表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界異世界物語(改稿前版)  作者: ウサギ様@書籍化&コミカライズ
変わる僕を愛してくれますか。
PR
36/38

ああ、勿論

 目を開ける。 寝たフリはもうお終いにして、下に降りた二人に気づかれないように階段を降りる。


 先輩と、数回言葉を交わした引田さんは玄関の扉に手をかけている。


「ーーただのイチャイチャしてるバカップルだ。 死ねよ」


 そう引田さんが言った後、僕に気がついたらしくへらりと笑う。 先輩のからかうような笑みでも、僕の媚を売る笑みでもなく、口は悪いのにどこか優しそうだ。

 小さくお辞儀をすれば、扉はすでに閉じられていた。 迷惑をかけたことを謝りたかったのだけど。 それより、お礼かな。


 いい人だ。 先輩もあれぐらい優しくなればいいんだけど。 まぁ、無理だろう。

 チラリとリビングを覗くと、ソファに座り頭を下げて丸まっている先輩が見える。

 偲び足で近寄る。


 泣いているのだろうか。 先輩が泣いているのは初めて見る。

 音も出さずに、涙を出しているだろう頭を膝に抱えて見えないようにして。


 ソファの横の小さなスペースに無理矢理入り込み、先輩に横から抱きつく。


「先輩」


 落ち着く匂いがする。 それは先輩も、同じなのかもしれない。

 馬鹿な先輩の見栄っ張りな仮面が剥がれ落ち、すすり泣く音が静かな部屋に響く。


 ーーごめん。


 先輩が、そう言ったように勝手に感じる。 現実と想像の区別がついていない妄想だ。


「いいですよ」


 勝手に僕は返事をする。

 意味もない。 僕の意思が通じるかもわからない。 でも、伝えたい。


「新」

「先輩」


 先輩が僕の名前を呼ぶ、僕は名前を呼ばずいつも通りの先輩と。


 泣き腫らした顔が僕を見つめる。 赤く充血した彼の目が僕を見つめる。


「僕は、変わります。

もう死のうとは思いません。

変わってしまう僕ですが、それでも僕を好きでいてくれますか?」



「あぁ、勿論」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ