28 暴かれた真実
夜遅く自分の部屋に帰ったあたしは、翌朝アンネリに呼び出された。
泥のように重い体に鞭打って、無理やり外に出る。
カフェのテラス席で手を振るアンネリに駆け寄ろうとしたとき、ニューススタンドの見出しが目に入り、柄にもなく新聞を買ってから席に着いた。
「あれからどう? あの変ないい男とは、続いてるの?」
「ああ……うん、まあ」
曖昧に答えながら、買ったばかりの新聞を後ろ手に隠したけど、アンネリが目ざとく見つける。
「どうしたのよ、ライラ。今まで新聞なんて、買ったことなかったじゃない」
「これからは、魔女も時勢に強くならなきゃいけないのよ」
義父さんの受け売りで誤魔化そうとしたけど、アンネリに新聞を奪われてしまった。
その一面を飾る「吸血樹、現る」の文字を見て、アンネリの笑顔が凍りついた。
「ねえ、これって……」
「あー……あたしちょっと、お手洗いに……」
「ライラ!」
立ち上がろうとしたあたしの腕を、アンネリが両手でガシッと掴む。
だめだ、昨日の疲れが抜けないせいで、今日は素早く動くことができない。
「ねえ、これって、あの男が言ってたやつよね? あんた、これに関わってるの?」
「……いや、その」
「関わってるのね!」
「…………うん」
アンネリに対して上手に嘘をつけないあたしは、結局根掘り葉掘り聞かれるままにマックスの正体以外全部答える羽目になった。
+ + +
「ねえ、悪いこと言わないわ。この件から手を引きなさい」
逃げられないよう腕を掴んだまま、アンネリはあたしに得意の上目遣い攻撃をする。
「そういう目つきは、あたしじゃなくて彼氏にしなよ」
「バカ! 心配してるんでしょ!」
「でも……、乗りかかった舟だし」
「いくらいい男からの依頼だからって、命がいくつあっても足りないじゃない!」
アンネリは少し涙目になっていた。
うん、その気持ちはありがたいと思ってる。
思ってるよ、だけど。
「心配してくれて、ありがとう。でもいい男とか、そういうことじゃないんだ」
「もーーーーう! いいわ、私が断ってきてあげる! 彼、どこに住んでるの?」
言えるわけがない。
お城に住んでる王子様だなんて。
と言っても、宮殿の中じゃなくて見張り用の塔に部屋があるんだけど。
あまりにあたしが頑固に断り続けたせいで、アンネリは最後にカンカンに怒って「もう、知らない!」と席を立ってしまった。
+
そしてあたしは知らなかった。
この記事が出たことで、そのときマックスの身になにが起きていたのかを……




