闇の国
一方、絵梨菜は迷子になっていた。扉の中に入ったはずなのに悠作とはぐれていた。
辺りは薄暗く気味の悪い森の中で絵梨菜は迷子になっていた。
「悠作~どこ~!!」
すると後ろから大きな足音が近づいてくるのが分かった。
(ドスンッ!ドスン!)
「えっ!何か来るんだけど………」
絵梨菜が化け物かと怯えながらその場から動けず待っているとそこには2m超の大柄の男が森の中を走ってきた。
「餌はっけ~ん!!」
「きゃあぁ~!!」
その声を聴き男は急に足を止め方向転換した。
すると、絵梨菜はその大柄の男を警戒しながらも声をかけた。
「あ………あのっ!!」
「ん?!何だ?」
「あの……迷子……なのここがどこか教えてくれない?」
すると、大柄の男がニヤッと笑い振り向き絵梨菜の身長に合わせるように地面に座った。
(ドスンッ!!)
「【次元の扉】から久々の迷い人か………誰が呼んだんだか……」
「呼んだ?」
絵梨菜がその男に聞くと大きな手を振りながら答えた。
「いやいやこっちの話だ………。」
「で、ここは……どこなの?私は京都に来たはずなのに、道に迷って……」
「ここは闇の国【闇呼鴉】そして俺が黒鳩だ。」
「黒鳩………。」
そう呟きながら絵梨菜は黒鳩のことを見つめていた。
「行き場がないんなら城に来るか?俺は女が苦手だから近寄らんで欲しいけどな」
「女が苦手?そんなに体が大きいのに?」
「体は関係ないだろう!!」
そう言いながら黒鳩と絵梨菜は城に向かった。
すると、そこには大きい大きい体では表しきれないぐらいの城が存在していた。
「ここは城という名の【地獄】色んな悪魔たちが滞在している。」
その説明を聞いて初めてやっと自分が来てはいけない場所に来たんだという自覚が生まれた。
「地獄……」
そう呟き城を絵梨菜は見上げ覚悟を決め城の中へと入っていった。
「地獄ってことは閻魔さんが・・・・・・・」
「いるわけねーだろ」
「へ?」
「もうすぐお前が言う閻魔の位置にいるこの城で一番の責任者 魔界・地獄両総取締役 乙瞳が相手してくれるよ。」
そういうとだんだん暗くて怖い景色から見たことのある和のような雰囲気の廊下へと変わっていき黒鳩が大きい広間まで案内してくれた
。
「失礼いたします。」
「ん?」
「迷い子を連れてまいりました。」
「迷子?まぁ連れてまいれ……」
「し……失礼いたします」
絵梨菜が広間に入るとそこにはとても魔物でも鬼とも思えぬほどきれいな顔つきの男があぐらを組んで喋っていた。
「貴様が迷子か………女子であったか……興味ないな」
「は?」
「わらわは男に興味があるのじゃ」
そう言われ周りを見渡すと確かに乙瞳の周りには男しかいなかった。
「男……何故……男に興味があるのですか?」
絵梨菜は怒りを抑えながら乙瞳に聞いた。
「強さじゃ!!」
「強さ?」
「今光の国と闇の国は【次元の扉】が原因で戦争中だ。そして互いに向こう側から扉を叩いた者を一人仲間に加える事ができる。お前は向こうから来た女なのだろ?」
「はい。」
「女に強さはないじゃろが・・・・・・・」
そう諦めた声を乙瞳が呟くと絵梨菜が拳に貯めた力を放出し、見乙瞳の顔の横の壁を一突きした。
(ドンッ!!………)
(ビクッ!!)
「ふっ………いい突きじゃないか………こんな怪力を持っている女もいるんじゃのう………」
「女はおしとやかになんて時代は古いわよ」
「そうみたいじゃのう………よしゃ!いいじゃろここにおんれ」
「やった!!」
「それと、今日からお前さんは仕事の時は【鴉雲】と名を変えろ。」
「何でだ?」
「何でもだ」
絵梨菜は納得いかずに名前を変えることにした。
「なんで名前変えなきゃいけないんだよ・・・・・・・・」
「(おまえが不幸になるからだぞ。絵梨菜……)」
そう言い絵梨菜は闇の国に拾われ、悠作は光の国に拾われそして2人の新婚夫婦は必然的に敵同士になってしまった。