張も無くなった
「よし!・・・・
さぁ、話をしようか。」
「なんだ突然?俺は戦いたいんだが…」
「それだ!お前のその言葉、本当に自分の意思で言ってるか?」
突然の事なのであいつは困惑する。
「お、おい…
何を言い出すんだ?自分の意思じゃ無ければ一体誰の意思なんだ?」
「それはお前の作り主とかじゃないか?」
「な、何を言い出すんだ?
作り主?ふざけるな!!俺はラクト。
ラクトと言う存在なんだ!!」
あいつは今、冷静さを保っていない。
やるなら今がチャンス!!
「お前を見ていると、何だかネットで調べたことにそっくりだなって思うんだ。
いいか?こっちの世界には、
『人造人間』『クローン』
『ホムンクルス』ってのがいるんだ。
そして、その全てに共通しているのは、
"人の手によって作られた人間"って所だ。
そして、お前の特徴はそれに似ているものがある。
まず、痛さを感じない。次に心臓がない。
そして、自分が人間だと思い込んでいる。これは生まれた時にに仕組まれたんだろう。」
「違う。違う。俺は人間だ!!」
「それが違うんだ!!!!」
俺は怒声をあげる。あいつは多少驚く。
「お前は、自分の事を人間だと思い込んでいるようだ!!
だからさ、言ってやるよ。はっきりとな!
・・・・・お前は中身の無いただの人形。ただの人形なんだ!!!!」
「ちが、ちが、オレは、…チガウ・・・」
すると、あいつは機能が停止したみたいに動かなくなった。
「ハァハァ…慣れないことするんじゃないな。」
すると美咲が駆け寄ってきた。
「あんた、あんな事言うんだね!!
ちょっとしびれなぁ。で、
か、かっこよかった…」
「え?最後何て言ったの?カッコよ・・・」
「聞こえてんじゃん!!バカ…」
俺たちは和気あいあいと会話をして、
「じゃあ、帰ろっか」と言った時
背後から違和感を感じた。
誰かいる。
人造人間、クローン、ホムンクルスに
関しては多少、本来の事とは異なる事が書いてありますが、あくまでも、あちらの世界ではこう言う存在だ。
という事なので、あまり気にしないでください。