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力こそパワー!決めろシャイニングウィザード!【後編!】

一人目の魔王様の登場です

 女性、これがこのダンジョンの魔王だろうか。 いや、まずダンジョンなのかもダンジョンという概念があるのかも分からないけれど。


 体長は170cmはなさそうだ。165cm……もう少し大きいか、女性にしては高め程度の背。

 女性的な魅力をもつその裸体を隠そうともせずに、回っているベッドの上に立つ。


「私は魔王が一柱、【色欲】の金本よ。 よく来たわね勇者達よ」


 金本さん、すごくシュールです。


「ふふ、見惚れているのかしら? 触ってもいいのよ?」


 まず回転するのをやめてくれないでしょうか。


「やべえぞあらたん。突っ込みどころが多すぎてどこに突っ込めばいいか分からない」


「突っ込み……だなんて、がっつかないでよ。 えっち。 ……まぁお口でも、○○○(ぴー)でも○○○(ぴー)でもどこでもいいよ?」


「先輩のばか。 僕にあんなことをしておいて……。

いや、別に好きにしたらいいですよ。 先輩がしたいならしてくればいいじゃないですか」


 付き合っているわけでもないので束縛なんて出来ない。 そもそも、先輩なんて僕とは関係ないですし。

 勝手にシュール全裸魔王金本さんと乳繰り合いしてたらいい。


「いや、突っ込むってそんな意味ではない。 突っ込みどころが多すぎて困るが、人類のために滅びてもらう!」


 なんかすごく適当である。 というかそんな目的あったのか。

 いや、ツッコミが追いつかないから先輩もボケに走っただけかな。 僕もツッコミが追いつかないときはボケにまわることもあるし。


「ふふ、さすがは勇者ね。 威勢だけはよいのだから……。

ではかかってらっしゃい、今から色欲の試練を始めるわよ!」


「いいだろう、言っとくけど俺は強いぜ?

ただの超絶イケメンなだけでなく、百メートル走十秒代、バレンタインにもらえるチョコレートは本命だけで12個、親が海外に単身赴任している一人暮らしという設定、ボールペンで字を書くのがめっちゃ上手い、筆ペンもわりと得意。

ざっと上げるだけでもこれぐらいは出来るな。 どうだ、すごいだろう」


「くっ……さすがは勇者ね。 しかしエロいしょうぶは私の独壇場。 童貞くさいガキに負けるわけがないわ」


「ふん、やって見なければ分からないだろ」


 ツッコミが不在のせいかどんどんと分からない方向に話が進んでいく。 僕がツッコミにまわるべきなのかもしれないが、今日はゾンビに追いかけられたり、姫ちゃんがオークになってたり、先輩にえっちなことをされそうになったりで疲れた。

 近くにあった品のないゴテゴテした椅子に座って成り行きを見守る。 試練と言っていたが、魔王こと金本さんは全裸のままするのだろうか。


 先輩はベッドの上に乗り込んでファイティングポーズを取る。

試練ってやっぱり魔王と戦うのだろうか。


「魔力放出 形状形成 属性付与 加速付与【ファイアジャベリン】!」


「ーーーーは?」


 先輩は油断していた。 それは否、敵前で油断出来るほど先輩は阿呆なわけでもない。

 ただ単純に想定外だった。

 先程までシュールな光景を生み出していた女性が、手から火の矢を撃ち出すなど、考えつくわけもなかった。


 今までの常識から大きく逸脱した異常事態を把握するために、止まった一瞬の間に火の矢が先輩の目の前にまで迫る。


「ふう……ベッドが回転してなければ危なかった」


「いや、外したのはわざとよ。

勇者様が暴力に頼ろうとしてたからね、そういうのは受け付けないのよ。

争いは争いでも、もっとスポーツマンシップに則ったものじゃないとダーメ。 ね?」


 つまり……金本さんは何かの競技で勝ち負けを決めて争いをしようとしてるってことかな。


「スポーツマンシップね……まぁ、致し方ないな。 飛び道具使われてたら新に流れ玉がいくかもしれない。

それに危険が少ないのに越したことはない」


「そーそー。 じゃあ始めましょうか……【色欲】の試練を」





 金本さんはベッドから降りて、ベッドの下から何かのカードのようなものを取り出す。


「では、この五つのカードの中に試練の内容が書かれているので、見ずに選んでください」


「おう! じゃあ、これだぁ!!

……えーっと、初恋の話をする?」


 あれ? なんかおかしくね?


「すみません金本さん。 これが試練なんですか?

なんかクラスメートが似たようなのしてるの見たことがあるのですが」


「ふふ、そういうと思って、もっとゲーム性を高めるものを持ってきてるわ。 お次にこのカードを選んで」


「おう! えーっと……腕立て伏せをしながら?」


「ただの罰ゲームですよね、これ」


 僕の意見は無視されて、先輩が腕立て伏せをしながら語り始める。

 多少興味はあるけれど……魔王のノリが分からなくて話についていけない。


「あれは……俺がまだ2000歳だった頃の話だ。

無償にイライラしていた俺は近くにいる人に唾を吐きかけたりしていたんだ」


「導入の部分からツッコミどころしかないです」


「今思えば……あんなにイライラしていたのは好きな子と話が出来ないことが辛かったからだったな。

ははっ、そういえばあいつも新と一緒でふぬぬぴえぴえがふぉぬここっぷだった……懐かしいものだ、よぬえうぬぱ」


「嘘つくのは諦めますけど、せめて日本語でお願いします」


「オッケー」


 それにしても、これってどうやって勝敗を決めるのだろうか。 金本さんがいいと思ったらクリアなのか。 クリアして何か意味があるのか。


 ないか。 金本さんアホっぽいしね。僕は考えるのをやめた。


「次は私のターンね。 えーっと、『初体験の話をする』『事細かに』か。

私がまだ中学生の時に○○○(ぴー)○○○(ぴー)していたんだけど。

○○○(ぴー)○○○(ぴー)○○○(ぴー)でね。

先生を○○○(ぴー)見られてね、そのあと○○○(ぴー)○○○(ぴー)○○○(ぴー)ってわけよ」


 ぴーしか言ってないです。この人。


「じゃあ次はあらたんの番か。 ワクワクすっぞ!」


「えっ、僕もこんな茶番に参加させられるんですか。

すごく面倒なんですけど」


「えっ、じゃあお嬢さんは世界滅びてもいいの?」


「えっ、世界滅びるのですか?」


「そりゃあ、まあ私魔王だし」


 マジすか。


「えーっと……。 どうやったら僕達の勝ちなんですか? 」


「私よりもえっちなお話が出来たらよ? あっ、勿論嘘つくのは負けね。 あと、この試練用にえっちなことをするのもなしね。

挑戦も一人一回まで」


 つまり、色欲の試練のルールは三つ

1.二枚のカードをランダムで引き、それに従って体験談を話す。

2.嘘を話すと敗北。 事実でもこの試練のためなら敗北。

3.色欲の魔王、金本さんよりえっちな話でなければ敗北。


 自信まんまんにぴーを連呼していた金本さんに勝てる人はそうそういないだろうが、もっとぴーぴー言える人ぐらい探せばいるだろう。


「なあ……嘘つくってのは……事実と違うことを話す(・・・・・・・・・・)なのか?

それとも自分が真実だと思っていたら嘘じゃなくなるのか?」


 焦った声が先輩の口から漏れる。 何をそんなに焦っているのだろうか。

 僕が敗北しても他の人に頼めばいいだけなのに。


「それは当然、事実と違うことを話す(・・・・・・・・・・)のは嘘とみなすわ。

あっ、ちなみに挑戦を受け付けるのは一週間後までね」


 先輩は何を焦っているのだろうか。 別に僕が負けたところで世界が滅びるわけでもないのに。

 そんな楽観視は先輩の言葉によって粉々に砕けた。


「いいか、落ち着いて聞けよ。 新、お前が負けたら世界が滅びるかもしれない」


「ん? 適当に人を呼んできたらいいだけじゃないんですか?」


「それは……全く意味がない。

この試練はエロい話が上手いかどうかのゲームじゃない。

事実(・・)を覚えていることが最重要なんだ」


事実(・・)を覚えている? 当然忘れている人も居るでしょうけど……って、あっ…………」


 嘘だろう。 あり得ない。 こんなの試練として成り立っていないではないか。


 相手の得意分野で戦うことになる。 その程度だと考えていたが、本質は全く違う。 無茶苦茶だ。


 だって、だって……



 ーーーーこの世界(・・・・)前の世界(・・・・)のことを覚えているのは僕達だけではないか。



 変わった世界で人類に仇成すモノ、色欲の魔王。 立ち向かえる人は空亡 新ただ一人。



 世界の滅亡は確定した。



なろうではNTR(寝取られ)が大人気で、NTRさえしたら人気者になれるって本当ですか?

あらたんNTRるべきですか?

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