24 坑道で見たもの
炭坑に入ろうとしたところで、ストランドさんに呼び止められる。
「もし奥まで行かれるなら、トロッコをお使いください。その方が早いし、生存者をより多く乗せることができます」
なるほど。
しかし、あんたは一緒には来ないのか?
その疑問にマックスが答える。
「わかりました。あなたは中央に救援を要請し、避難してきた人の保護や怪我人への対応をお願いします」
そうか、ここに残る人も必要なのね。
納得しながら、さっさとトロッコに向かった。
「マックス、行くわよ!」
「どうぞ、お気をつけて!」
ストランドさんが、坑道に入っていこうとするあたしたちに手を振る。
思ったより、いい人なのかも知れないな。
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さっき説明を受けた通り、トロッコのシーソーみたいなレバーを、マックスと二人掛かりで押しながら穴を進む。
結構重労働だけど、確かに歩くよりずっと早い。
あたしの想像では石炭を掘る坑道って、もっとずっと下の方に向かっているのかと思っていたけど、多少の起伏はあるものの、あまり下に降りている感じはしない。
「そういう炭坑もあるよ。そういうところは垂直に穴を掘って、井戸から水を汲み上げるように掘り出していたりするんだ」
へえー。
色々なんだな。
坑道の中は、上から土砂が崩れてこないよう木枠で押さえてあるけれど、途中でそれが崩れてレールの上にまで石が転がって行先を塞いでいる所に出た。
「この先は、トロッコは使えないな。歩いていくしかなさそうだ」
トロッコを降り、積んでいたランプを手に取って、更に奥へと進む。
二人でランプを持っているせいか、影が二方向からユラユラと動いて妙な感じがする。
土砂が入り込んでいるので、足下に気を付けないと石で転びそうだ。
でも足下に集中しているせいで、前方に感じる不吉な感じに気を取られなくて済む。
と、さっきまで後ろから伸びていた影が見えなくなっていることに気づいた。
そういえばあたしの足音しかしていない。
ゆっくり後ろを振り返ると、マックスがいなくなっていた。
「マ、マックス! マックス、どこ? 返事して!」
あたしはもう、ほとんどパニック状態になっていた。
そんなあたしにお構いなしに、マックスが暢気な顔を横穴からヒョイと出す。
「私はここだよ、ライラ」
「なにやってんのよ!」
「いや、横の穴の先が見えなかったので、少し覗いていたんだ。驚かせて済まない」
「そういうときは、声を掛けてよね! バカ!」
ランプに照らされて、涙ぐんでいるのがバレないか気になる。
マックスは急いであたしの側まで来てくれた。
「本当に、ごめん。不安にさせて、悪かったね。ライラ」
マックスはあたしの手を握り、「今度からはそうする」と笑った。
その笑顔で、あたしはやっと安心する。
マックスの手は温かかった。
歩いているうちに不安がなくなっていく分、繋いでいる手が気になってくる。
(こんなことに気を取られている場合じゃないのに!)
あたしは顔が熱くなっていることが、マックスに気づかれないようにと思いながら歩いた。




